ツアーも中盤!Dir en grey、より深い世界観へと挑む

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去る3月10日、幕張メッセ・イベントホールでの公演を皮切りにスタートしたDir en greyの全国ツアー、<TOUR07 THE MARROW OF A BONE>も折り返し地点に到達。3月29、30日の両日には、東京はNHKホールでの二夜公演が行なわれた。

ツアー初日の模様については以前ここでもお伝えしたが、今回の二公演についても最新アルバム『THE MARROW OF A BONE』の世界観体現に重きを置いた内容であることに変わりはない。また、セット・リスト自体についてはいくつかのマイナー・チェンジが見られたものの、幕張メッセや大阪ATCホールでのライヴで披露された「ain't afraid to die」のようなサプライズ曲が飛び出す場面も皆無ではあった。が、ひとつ確実に言えるのは、演出効果なども含めて徹底的に打ち出されている『THE MARROW OF A BONE』の世界というものが、いっそう明確なものになりつつあるということだろう。

例によって基本的に暗い状態の続く照明は、メンバーたちの表情すら確認させてくれないようなありさまではある。が、彼らにはそれ以上に伝えたいもの、提示したいものがあるわけだ。同時に、そうしたきわめて一貫性の強いライヴ・パフォーマンスだからこそ、本編終了とともにメンバーたちもオーディエンスも一気に解き放たれることになる。



実際、両日ともアンコールを求める歓声の大きさは尋常ではなかったし、それに応えてふたたびステージに登場した5人も、まさに“構築”の直後に“破壊”を実践してみせるかのような攻撃的パワーを感じさせてくれた。

ひとつ印象的だったのは、30日のアンコール時のこと。鳴り止まない歓声のなか、メンバーたちがなかなか姿を現さず、筆者は何らかのトラブル勃発により演奏を再開できずにいるのではないかと危惧していたが、事実はむしろその逆だった。本編で演奏された際、機材のコンディション不良のため満足な音響効果での再現がままならなかった「CONCEIVED SORROW」がもう一度プレイされることになり、その準備のためにスタッフも含めて手間取っていた、というのが長いインターヴァルの真相だったのだ。

京自身、ステージに再登場した際に「何やってるか、わからんかったから」と再演理由を述べていたが、最新アルバムを語るうえで欠かすことのできないこの曲を満足なカタチで披露できないままこの夜の公演を終えてしまっては、彼ら自身もきっとワダカマリを残すことになったに違いない。もちろん超満員の観衆もこの提案を歓迎しないはずはなく、予期せぬ二度目の「CONCEIVED SORROW」に大喝采となった。しかも、続けざまに演奏されたのは「LIE BURIED WITH A VENGEANCE」。期せずしてアルバムの冒頭2曲が連続して披露されることになったというわけである。

両日の公演チケットはもちろんソールドアウト。客席には彼らの先輩/後輩にあたるさまざまなミュージシャンたちや、邦楽/洋楽の垣根を越えた業界関係者も数多く見られ、なかにはこの公演を観るためだけに香港からやってきたというファンの姿もあった。もちろんこのツアーはまだまだ終わらないが、残された公演のチケットがすでに入手困難な状況にあるのも事実。

そんななか突然、追加公演決定という朗報が届いた。4月23日にZepp Nagoya、そして25、26日に大阪のなんばHatchで行なわれるもので、言うまでもなくどの公演のチケットも完売必至だから、早めの手配を心掛けたい。お問合せは03-3470-9999、フリップサイドまで。

さらに、今後の海外での活動展開などについても情報の飛び交いつつある彼らだが、それに関してはごく近いうちに、また改めて詳しくお伝えしたい。

取材・文●増田勇一
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