シカゴ、ヒューイ・ルイスのジョイント・ライヴに熱狂
シカゴとヒューイ・ルイス&ザ・ニュース。70年代から80年代のアメリカン・ロックシーンを代表するこの大物2組は、これまで何度かジョイントツアーを成功させてきた。そしてそのツアーがついに日本に上陸した。世界的ヒット曲を数多く持つ両バンドだけに、東京国際フォーラムホールAの広い客席は超満員。期待と熱気が渦巻くなか、まずはヒューイ・ルイス&ザ・ニュースがステージに登場した。
鼓動のようなSEに導かれてメンバーが定位置につくと、すでに客席は総立ち状態。10年ぶりの来日公演への期待の高さがうかがえる。それに応えるように始まったのは、大ヒットナンバーの「HEART OF ROCK'N ROLL」。さらに新曲をはさんで「I WANT A NEW DRUG」「SMALL WORLD」「DOIN' IT (ALL FOR MY BABY)」とヒット曲を連発。
ヒューイは50代後半だなんて思えないほど力強く歌い、ストレートのマイクスタンドを抱えるようにして客席をあおる。ヒットを連発していたあの頃とまったく変わっていない。どれもパワフルで明るくノリのいい曲ばかりだから、会場はダンスホールのように揺れ続けた。トレードマークのホーンセクションは向かって左側だが、サックスのジョニー・コーラは時折そこから前に出てきて、ギターやヴォーカルも披露。ドラムのビル・ギブソンはシンプルだけれどパワフル、ぐいぐいとバンドを引っ張る。とにかくメンバー全員が演奏を楽しんでいるのがよく伝わってくる。
中盤の恒例アカペラタイムでは、定番の名曲「SO MUCH IN LOVE」で素晴らしいハーモニーを聴かせると、後半は彼らが大好きなソウルやR&B色の濃いナンバーでさらに盛り上げ、「WE'RE NOT HERE FOR A LONG TIME」で本編は終了。そしてアンコールにはシカゴのメンバーも参加。「BACK IN TIME」ではシカゴのギタリスト、キース・ハウランドがステフ・バーンズとバトルを繰り広げ、「BAD IS BAD」ではビル・チャンプリンがギター、そしてシカゴのドラマー、トリス・インボーデンはなんとブルースハープでヒューイとのハープバトルも見せた。こうして90分間たっぷりとオーディエンスを楽しませ、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのステージは終了した。
休憩をはさんで今度はシカゴが登場。こちらはヒューイ・ルイス&ザ・ニュースほどノリノリではないけれど、40年の歴史を感じさせる重厚な演奏でファンを楽しませてくれた。
イントロに続いて演奏されたのはデビューシングルである「QUESTIONS 67/68」の日本語バージョン。そして壮大な組曲の「BALLET FOR A GIRL IN BUCHANNON」と初期の曲が続く。大所帯のシカゴにあって、のっけから目立っていたのがやはり3人のブラスセクション。ステージセンターで暴れるようにパワフルに吹きまくって客をあおっていた。
そして前半には早くも最初のクライマックスがやってきた。日本語で“今何時デスカ?”と曲紹介して始まった「DOES ANYBODY REALLY KNOW WHAT TIME IT IS ?」(邦題「いったい現実を把握している者はいるだろうか?」)ではヒューイ・ルイスが登場、リードヴォーカルをとって会場を沸かせた。ヒューイはいったん退場したものの、すぐにヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのメンバー全員がパーカッションを手に登場し、「I'M A MAN」をにぎやかに盛り上げた。
リードヴォーカリストが何人もいるシカゴでは、曲ごとにステージ上の立ち位置もめまぐるしく変化する。ジェイソン・シェフがセンターに来て大ヒット曲の「IF YOU LEAVE ME NOW」でピーター・セテラばりのハイトーンを聴かせると、「I DON'T WANNA LIVE WITHOUT YOUR LOVE」「LOOK AWAY」「YOU'RE NOT ALONE」の3曲はビル・チャンプリンがフロントに出てギターを弾きながらソウルフルな歌声でオーディエンスを魅了。ロバート・ラムもピアノを弾きながら、そして時折ショルダーキーボードを抱えて前に出て甘いトーンを響かせるといった具合。様々な時代のシカゴファンにアピールしたに違いない。
「LOVE ME TOMORROW」「YOU'RE THE INSPIRATION」「SATURDAY IN THE PARK」といったヒット曲満載のライヴを締めくくったのは「HARD TO SAY I'M SORRY」、そして「GET AWAY」だ。「GET AWAY」の迫力あるブラスのフレーズは、やはりライヴで聴くととてつもなくカッコいい。
アンコールでは、メンバーとともに布袋寅泰も登場。布袋寅泰が弾くイントロに乗って、映画『キル・ビル』のテーマ曲「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」が始まる。実はシカゴのメンバーがこの曲を大変気に入っていて、ロバート・ラムが直接、布袋寅泰にオファーし、この日の共演が実現したということだ。布袋寅泰は最後の「25 Or 6 To 4」(長い夜)にも参加し、キース・ハウランドと長いバトルを演じた。
