【佐伯 明の音漬日記】Mr.Childrenの「しるし」を聴く

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2006.10.×

Mr.ChildrenのNEW sg「しるし」を聴く。


ピアノ1本からスタートする、彼ららしいミディアム・バラッド。

例えば……

信号では、赤=STOP、青=GO、黄=NOTICEというふうに「色と役割」は確定している。

深紅に近い赤色だからといって、急に止まらなければならないわけではないし、
反対に薄い青色だからといって、ゆっくり発進しなければいけないわけでもない。

むしろ、そうした微妙な差異は、交通ルールには、さして必要ない。

僕らの生活のルールというのも、半ば同種のもので、
ゴミを出すことに関して問われるのは“曜日と時間”であり、
ゴミを出す時の“気分”は、ルールには関係がない。

恋愛にも、大前提の“人としてのルール”があり、
それを逸脱すれば、恋愛感情とは別の
感情と行動が生まれる場合もあるだろう。

人としてのルールを無意識に遵守し、人を好きになったことで
生まれた感情を、よくある紋切り型な感情と
セグメントしてしまわないために、
Mr.Childrenにとっての音楽はあるような気がする。

桜井和寿は「しるし」について“愛情が高まった二人の物語なのか、
離ればなれになる二人の物語なのか。そのどちらとも受け取れる
ラブソングです”と言っている。

ほんの少しの感情の差異が真逆の事態を生んでしまうことも含めて、
不安定かつ微妙な感情を肯定していく、
そのことを音楽で示している「しるし」は、
どこかMr.Childrenの初期を感じさせる楽曲になっている。

そして、そこに、とても興味をそそられる。


Mr.Childrenのニュー・シングル
「しるし」
2006年11月25日発売

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