映画『ジプシー・キャラバン』試写会にご招待

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祖国も権力も持たない彼らが、生きる為に与えられたものは「音楽」だった

上記が、映画『ジプシー・キャラバン』に掲げられたキャッチコピーのひとつ。インドに起源を持ち11世紀から全世界に散らばったジプシー。今なお続くロマ/ジプシーへの言われ無き差別と迫害の中で、彼らが奏でる音楽は強靱な響きを持っているという。

映画『ジプシー・キャラバン』制作にあたり、カメラは<ジプシー・キャラバン・ツアー>を追い、それぞれのミュージシャンのルーツを訪ねている。<ジプシー・キャラバン・ツアー>とは、スペイン、ルーマニア、マケドニア、インドの4つの国にまたがる5つのバンドが、合同で6週間を掛け北米の諸都市を廻ったという実在のツアーだ。

5つのバンドとは、タラフ・ドゥ・ハイドゥークス、エスマ、アントニオ・エル・ピパ・フラメンコ・アンサンブル、ファンファーラ・チョクルリーア、マハラジャというジャンルも構成もばらばらな5つ。それぞれの場所で重ねてきた年月が、ステージの上でひとつになり、圧倒的な力で心を揺さぶっていく。音楽を通して、人間が生きて行くことの本質的な悲しみ、そして喜びが映し出された感動のドキュメンタリーとなった。

映画『ジプシー・キャラバン』予告編
https://www.barks.jp/watch/?id=1000020320



<映画『ジプシー・キャラバン』一般試写会に10組20名をご招待>
日時:2007年12月12日(水)
開場18:00/開映18:30(終映20:30予定)
ご招待:10組20名様
会場:科学技術館サイエンスホール(東京都千代田区北の丸公園2-1)
応募はプレゼントページにて
https://www.barks.jp/present/


▲the photographer is Arne Reinhardt. the band in the photo is Fanfare Ciocarlia
監督ジャスミン・デラルは、前作の長編、『アメリカン・ジプシー』の制作中に、ロマの世界との緊密な関係を打ち立てていたという。この経験とその時に出会った人々とを活かし、映画『ジプシー・キャラバン』をただのコンサート・フィルムでもロード・ムービーでもなく、国際的なステージから離れた、ミュージシャンやダンサーたちの生活にまで分け入る作品とした。

映画の全体的な目標としては、三段階で撮影することだった。ひとつは「音楽パフォーマンスを堪能できる、マルチ・カメラによるコンサート記録映像」。もうひとつは「DVCカムで撮った、スペインやマケドニア、ルーマニア、インドといった、ミュージシャンたちの故郷における、スポットライトからは遠く離れた彼らの真の姿」、そしてもうひとつは「アーティストたちが旅の途中でお互いをよく知り合い、友情を深めていくさまを記録した舞台裏の映像」だ。映画カメラマン、アルバート・メイスルスとアラン・ド・オローの技術によって、この三つの要素が豊かな質感を提供しながらも、映画スタイルとしては、簡潔で明快な構成になっている。

最初の撮影が始まったのは2001年の9月下旬。スタッフは皆、コンサートに客は来るのか、アーティストが国を出られないのではないか、北米に入れないのではないか(彼らのほとんどはジプシーであることは言うに及ばず、浅黒い肌のイスラム教徒であるため)と心配したが、ツアーは無事始まった。

バックステージでは、デラルは6週間もいっしょに旅をして、ミュージシャンたちの生活に可能な限り近づいた。ツアーの間に培われた信頼の深さは、記録映像の親近感に現れているだけではなく、アーティストたちがいかに個人的な生活を分かち合ってくれたかにも現れている。

ツアーバスも、すばらしい等化装置となったという。映画スタッフもミュージシャンも、夜遅くのコンサートと明け方の撤収という、同じ厳しいスケジュールで行動していたのだから。ミュージシャンたちは、デラルのカメラを彼女の楽器とまで呼ぶようになった。あまりに密接し合って旅を続けていたことによる論争も時には起こったが、ツアー・マネージャーの絶えざるユーモアと、いつも笑みをたたえているマハラジャたちのおかげで、緊張は常に和らげられることができた。

自分たちのコンサートを映像に収めることには熱心だったミュージシャンたちも、最初のうち個人的な生活を明らかにすることにはためらっていた。しかし、デラルと彼女の映画作りへのアプローチに心を温められ、手工芸的な細かいポートレートに結実させた。12月にインド、春にはスペインと、ルーマニアと、マケドニアで、アーティストたちの家族と過ごした。カメラは壊れる、音声係は現れない、撮影する約束をしていた人が、撮影クルーに4日ほど町を留守にすることを告げるのを忘れていたり、突然の結婚式があったり、葬式があったりとなにひとつ予定通りに行かなかったが、すばらしい映像を撮影することができたという。

記録は200時間を超し、その多くが美しくて、興味深くて、ユニークなものだ。映画をひとつにまとめる語りの部分は、ロード・トリップと、ミュージシャンたちの間で深まりゆく友情に関するものだが、一番重要な語りは、ロマの人々や文化に対する、撮影スタッフの気持ちの内側からの変化だったという。この作品が、音楽と、ロード・トリップと、ミュージシャンたちの故郷や家族への心のこもった訪問との絶妙なバランスの上に成り立つ「ドキュメンタリー」であることを強く意識させられるのだ。

コンサート・ツアーの記録映像に差しはさまれた、包み隠しのない親しげなポートレートは、私たちを苦しみや、貧困や、差別だけではなく、家族と分かち合う喜びのある、彼らの故郷の町や村へ連れていってくれる。友人や家族のための彼らの演奏は、子供たちのために生活を向上させる決意に支えられえ、ステージで見るよりも魔術的な光を放っている。


2007年12月、渋谷シネ・アミューズにてロードショー
監督:ジャスミン・デラル/出演:タラフ・ドゥ・ハイドゥークス、エスマ、アントニオ・エル・ピパ・フラメンコ・アンサンブル、ファンファーラ・チョクルリーア、マハラジャ/特別出演:ジョニー・デップ(アメリカ/2006/35mm/カラー/115分/1:1,85)
提供:AMGエンタテインメント
配給:アップリンク、AMGエンタテインメント


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『ジプシー・キャラバン』オフィシャルサイト
http://www.uplink.co.jp/gypsycaravan/
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