セカイイチ、『世界で一番嫌いなこと』インタビュー
最新アルバム『世界で一番嫌いなこと』は、男臭く、アングラな匂いも濃厚、それでいて聴きやすいポップソングという、セカイイチの特徴をすべて含んでいるが、一方、バンドで作った曲をコンピュータソフトで再構築するという新たな手法を取り入れ、アナログ的な生バンドとデジタルのテクノロジーを融合させた意欲作になった。これまでのサウンドを一度壊してみたら新たなものが生まれてきたと語る岩﨑慧(Vo/G)に、最新作について話を訊いた。
岩﨑:歌詞はね、僕はよくパッと出てくるんですよ。リハとかで曲を作ってるときに、パッと浮かんでもう勝手に歌ってる。自分じゃないなんかの意志みたい。守護霊的なものというか(笑)。だから、どういう言葉を使いたいとか、何を歌いたいとかはあまり考えてない。ただ、ひねくれた幼少期を送ってきたので(笑)、物事がすんなり行くのってあまり好きじゃないんですね。自分の気持ちをそのまま表わすというより、すんなり行かない言葉の中に、ひとつでもなにかがでっかく映っていればいいかなと。アルバムタイトルもまさにそういうことなんです。
岩﨑:すごい好きなものってあるじゃないですか。でもすごい好きなものをすごい好き、って言うのがなんかイヤなんです。デキレースっぽいというか(笑)。『世界で一番嫌いなこと』っていうのは、すごく嫌い嫌いって言ってるけど実はこれがないと困る、“実は好きなんちゃうん?”みたいな雰囲気ですかね。まあこれも、やっぱりパッと出てきた言葉なんで、そのときのインパクトで選んだんです。
岩﨑:ASA-CHANGなんかは以前ライヴで一緒になったのがキッカケですね。ヴォーカリストをいっぱい呼ぶみたいなイベントに出演させてもらって、そのときのバンドASA-CHANGさんがいたんです。そのとき楽屋で話をしていて、今度なんかやってくださいよってことになった。小谷美紗子さんには「シュナイダー」っていう曲でコーラスやってもらいました。この曲、Logicでデモを録ったときに、自分のヴォーカルの声を2オクターブくらい上げてダブリングしてたんです。その声がえらい小谷さんみたいな声に聴こえるなあと思ってて、それなら誘ってみようと。
岩﨑:これがセカイイチなんだなあっていうのがわかるアルバム。というか、10年後に聴いたときに、ここが句読点になっているんだな、とわかるようなアルバムだと思いますね。これまでのセカイイチサウンドをまとめたものではあるけど、それを一度壊した。そしたらなんか新しいものができてきた、という感じですね。だからこの先、ここから新たなものができていくような気がします。
岩﨑:そんなに意識はしなかったんですが、やっぱり自分の歌とか曲の持ってる性質、性格っていうのは変わりようがなかったですね。それはすごくよかったと思っています。結局そこは変わらないから、僕らはなにをやっても大丈夫だなと思えたんで。
岩﨑:今回アルバムを作ってみて、なんでもできるようになってきたなと思いましたね。バンドとして、やっと自由に色々できるようになったなと。それと、東京に来て聴く音楽の幅も広がったと思います。東京って最先端の音楽がけっこうある。関西にいたときはそれとはちょっと違った最先端だったんで。東京は色々与えてくれましたね。
岩﨑:昔のティン・パン・アレーとか荒井由美さんとかシュガー・ベイブとか、あのあたりの人たちって色々なムーブメントを生み出してきていて、それがすごくカッコいいと思うんですよね。そういう、時代のムーブメントを作っていくような音楽をやれたらいいなと思います。
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