──そのストイックさというのは、歌に対しても表われてますよね。
「僕にとって、歌うこと自体が軽いことでは無いんです。歌は、生き様や人となりが表現として出てしまうし、歌うことに対して使命感を持っている。敬意も強く持っているし、すごく崇高なものだと考えています。そのせいで、結構しんどかったりもするんですけど(笑)。歌って、“わー、楽しい! 終わり”というものではなく、結構切実なものなんです。身を削るべきもの、という気がしてます。抽象的ですけど、それだけむき出しになる作業かと。」
──その“うた”に対する真摯な思いが、平井さんが老若男女に受け入れられている理由なんじゃないでしょうか?
「老若男女ですか? そんなことも無いと思うんですけど(笑)。ただ、上の年代の方に評価していただけるのは、すごくうれしいですね。僕自身が、(美空)ひばりさんをはじめ昔のムード歌謡の楽曲とか、ちあきなおみさんの世代の方の歌とか、さらに演歌なども年々好きになっていて。ひばりさんはもちろん、ちあきなおみさんの歌を聞くと、歌手を辞めようかなと落ち込んじゃうんですよ、すごすぎて。それらをリアルタイムで聴いてる人の耳って、すごく肥えてると思うんです。だから、そういった世代の方から評価されるのはとてもうれしいです。」
──平井さんにとって、美空ひばりさんはどんな存在ですか?
「美空ひばりさんって僕が知る限り、地球上で一番すごい歌手だと思います。あんな天才的な音程の人って、世界中見ても見当たらない。神様みたいな人の歌を普通にラジオから聴いていたなんて、すごいセンスになるんだろうなと思いますよね。僕のおばあちゃんも一緒にテレビ番組を見ていて、たまにズバッと鋭いことを言ったりするんですね。“このコは歌声が軽いなぁ”とか。“鋭っ”って(笑)。」
──最後に、“次はこんなのをやってみようかな”という展望を教えてください。
「そればっかりは分からないんですが、今は甘い甘いラヴソングを書きたいなと思っているんです。まぁ、今後どうなっていくかわからないんですけど。今は引き続き、甘~い甘~いポップスを、とは思っています。キュンキュンしたい……(笑)。気持ち悪いですけどね、34にもなって。いい年こいても今は、そういう感じですかね(笑)。」
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