ノリノリでとにかく楽しいヒューイ・ルイス&ザ・ニュースと、重厚な演奏をじっくり聴かせたシカゴ。どちらもヒット曲満載だし、長年ライヴで叩き上げてきた実力、そして歴史を感じさせてくれた。アメリカンロックファンにとっては、非常に価値のある一夜だったに違いない。
●もっとライヴ写真を見たいという人はコチラ
https://www.barks.jp/feature/?id=1000039533
2008.04.20 @東京国際フォーラムホールA セットリスト
<ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース>1.HEART OF ROCK'N ROLL
2.YOU HURT ME
3.I WANT A NEW DRUG
4.SMALL WORLD
5.DOING IT ALL FOR MY BABY
6.POWER OF LOVE
7.JACOB'S LADDER
8.DO YOU BELIEVE IN LOVE
9.SO MUCH IN LOVE
10.UH HUH
11.HEART & SOUL
12.BUT IT'S ALLRIGHT
13.WE'RE NOT HERE FOR A LONG TIME
アンコール
14.BACK IN TIME(GUEST CHICAGO KEITH HOWLAND)
15.BAD IS BAD(GUEST CHICAGO BILL CHAMPLIN ,TRIS IMBODEN)
16.WORKIN’ FOR LIVIN’
<シカゴ>
1.INTRODUCTION~QUESTIONS 67/68
2.BALLET FOR A GIRL IN BUCHANNON
3.DOES ANYBODY REALLY KNOW WHAT TIME IT IS ?
4.I'M A MAN
5.FEEL
6.IF YOU LEAVE ME NOW
7.CALL ON ME~ALIVE AGAIN
8.I DON'T WANNA LIVE WITHOUT YOUR LOVE~LOOK AWAY~YOU'RE NOT ALONE
9.LOVE ME TOMORROW~NO TELL LOVER
10.HARD HABIT TO BREAK~YOU'RE THE INSPIRATION
11.BEGINNINGS ~ ドラムソロ
12.JUST YOU 'N' ME
13.SATURDAY IN THE PARK
14.FEELIN' STRONGER EVERYDAY
15.HARD TO SAY I'M SORRY~GET AWAY
アンコール
16.BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY
17.25 OR 6 TO 4
撮影:Surje (Tokyo Buenos Aires)
鼓動のようなSEに導かれてメンバーが定位置につくと、すでに客席は総立ち状態。10年ぶりの来日公演への期待の高さがうかがえる。それに応えるように始まったのは、大ヒットナンバーの「HEART OF ROCK'N ROLL」。さらに新曲をはさんで「I WANT A NEW DRUG」「SMALL WORLD」「DOIN' IT (ALL FOR MY BABY)」とヒット曲を連発。
ヒューイは50代後半だなんて思えないほど力強く歌い、ストレートのマイクスタンドを抱えるようにして客席をあおる。ヒットを連発していたあの頃とまったく変わっていない。どれもパワフルで明るくノリのいい曲ばかりだから、会場はダンスホールのように揺れ続けた。トレードマークのホーンセクションは向かって左側だが、サックスのジョニー・コーラは時折そこから前に出てきて、ギターやヴォーカルも披露。ドラムのビル・ギブソンはシンプルだけれどパワフル、ぐいぐいとバンドを引っ張る。とにかくメンバー全員が演奏を楽しんでいるのがよく伝わってくる。
中盤の恒例アカペラタイムでは、定番の名曲「SO MUCH IN LOVE」で素晴らしいハーモニーを聴かせると、後半は彼らが大好きなソウルやR&B色の濃いナンバーでさらに盛り上げ、「WE'RE NOT HERE FOR A LONG TIME」で本編は終了。そしてアンコールにはシカゴのメンバーも参加。「BACK IN TIME」ではシカゴのギタリスト、キース・ハウランドがステフ・バーンズとバトルを繰り広げ、「BAD IS BAD」ではビル・チャンプリンがギター、そしてシカゴのドラマー、トリス・インボーデンはなんとブルースハープでヒューイとのハープバトルも見せた。こうして90分間たっぷりとオーディエンスを楽しませ、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのステージは終了した。
休憩をはさんで今度はシカゴが登場。こちらはヒューイ・ルイス&ザ・ニュースほどノリノリではないけれど、40年の歴史を感じさせる重厚な演奏でファンを楽しませてくれた。
イントロに続いて演奏されたのはデビューシングルである「QUESTIONS 67/68」の日本語バージョン。そして壮大な組曲の「BALLET FOR A GIRL IN BUCHANNON」と初期の曲が続く。大所帯のシカゴにあって、のっけから目立っていたのがやはり3人のブラスセクション。ステージセンターで暴れるようにパワフルに吹きまくって客をあおっていた。
