[短期集中全力レポート] Dir en grey in Europe 2007 スウェーデン編(2)

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▲Dir en grey入場列の様子。端から端までを収めようとすると、数カットが必要となる。
8月7日、午後10時10分。ちょうど1時間半前に始まったDir en grey史上初のストックホルム公演は、アンコール最後の「CLEVER SLEAZOID」で幕を閉じた。が、メンバーたちがステージ上から消えても、会場となったARENANのフロアを埋め尽くしたオーディエンスはなかなかその場を立ち去ろうとしない。結果、再度のアンコールを求める合唱と手拍子が止み、穏やかな拍手と歓声に転じたのは、それからさらに5分後のことだった。

観衆が帰路に就いた直後のフロアは、まさに“嵐のあと”の様相だった。汗で濡れたフロアに散乱しているのは、靴下、安全ピン、チェーン、スカーフ、サングラス、靴、さまざまなアクセサリーの破片、ちぎれた衣服の一部と思われる生地……等々。髪の毛がごっそりと束になって落ちているのを見つけたときにはゾッとしたが、よくよく見てみればエクステンションだった。

会場のセキュリティを務めていた女性に話を聞くと、こんな答えが返ってきた。
「10代の女の子たちが、好きなものに対して熱狂的になるのは昔から同じ。私にも身におぼえがあるし(笑)、こういったヒステリックな反応というのはスウェーデンでも珍しいものではないわ。だけど、これほどに極度の熱狂というのはあまり見たことがないわね。マドンナのライヴでさえ、ここまでじゃなかった気がするし」

会場の外には、終演から1時間以上を経てからもたくさんのファンの姿があった。満面の笑みを浮かべながら僕に近付いてきて「彼らに“サイコーだった”って言っておいて!」と言うファンもいれば、「思ってた以上にアグレッシヴだったし、ちょっと怖かったかも」といった声も聞こえてきた。が、誰に話を聞いても共通しているのは「また観たい」、「彼らに、またこの国に来てくれるように伝えて欲しい」といった言葉だった。

そして深夜1時を過ぎた頃、一行を乗せたツアー・バスは、ゆっくりと次の目的地に向けて動き始めた。向かう先はデンマークの首都、コペンハーゲン。これから約半日後、彼らはすでに、同市内にあるVEGAという会場の楽屋にいるはずだ。

文●増田勇一
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