――大阪でのストリート・ライヴをキッカケに音楽に目覚めたそうですね。
平 絵里香(以下、平):そうなんです。それまでは学園祭の舞台でライヴをやったこともあるですけど、エレキ禁止で(笑)、アコースティックだけでやったんですね。でもただ音楽が好きで、ってくらいで。
――それがどうしていきなりストリートをやろうと?
平:大阪のストリート・ライヴって、“誰か聴いて!”って感じじゃないんですよ。通りすがりの参加したいおもしろい人たちがなんとなく集まって、そこで遊んで、演奏してるって雰囲気なんです。だから周りの目も全然気にしなかったし、仲間と遊んで、ブルーハーツや憂歌団を歌ってる感じだったんです。
――なるほど。そこからもう一歩音楽に踏み込んでいったのは?
平:みんなと一緒に演奏していて、“私もギターうまくなりたい”“歌がうまくなりたい”ってなって、ついには“負けたくない!”ってなって(笑)。それでがんばってたんです。
――それから上京してプロを目指したわけですね。
平:そうなんです。大阪でストリートやってたら、ミュージシャンの方がたまたま観てくれて「東京に来て歌ってみたら?」って言われて。それでときどき夜行バスに乗って上京して下北沢や吉祥寺のストリートで歌うようになって。それで東京に興味わいちゃって……。こっちに来れば何か魔法が起こる!って感じちゃったんですね(笑)。で、引っ越しもして、ライヴハウスでも演るようになって。その後、今の事務所のスタッフに声をかけられてって感じなんです。 ――そしてついに今回、メジャーデビューとしてアルバム『顔色スピーカー』を出しますが、これはGOING UNDER GROUNDの河野丈洋さん、YKZの田中秀基さん、おおはた雄一さんとミュージシャンの方がそれぞれプロデューサーとして数曲ずつ担当してますね。このアイデアは?
平:スタッフからのアイデアだったんですけど、ああ、いい~うれしい!って思いましたね。YKZとか昔聴いてたし(笑)、GOINGのライヴも大好きで、一緒にできてうれしい!って。
――3人と作業して、それぞれ感じたことは?
平:田中さんには私の強い部分を出してもらって、丈さんには私の乙女な部分を出してもらって、おおはたさんには私の弾き語りで素の部分を、輪郭の部分を出してくれたなって思いました。メジャーで初めてのアルバムだから、平絵里香がどういうミュージシャンか分かってもらうものがよかったんですね。それをそれぞれ引き出してくれたなぁって。――私は以前、収録曲の「鳥ロケット」をライヴで聴いて、すごく生々しくて弾き語りで剥き出しなイメージが強かったんだけど、このバンドのアレンジはソフトで新鮮でした。
平:そうですね。私も弾き語りでいつもやっていたので、素のままでやってたんですけど、バンドでアレンジされると“ああ、ピアノがこう入るんだ! ステキ!”って驚きましたね。
――あと平さんの書く詞ですが、どれもどこか満たされてないところがありますね。
平:恋愛うまくいかないんですよね(笑)。フィクションで書いてるんですけど……幸せ幸せって歌うとうっとうしいと思うし。
――アルバムが出ましたが、やはり平さんは生で歌うことも、ひとつ重要な要素だと思うのですが。
平:そうですね、ライヴは大好き! CDでもそうなんですけど、とにかくいろんな人に聴いてほしいんです。それにはライヴってすごくいい手段だし。それでいろんな感想を言ってほしいですね。
取材・文●星野まり子
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