ジャパハリネット、ラストアルバム『夢色ロジック』インタビュー1

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――前の「インダーソング」も今度の『夢色ロジック』もとてもいい仕上がりだから、年内で解散なんて信じられない。いったいなにがあったの?

 鹿島公行(以下鹿島): 色々あるといえばあるんだけど、まあ自然の流れでこうなったというところですね。簡単に言えば音楽性の違いということになるけど。僕自身としては、松山、そしてジャパハリネットという環境の中で、やれることは全部やりきったかなと思ってます。
 城戸けんじろ(以下けんじろ): まあ僕なりに考えると、解散って男と女が別れるみたいなもんかな。そんな感覚でとらえてもらえればいいと思いますが。
 鹿島: 「夢色ロジック」のレコーディング中から、この先どうするかを話さなきゃいかんとは思ってたんですけど、まあレコーディング終わってからということで、レコーディング後に話し合ったんです。

――その話をみんなはどう受け止めた?

 中田衛樹(以下中田): 僕は、ひとつのいい機会だと思いました。自分がこれからどうするか、この先音楽をやるのかやらんのかまで含めて真剣に考えたことがなかったんで。惰性でやってるような気がしたこともあったけど、たいてい目の前にやらないかんことがあってきちんと考えてこなかったから。
 中岡りょういち(以下りょういち): そういう話し合いをレコーディングが終わってから持てたというのが、いいことやなあと思って、ちょっと前向きになれたんです。これまでいい関係でやってこれたからかなあとも思いましたね。
 けんじろ: 僕は正直、最初はびっくりしましたね。レコーディング中もそのことで頭の中がいっぱいになりそうだったけど、とにかくレコーディングに集中してやってきました。僕はよく他人に相談するタイプなんだけど、自分がホントにどうしたいのかを自分だけで考えて、それからメンバーと話をして、という時間が持てたのは、確かにいい機会やったなと思います。

――前向きにいい話し合いができたんだね?

 中田: 今思えばですけど、そういうことを考えなきゃというのが、やっぱりみんなどこかにあったように思います。解散という結論になったけど、みんな前向きに考えられたんで、これはこれでよかったかなと。

――じゃあ解散の話はこれくらいにして、アルバムの話をしましょう。今回の『夢色ロジック』を作るにあたって考えたことは?

 鹿島: 今回の全体の一貫したテーマは“夢”ということで。音については、シンプルを極めるというところからもう一歩進んで、シンプルな中にもっと奥行きを持たせようと、各自が色々とやってみました。というか奥行きが出ない方向は意地でもやらん、という方針で。まとまるかどうか心配もあったけど、やってみたらなんとかなるもんやなと思いました。

――歌詞の世界も“夢”というテーマを反映したもの?

 鹿島: いやそれが逆なんです。僕はいつもそうなんだけど、歌詞が半分くらいできあがってくると、タイトルとかアルバムの方向性が見えてきて、それに沿って残りの半分を作っていくという感じ。今回もそうでした。

――今回初めてチャレンジしたことは?

 鹿島: リズムのことでいうと、ドラムの8ビートに乗せて僕がただルートをダダダダッて弾くのがこれまで多かったけど、そういうのが今回はほとんどないです。「インダーソング」のときにその方向で少し試したんだけど、今回はさらにその先に行ってみたっていう感じ。
 りょういち: シンプルな8ビートをやめようと思ったわけじゃないけど、その中で色々なことができるんじゃないかなと。結果的に、鹿島君が最初に歌を持ってきたときのイメージのままでき上がった感じです。

――その結果が、たとえば1曲目の「流転の咲く丘」の幅のあるリズム、ということだね?

 鹿島: そうです。この曲は最後に、ホントにレコーディング中に出来上がったんです。今まではスピーカーで鳴らして作っていくのが当たり前だったんだけど、今回はヘッドフォンで作ったんです。音圧とかでごまかしてきたことがシビアに見えてきて、作り方が根本的に変わりましたね。この曲はそれがうまいこといったと思います。

――「直球フラストレーション」や「ステレオロンダリング」などはポジティブでスピーディ、いかにもジャパハリらしい曲だね。

 鹿島: そうですね。ただ、「直球…」は作るのに一番苦労したかな。これ、みんなで合わせてからは早かったんですけど、その前に僕のほうで作るときにすごく時間がかかった。たとえば循環コードを使う場合でも、僕は4つとか7つのコードで循環するのが多いんですけど、今回はひとつ挑戦として、それを2つとかにしてみようと。コードを7つとか4つとか使うとだいたい同じようなことしか出来なくなっちゃうんですけど、それを減らすとやれることが多くなるんです。僕のベースなんかとくにそう。構成をとことんシンプルに作っていくことで、なんらかの色をつけてやらないといかんので、そうなるんです。


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