<FRF'06>豪雨の中、ステージが進む程にオーディエンスを増やしたストレイテナー

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夏フェスの常連であるだけでなく、アジカンやエルレと並んで、新世代邦ロックを代表するバンドの一つでもあるストレイテナー。今年3月にはフル・アルバムとしては3作目となる『Dear Deadman』をリリースした彼ら。ホリエ(Vo/G)自ら“肩の力を抜いて”作ったと話す新作はポップさ溢れる内容だ。しかし、それは前作『TITLE』で作り上げたテナーのサウンド、そして無数にこなしたフェス、ツアーから得た揺るぎない自信があってこそなのだろう。

そんな新作を引っさげてのフジロック出演であったが、会場は生憎の雨。天候に恵まれた今年のフジロックだったが、ホリエ自らMCで“どうせ降るんだろうと思ってたら、ホントに降っちゃった”と笑ったように唯一大雨が降った2日目の、それも雨足が強い時間帯でのライヴとなってしまった。しかしながら、天気の陰気さはメンバーの気合と演奏が完全に吹き飛ばしてくれた。ドラムのナカヤマシンペイは旧日本海軍の軍艦旗、旭日旗を背中にあしたらったTシャツで登場! イギリス出身のビッグ・バンドの出演が多く、またユニオンジャックをあしらったファッションの洋楽ファンの姿も多い中、“日本人だってやればできるんだ!”という無言の気合がビリビリ伝わってくる。

ポップさ溢れる泣きメロを、この目の前で見ていても、とても3ピースとは信じられない重厚かつ立体的なサウンドで奏でるのはストレイテナーの真骨頂。彼らのライヴで失望させられたことはないが、この日のライヴも期待を裏切らない素晴らしいものであった。3ピースにしか出せない歌唱と演奏の一体感をセクシーな歌声で歌い上げたホリエ、グルーヴ命のサウンドを支えたベースの日向もさることながら、最大級の賛辞を送りたいのはドラムのナカヤマだ。ドラムのない小節ではドラムセットを離れ、ステージ上で一オーディエンスと化し、ホリエのギターで子供のように踊りまくっていた彼。心からフジロックを楽しんでいる様子がうかがえ、演奏面だけでなくオーディエンスを気持ちの面でも盛り上げてくれた。

天候のせいもあり、最初は満員とは言いがたかったホワイト・ステージはライヴが進むにつれて大雨の中どんどん人が集まってくる。あの雨の中、踊り狂っていたオーディエンスの姿こそが、彼らのライヴへの正しい評価だと言えるだろう。

取材・文●suepyon

7/29 WHITE STAGE

1. TRAVELING GARGOYLE
2. PLAY THE STAR GUITAR
3. Dead Head Beat
4. The Novemberist
5. Discography
6. Blue Sinks In Green
7. 新曲
8. KILLER TUNE
9. YES, SIR
10. TENDER
11. Melodic Storm
12. MAGIC WORDS


FUJI ROCK FESTIVAL '06特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000025344
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