【佐伯 明の音漬日記】徳永英明氏のニュー・アルバム『VOCALIST2』を聴く
2006.08.×
徳永英明氏のニュー・アルバム『VOCALIST2』を聴く。
「100回の練習よりも1回の本番を」とは音楽でもスポーツでも言われることである。これには一理あるとは思うが、半分は正しくない。つまり「1回の本番も100回の練習を失っては何になろう」ということだ。
本番に無理な力をまったくかけないために、100回の練習はある。本番では無理な力をどこにもかけず、自然の力に身体を預けるが如く無心で歌う・無心で打つのだ。そして、何百回何千回というライヴ本番の蓄積の果てに、レコーディング本番でも、自然の力に身体を預けるように歌うことができる例がある。
昨夏リリースされた『VOCALIST』が図抜けていた点は、徳永が言うところの“神棚に供えられた楽曲”=ヒット曲の持つ<波動>に、彼が身体を預けるように歌ったところである。そう、わかりやすい感情移入が見て取れるヴォーカリゼイションなど一切なく、無感情に歌っているように聞こえて、そのまったく逆の、言わば感情を昇華させる歌唱があったことに異を唱える者はいまい。それは“半透明”な歌唱だった。本作にもそれは引き継がれている。
2作目ということで、選ばれるであろう楽曲が推理できるようになった。ちなみに僕の予想した楽曲は、13曲中4曲当たっていた。言い換えれば、神棚に供えられた楽曲は、それほどたくさんはないということでもある。前作とダブるシンガーは、ユーミン、中島みゆき、竹内まりや、山口百恵、ドリカムである。徳永は「このVOCALISTというものをシリーズ化したい」と発言していたが、間違いなくそうなることがわかる、他のカヴァー集がまったく追いつけない価値がある。
(付記)8月5日の野外ライヴ@よみうりランドEASTは、猛暑で、徳永さんの体調が心配されましたが、蜃気楼のように立ち上がる独特の歌世界に脱帽。ベタな言い方ですが「歌は魂の欠片」という形容がぴったりでした。
文●佐伯 明
徳永英明氏のニュー・アルバム『VOCALIST2』を聴く。
「100回の練習よりも1回の本番を」とは音楽でもスポーツでも言われることである。これには一理あるとは思うが、半分は正しくない。つまり「1回の本番も100回の練習を失っては何になろう」ということだ。
本番に無理な力をまったくかけないために、100回の練習はある。本番では無理な力をどこにもかけず、自然の力に身体を預けるが如く無心で歌う・無心で打つのだ。そして、何百回何千回というライヴ本番の蓄積の果てに、レコーディング本番でも、自然の力に身体を預けるように歌うことができる例がある。
昨夏リリースされた『VOCALIST』が図抜けていた点は、徳永が言うところの“神棚に供えられた楽曲”=ヒット曲の持つ<波動>に、彼が身体を預けるように歌ったところである。そう、わかりやすい感情移入が見て取れるヴォーカリゼイションなど一切なく、無感情に歌っているように聞こえて、そのまったく逆の、言わば感情を昇華させる歌唱があったことに異を唱える者はいまい。それは“半透明”な歌唱だった。本作にもそれは引き継がれている。
2作目ということで、選ばれるであろう楽曲が推理できるようになった。ちなみに僕の予想した楽曲は、13曲中4曲当たっていた。言い換えれば、神棚に供えられた楽曲は、それほどたくさんはないということでもある。前作とダブるシンガーは、ユーミン、中島みゆき、竹内まりや、山口百恵、ドリカムである。徳永は「このVOCALISTというものをシリーズ化したい」と発言していたが、間違いなくそうなることがわかる、他のカヴァー集がまったく追いつけない価値がある。
(付記)8月5日の野外ライヴ@よみうりランドEASTは、猛暑で、徳永さんの体調が心配されましたが、蜃気楼のように立ち上がる独特の歌世界に脱帽。ベタな言い方ですが「歌は魂の欠片」という形容がぴったりでした。
文●佐伯 明
徳永英明 のニュー・アルバム 『VOCALIST2』 2006年8月30日発売 |
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