クノシンジ、「ロッテンピーチ」インタビュー

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――もう1曲はスピッツのカヴァーだね。

クノシンジ:もともと最初に音楽に興味を持つきっかけになったのがスピッツで、それからスピッツはずっと好きなんです。この曲もリアルタイムでCDを買って聴いてた曲です。カヴァーをやるならせっかくだからスピッツも、と思って探してたんですけど、なんとなく自分が歌ってるのが想像できるのがこの曲だったんです。僕はカヴァーを選ぶときはそれがテーマですね。

――スピッツの中でも自分の世界に近い曲だったということ?

クノシンジ:そうです。めちゃめちゃ好きとか歌いたいとかいうことじゃなくて、この曲をやったらうまくはまるだろうなと。自分が歌ったらこうなる、というのがイメージできる曲だったから選んだということです。

――スピッツファンとしてこだわったのはどんなところ?

クノシンジ:間奏のところは、実は別のスピッツの曲のメロディなんです。“君が思い出になる前に”っていう曲のBメロです。スピッツが好きな人が聴いたらわかるんじゃないかな、というかわかって欲しいなと思ってるんです。スピッツってけっこう似たようなコード進行の曲が多いんで、探したらはまるのがあるんだろうなと思ってしばらく探しててみつけたんです。

――カヴァー曲は他にどんなレパートリーがあるの?

クノシンジ:カヴァーをやろうと思ったのが去年の夏頃で、そのときに10曲くらいやってますね。サイモン&ガーファンクルの「フィーリンググルーヴィ」とか、「みんなの歌」でやってた大貫妙子さんの「メトロポリタン美術館」、アズテックカメラの「オブリビアス」とか、色々ありますよ。

――次にどんなカヴァーをやるの?

クノシンジ:だいたい決まってるけど、まだ具体的には明かせない。まあやるとしたら2パターンですよね。僕のルーツになっているものか、童謡みたいに意外な曲か。それ以外だと最近の洋楽のヒット曲ってのも面白いかもしれないな。

――このシングルを作る上で特にこだわったところは?

クノシンジ:太く歌うことをとくに意識しましたね。それと、より広く届くような音にしたいということ。ミニアルバムは特にポップスが好きな人に向けたものだったし、「強がりドライバー」は少しリズムやサウンドも広げられたけど、まだそんなにストレートじゃなかった。そういう意味で、今回はより多くの人に広く届くようなものにしたいと思いました。

――今回の制作中、特に印象に残っていることって?

クノシンジ:PVの撮影で怪我をしてしまったことかな。ベルトコンベアで動くセットで撮ってたんですけど、1テイク目で足をはさまれちゃいました。OKテイクだったからよかったんですけど。骨には異常がなかったので大丈夫ですけど、でもまさかPV撮影でそんな危険があるとはね(笑)。人生でいちばん痛い思いをしました。

――弾き語りのライヴもたくさんやってるけど、バンドへの憧れはないの?

クノシンジ:いや、もうバンドでやれるなら毎回やりたいくらいですよ。ただ、こうやって弾き語りをやっていくうちに、一人でやる魅力も見えてきたし、少しずつ自信もついてきた。バンドだと制約もあると思うんですけど、自分だけなら好きなように進行して好きなタイミングで歌える。アズテックカメラのロディ・フレイムが弾き語りでライヴやってるのを見て、弾き語りでもこんなにすばらしいライヴができるんだって感動したのもあるし、どんどん楽しめるようになってきてるんです。今後はバンドスタイルでもやっていきたいけど、同時に弾き語りも続けていくつもりです。

――最後に、今後挑戦したいことを教えて。

クノシンジ:バンドスタイルでライヴをやりたいというのと、その一方で弾き語りでも完成させたいと思います。より見せるライヴがやれるようになりたいですね。あと、僕の音楽はどうしても明るく楽しいという印象だと思うけど、そうじゃない曲、暗いとか深いというイメージの曲もやってみたい。そうなっていかないと世界も広がらないし、自分もつまらない。あと、誰かとコラボレーションというのも面白いと思いますね。とにかく自分の幅を広げることを考えて、色々やってみたいと思ってます。

取材・文●田澤 仁

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