三寒志恩ムック初春の宴(1)デトロイト編その壱

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3月7日、天候は雪。東京の話ではない。今、僕が居るのはアメリカのデトロイト。明日はこの街で、ムック一行と合流することになっている。事情を把握できていない読者のために一応説明しておくと、彼らは現在、全米34ヵ所を縦横無尽に駆けめぐる超大型ツアー、<ROCKSTAR TASTE OF CHAOS>に参戦中。2月29日のデンバー公演を皮切りにしたこのツアーで、連日、アヴェンジド・セヴンフォールドやアトレイユ、ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインと同じステージに立っているのだ。

▲デトロイトに到着後、まずはコボ・ホールの下見に。奥のほうに見える分厚いホットケーキみたいなのがそう。めちゃくちゃデカい! そしてめちゃくちゃ寒い!
デトロイトは自動車工業がさかんなことでも有名なミシガン州の大都市。それと同じくらい、失業率の高さなどでもよく知られているのだけども。明日、彼らが出演する会場はダウンタウンにあるコボ・アリーナ。その昔、キッスの名盤ライヴ・アルバム『地獄の狂獣』が録られたことでもよく知られている場所だ。

で、そのデトロイト公演のちょうど24時間前にあたる3月7日の夜、彼らはオハイオ州デイトンで演奏中。向こうもどうやら大雪らしい。そして僕は、明朝の合流までの貴重な自由時間を満喫……といきたいところなのだが、とにかく気温は知りたくもないくらい低く、雪が真横に降っているような状況。ちょっと足を伸ばせばカジノなんかもあるのだが、さすがにあちこち出歩いていたら無条件に風邪を引きそうだし、それ以前に、わざわざ見てまわるような観光スポットがあまりないのがこの街の特徴のひとつだったりもするのだ。

なにしろ空港での入国審査の際にも、管理官に「デトロイトが目的地?物好きだね。観に行くべきところなんて何もないけど、いったいここで何をするつもり?」なんてことを言われたほど。ちなみにそこで「滞在目的はライヴを観ること。明日、コボ・アリーナに行く」と答えると、今度は「好きな音楽は?」と訊かれ、「ヘヴィ・メタル」と返答すると「じゃあ明日のライヴではヘッドバンギングするのか?」なんて言葉が返ってきた。デトロイトの通称はモーター・シティだが、やっぱり同時にロック・シティでもあるのだ!

とりあえずそんなわけで遊び歩くのを諦め、ホテルの近所のアイリッシュ・パブでNBAの試合中継など見ながら(めでたく地元のピストンズがニックスに勝利!)、おとなしくギネス・ビールを呑んでいると、いきなりBGMがスティーヴィー・ワンダーからキッスに変わった。しかも曲は「デトロイト・ロック・シティ」じゃないか! あまりにも出来すぎ。ここのパブの従業員は俺様が何者なのかを知っているのかもしれない。ははは! 調子に乗ってちょっと呑みすぎてしまった。

今から約半日後、ムックは約4時間にわたる深夜のドライヴを経てこの街にやって来る。もしかして、早くもホームシックにかかっていたりするのだろうか? それとも“三寒四温"どころではなく、まだまだ“七寒零温"な気候のアメリカ北部での生活をエンジョイしているのだろうか?というわけで、その実情については今から24時間以内にお伝えしたいと思う。お楽しみに!

増田勇一
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