BEGIN、『オキナワン フール オーケストラ』インタビュー・フルバージョン

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──「青い真空管」はまさに、そういったレコーディング作業だからこそできた曲だと感じます。アイデアが豊富で。そしてCSN&Yっぽいというか、洋楽っぽいんですよね。

島袋:20代の頃は洋楽っぽければカッコいいと思ってましたね。憧れとコンプレックスですよね。でも、ナッシュビルとメンフィスに行ったときに、物まねをしてても仕方がないって気づいたんです。それで日本人としての音楽を追求し始めたんですけど、でもやっぱりCSN&Yは変わらずに好きで。この曲はそういう双方の要素が上手くマッチングしたかなと思っています。

比嘉:思いつきでどんどん変えていったよね。“これ三線入れたほうがいいんじゃない”って言って、三線入れたんだよね。

島袋:けっこう面白いトライをしてるんです。実は、コードと歌が微妙にぶつかってるんです。だからコーラスがCSN&Yっぽいでしょ。でも三線だけはコードに沿って弾いてるんです。沖縄音階なんですけど、ぶつからないメロディを弾いているんです。だから不思議な広がり感があるでしょ。これは上手くいきましたね。こういうこと、昔は自然にできなかった。単に物真似になってましたね。

──「Midnight Baseball Blues」は革命的な曲ですね。これはポカンと口をあけて聴きましたよ。

比嘉:この詞は7年前くらいにあって、とても曲にはならないと放ってあったんです。当時のことは覚えてないんですが、形式みたいなことを壊したかったんだと思います。僕たちって、一言一句をキッチリ作るんですよ。歌詞でも、プリントアウトして形がきれいだと良い詞だとか。内容とかは別にしてね。

上地:そうだよね。

比嘉:ある日、そういうのがイヤになったんでしょうね。思うままに書いて、これで出来上がりってことにしたのが、この歌詞です。でもどんなメロディをつけていいのかまったくわからなかった。今回、優がこれやろうって言い出したから、引っ張り出してきたんです。それで言葉とかをちょこっと変えながら気づいたのは、僕一人で歌おうと思うからできないんであって、優と等が歌えば完成すると。3人がそれぞれメロディをつけてて、それを沖縄で持ち寄ったんです。

島袋:栄昇はブルースみたいにやりたいって言ってて、等はニューオリンズみたいに。僕は江利チエミさんみたいにやりたいってバラバラだったんですよ。じゃ、それを一緒に合わせちゃえみたいになって。それが、野球場から飲み屋に流れていくっていう流れに上手く乗っったんですね。

比嘉:やってる最中は、とんでもない洞窟に迷い込んだようで、お先真っ暗でしたね。

上地:いつ終わるんだよってね。

島袋:6つのパートをひとつずつ自分たちだけで完成させていくのが大変で。楽器もそんなにはないから、栄昇の子供のキーボードを使ったり。手作りの楽器を使ったり。

比嘉:できたものを聴いて、そこで頭の中で鳴った音をまた足していくっていう作業なんですよね。“いまシンバルの音、頭の中で聞こえた?”って聞いたら“聞こえたよ”って。そしたら、“しょうがないなぁ、聞こえたなら入れるか”っていう具合に。

島袋:120トラック行きましたからね。

──どの曲も展開しないで、あっさり終わりなんですよね。よくあんなに思い切ったことができましたね。

上地:(まとめあげるためには)それしかなかったんですよね。最後にイントロの雰囲気に戻ろうかと思ったんですけど、それもやめて。

島袋:最後の曲は後で付け足したんです。あれは別の曲。「屋富祖エレジー」と言って、「Midnight Baseball Blues」のアンサーソングになっているんです。

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