東京事変、数々の演出で魅せたライヴをレポート
日本のミュージック・シーンで圧倒的な存在感を放つ、椎名林檎率いる東京事変。今年1月にリリースした2ndアルバム『大人(アダルト)』はバンド史上初のチャート1位を獲得し、名実ともにトップクラスのバンドとなった。そんな彼らが今年の4月から、全国21公演を行なう全国ツアー<“DOMESTIC!”Just can't help it.>をスタート。そのなかで5月25日にNHKホールで行なわれたライヴをキャッチした。
期待と緊張でざわめく満員の観客を待たせること15分。会場の電気が消え、それと同時にステージの前に下りていた垂れ幕が、半透明の巨大スクリーンに変った。そこに雪の降る映像が映し出されて雪景色と化したステージに、真っ白の着物に身を包んで和傘をさした椎名林檎が姿を現わし、ライヴは「雪国」で幕を開けた。会場にいる全ての人の想像を超えていたであろうその演出に、会場中が息を呑んだ。そして「雪国」が終わると同時に、白い着物の中からグラマラスな青のサテンのワンピースを着た椎名林檎が飛び出した。東京事変ライヴ、スタート。
ライヴの冒頭からも分かるように、今回のステージは映像を駆使した演出で行なわれた。ステージの背面、左右、天井に真っ白のスクリーンを張り巡らせ、まるでメンバーが白い箱の中にいるよう。そのスクリーンに映し出す映像とのコラボレーションにより、全曲で違う世界を築いてみせたのだ。時にはブロードウェイのようであり、時には日本絵巻のようであり、または広大な丘の上のようであり、場末のパブのようであり、モダンなショウウィンドウのようであり・・・。
椎名林檎の衣装替えの間にインストでプレイした「顔」では、映像とのコラボレーションによって、ステージ中央に置かれた裸の木に葉が生い茂り、再び枯れてゆくという演出も。その間に、煙草を吸って落ち着きはらったメンバーの煙草の火が、ボーっと光る。なんとも絵になるバンドである。
もちろん派手な演出だけではなく「手紙」や「スーパースター」では、ごくシンプルな演出で歌と言葉をフィーチャー。ひとつひとつの言葉を会場いっぱいに響かせ、椎名林檎がこだわる“言葉の力”でオーディエンスを感動で震わせた。そして感動に震えたかと思ったら、メンバー全員が楽器の代わりに拡声器を持ってステージ前方に登場。ダンスつきで「サービス」を歌うコミカルなパフォーマンスに、会場から笑いがこぼれる。全曲で深い世界観を持っていながら、1つ前の曲の色もあっさりと次の曲で塗り替えるこの変わりよう。このショウは“ライヴ”というより“舞台”という言葉がふさわしい。
2時間近くに及んだこのショウでは、バンドが完全に客席をリードし、最高のエンターテインメントを見せてくれた。音楽という方向に全力で向かいながらも、そこにきらびやかなパフォーマンスと演出を飾りつけ、それはそれはゴージャスなステージだった。他のライヴでは決して味わうことのできない感動と満足感がそこにはある。次のツアーではまた新たな手法で楽しませてくれるに違いない。今回見逃した人は、次の機会を逃さずに。
Photo By 三吉ツカサ
期待と緊張でざわめく満員の観客を待たせること15分。会場の電気が消え、それと同時にステージの前に下りていた垂れ幕が、半透明の巨大スクリーンに変った。そこに雪の降る映像が映し出されて雪景色と化したステージに、真っ白の着物に身を包んで和傘をさした椎名林檎が姿を現わし、ライヴは「雪国」で幕を開けた。会場にいる全ての人の想像を超えていたであろうその演出に、会場中が息を呑んだ。そして「雪国」が終わると同時に、白い着物の中からグラマラスな青のサテンのワンピースを着た椎名林檎が飛び出した。東京事変ライヴ、スタート。
ライヴの冒頭からも分かるように、今回のステージは映像を駆使した演出で行なわれた。ステージの背面、左右、天井に真っ白のスクリーンを張り巡らせ、まるでメンバーが白い箱の中にいるよう。そのスクリーンに映し出す映像とのコラボレーションにより、全曲で違う世界を築いてみせたのだ。時にはブロードウェイのようであり、時には日本絵巻のようであり、または広大な丘の上のようであり、場末のパブのようであり、モダンなショウウィンドウのようであり・・・。
椎名林檎の衣装替えの間にインストでプレイした「顔」では、映像とのコラボレーションによって、ステージ中央に置かれた裸の木に葉が生い茂り、再び枯れてゆくという演出も。その間に、煙草を吸って落ち着きはらったメンバーの煙草の火が、ボーっと光る。なんとも絵になるバンドである。
もちろん派手な演出だけではなく「手紙」や「スーパースター」では、ごくシンプルな演出で歌と言葉をフィーチャー。ひとつひとつの言葉を会場いっぱいに響かせ、椎名林檎がこだわる“言葉の力”でオーディエンスを感動で震わせた。そして感動に震えたかと思ったら、メンバー全員が楽器の代わりに拡声器を持ってステージ前方に登場。ダンスつきで「サービス」を歌うコミカルなパフォーマンスに、会場から笑いがこぼれる。全曲で深い世界観を持っていながら、1つ前の曲の色もあっさりと次の曲で塗り替えるこの変わりよう。このショウは“ライヴ”というより“舞台”という言葉がふさわしい。
2時間近くに及んだこのショウでは、バンドが完全に客席をリードし、最高のエンターテインメントを見せてくれた。音楽という方向に全力で向かいながらも、そこにきらびやかなパフォーマンスと演出を飾りつけ、それはそれはゴージャスなステージだった。他のライヴでは決して味わうことのできない感動と満足感がそこにはある。次のツアーではまた新たな手法で楽しませてくれるに違いない。今回見逃した人は、次の機会を逃さずに。
Photo By 三吉ツカサ
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