そして前半には早くも最初のクライマックスがやってきた。日本語で“今何時デスカ?”と曲紹介して始まった「DOES ANYBODY REALLY KNOW WHAT TIME IT IS ?」(邦題「いったい現実を把握している者はいるだろうか?」)ではヒューイ・ルイスが登場、リードヴォーカルをとって会場を沸かせた。ヒューイはいったん退場したものの、すぐにヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのメンバー全員がパーカッションを手に登場し、「I'M A MAN」をにぎやかに盛り上げた。
リードヴォーカリストが何人もいるシカゴでは、曲ごとにステージ上の立ち位置もめまぐるしく変化する。ジェイソン・シェフがセンターに来て大ヒット曲の「IF YOU LEAVE ME NOW」でピーター・セテラばりのハイトーンを聴かせると、「I DON'T WANNA LIVE WITHOUT YOUR LOVE」「LOOK AWAY」「YOU'RE NOT ALONE」の3曲はビル・チャンプリンがフロントに出てギターを弾きながらソウルフルな歌声でオーディエンスを魅了。ロバート・ラムもピアノを弾きながら、そして時折ショルダーキーボードを抱えて前に出て甘いトーンを響かせるといった具合。様々な時代のシカゴファンにアピールしたに違いない。
「LOVE ME TOMORROW」「YOU'RE THE INSPIRATION」「SATURDAY IN THE PARK」といったヒット曲満載のライヴを締めくくったのは「HARD TO SAY I'M SORRY」、そして「GET AWAY」だ。「GET AWAY」の迫力あるブラスのフレーズは、やはりライヴで聴くととてつもなくカッコいい。
アンコールでは、メンバーとともに布袋寅泰も登場。布袋寅泰が弾くイントロに乗って、映画『キル・ビル』のテーマ曲「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」が始まる。実はシカゴのメンバーがこの曲を大変気に入っていて、ロバート・ラムが直接、布袋寅泰にオファーし、この日の共演が実現したということだ。布袋寅泰は最後の「25 Or 6 To 4」(長い夜)にも参加し、キース・ハウランドと長いバトルを演じた。
ノリノリでとにかく楽しいヒューイ・ルイス&ザ・ニュースと、重厚な演奏をじっくり聴かせたシカゴ。どちらもヒット曲満載だし、長年ライヴで叩き上げてきた実力、そして歴史を感じさせてくれた。アメリカンロックファンにとっては、非常に価値のある一夜だったに違いない。
●もっとライヴ写真を見たいという人はコチラ
https://www.barks.jp/feature/?id=1000039533
2008.04.20 @東京国際フォーラムホールA セットリスト
<ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース>1.HEART OF ROCK'N ROLL
2.YOU HURT ME
3.I WANT A NEW DRUG
4.SMALL WORLD
5.DOING IT ALL FOR MY BABY
6.POWER OF LOVE
7.JACOB'S LADDER
8.DO YOU BELIEVE IN LOVE
9.SO MUCH IN LOVE
10.UH HUH
11.HEART & SOUL
12.BUT IT'S ALLRIGHT
13.WE'RE NOT HERE FOR A LONG TIME
アンコール
14.BACK IN TIME(GUEST CHICAGO KEITH HOWLAND)
15.BAD IS BAD(GUEST CHICAGO BILL CHAMPLIN ,TRIS IMBODEN)
16.WORKIN’ FOR LIVIN’
<シカゴ>
1.INTRODUCTION~QUESTIONS 67/68
2.BALLET FOR A GIRL IN BUCHANNON
3.DOES ANYBODY REALLY KNOW WHAT TIME IT IS ?
4.I'M A MAN
5.FEEL
6.IF YOU LEAVE ME NOW
7.CALL ON ME~ALIVE AGAIN
8.I DON'T WANNA LIVE WITHOUT YOUR LOVE~LOOK AWAY~YOU'RE NOT ALONE
9.LOVE ME TOMORROW~NO TELL LOVER
10.HARD HABIT TO BREAK~YOU'RE THE INSPIRATION
11.BEGINNINGS ~ ドラムソロ
12.JUST YOU 'N' ME
13.SATURDAY IN THE PARK
14.FEELIN' STRONGER EVERYDAY
15.HARD TO SAY I'M SORRY~GET AWAY
アンコール
16.BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY
17.25 OR 6 TO 4
撮影:Surje (Tokyo Buenos Aires)
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