陰陽座 ユーロツアー総括インタビュー
──では、パリでは陰陽座は、ムードミュージックとして捕らえられていたって言う結論にしちゃおう（笑）。
瞬火：ある意味で、ムーディーなことにかけては世界屈指ですよ（笑）。
──斗羅さんは、大ファンの阪神の優勝が今回のツアーに重なりましたね。
斗羅：パリの人は、阪神タイガースっていう固有名詞を知ってましたね。優勝したことをMCで喋ったら“オオッ！”てなってましたよ。だから、もしかしたら日本に興味がある人は、“おお、ジャパニーズ・フェイマス・ベースボール・チーム”とか思ってるかもしれませんね。
瞬火：分からないけどワーッって言った人のほうが多いんじゃないの（笑）？
斗羅：そうかも（笑）。でも、ちょっと知ってる感があったんで、何人かは“なんか分からんけど、あいつは阪神タイガースが好きなやつや”っていう知識があったのかもしれない。
──ヨーロッパで雑誌の撮影とかがありましたが、街へ出た時の感想はどうでした？
瞬火：ヨーロッパらしい風景と陰陽座の日本的な姿が本当にミスマッチというか。出来上がった写真を見たんですけど、そのギャップが面白いことになってましたね。撮影中は本当に、旅の恥はかきすてってこういうことかなって。いや、恥ずかしかったわけじゃないんですけど、たぶん通行人の方々は面白かったと思いますよ。着物を着てるから、勘違いしたかもしれないですけどね。知ったかぶりの人が“あれはカブキだよ”」って言ったりとかね、“相撲！相撲！”とか（笑）。そういう日本に対する知識を総動員してね。
──街並みで印象に残ったことは？
黒猫：ドイツは整然としていて交通マナーとかも日本に近い。でも、フランスのいい加減さが、けっこう好きだなと思いました（笑）。路駐している車とかが“どうやって出すんだ？”っていうくらいキッチキチに停まってて、交通マナーもグチャグチャで、常にいろんなところが渋滞していて、ゴミはすごい落ちてるし。ライヴハウスでね、カメラマンの人がバナナを食べて“バナナの皮をどこに捨てたらいいですか？”って聞いたら、“そのへんに”って言われたとか。パリってイメージとしてはオシャレで綺麗な街なのにすごくいい加減で、そのギャップが好きでしたね（笑）。ベルギーは、私たちがいた場所がすごくクラシックでこじんまりとしていて。おとぎ話の街みたいで、すごく楽しかったですね。
──斗羅さんは？
斗羅：写真撮影中に優勝の話を聞いたんですよね。だから、街がどうとかっていう記憶があまりないんですよ（笑）。個人的には、ドイツが合うかなっていう気がしましたね。橋の上で撮影したんですけど、中之島みたいで大阪の雰囲気に近いものがあって、ここなら馴染めるかなっていう気がしました。あと、僕は車が好きなんですけど、ドイツ車の頑丈さとサスペンションのゆるさの理由が分かりました。道が石畳だから、フニャフニャじゃないと気分悪くなるし、みんなガンガンガンガン当てて停めるから頑丈じゃないとダメなんですよね。そういう姿勢に感銘をうけました。
──狩姦さんは？
狩姦：テレビですね。普段から基本的にずっとテレビをつけてるんですけど、海外だと何を言っているか分からないじゃないですか。それを招鬼と二人で“何かわかるはずだ！”ってじーっと何時間も見て、“分からんなーって”（笑）。それと、歩きタバコOKっていうのが良かったですね。でも心のどこかで、本当に捨てていいのかなっていうのがあったんですけど。そういう点で、僕はパリが大好きです（笑）
──招鬼さんは？
招鬼：テレビ番組は全く意味が分かんないけど面白かったですね。オーディションっぽい番組をベルギーで見て、フランスに行ってもやってて。“あ、この人昨日も出てた！”とかって、なんか面白くなってくるんですよね。あと、時間がなくて観光地には行ってないんですけど、どこを見渡しても映画みたいな、建物自体が全体的にカッコイイ感じなんでね。パリはゴミゴミしてて、下を見て歩かないと何を踏んづけるかわからないので、スリリングで楽しかった。ドイツは綺麗な建物も多かったんで、そういう分かりやすい観光地に行かなくても、ちょっとした移動の間だけでも観光しているようなもんだったので、わりとずっと楽しめましたね。
──今度、他の外国で演奏してみたいとかっていう野望は？
瞬火：一回やって、本当に楽しくて意義あるものだったけれども、それで浮き足立つことがないのが、陰陽座らしいなって思いますけどね。また行って、ガツンとライヴをやりたいっていう希望は持ったんですが、あまりイージーには考えてないです。行くならちゃんと計画して、ちゃんとしたライヴをやりたいですね。
取材・文●森本智
