| ──サウンドの展開もダイナミックですよね。最初はため息から始まるんですけど。
大塚:あははは(笑)。
──アコギから、徐々にストリングスやバンド・サウンドが入っていって、大きなうねりになっていくという。
大塚:もともとアコギは絶対“要るな”と思ってた楽器です。それに加えて、ず太いエレキが入ったり、電子音が途中に入ったり。あとは、風船が飛んでいく感じにシーケンサーを入れたり。そういう浮遊感も入れながら、不思議さとリアルさをごちゃまぜにしました。
──ジャケットなどのヴィジュアル面も今回ちょっと異質ですよね。
大塚:このジャケットを見て何を思うかは、人によってすごくバラけるとは思うんですよ。でも、わたしは、卑怯な真似はしない、何があってもそのまま受け止める、そんな感じに受け取りました。
──この、猫が立っている……というのは?
大塚:お嫌いですか?(笑) 今回、猫立ってみました。
──(笑)嫌いではないんですけど、時期的に風太君を意識したのかなと……。
大塚:風太君? あ、レッサーパンダの。レッサーパンダ君が立ったときにはもう出来てたんですよ。これを立たせたら、いろんな動物が立ち始めたんですごいなって(笑)。レッサーパンダを使えばよかった(笑)。
──「パンダに風船」になっちゃいますよ(笑)。曲名といえば、「ネコに風船」という曲名ですが、“風船”はどの辺から出てきたんでしょう?
大塚:風船は人間がたくさん持つ、小袋みたいなものをイメージしました。集めると膨らみ、失敗すると破裂する。そういう危なっかしいものだけど、飛んでいく様が切ないけど素敵だという。
──ひとりひとりの心の中にある、夢とか希望の象徴だったりするんですか?
大塚:愛ですね。ちっちゃい愛。
──その愛を猫が持っているというのは?
大塚:(小さな猫が)大きな風船を持つように、小さい愛を見つけにいこうという内容から、「ネコに風船」になりました。
──なるほど。曲全体として意識したことはありますか?
大塚:生命力のある感じですね。これまでアコースティックが強い曲ってそんなに出してないので、そういう土臭さが見えるといいなって。力強く生きて行かなきゃ、一生懸命に生きられたら素敵だなって。多分、一番心に残る曲なんじゃないかな。底の方に、重く。
──そういう気持ちはすごく伝わる曲でした。
大塚:ありがとうございます。
──最後にカップリングの「夏空」について教えて下さい。
大塚:びっくりする程、切ない曲ですよ。
──「金魚花火」みたいな感じ?
大塚:雰囲気はそうですね。でももっと冷たい感じ。全てが無くなり、なのにすごくきれいな晴天が広がる。そんな切なさが広がる曲です。
──夏といえば、もうすぐa-nationが始まりますね。基本的に夏の野外はとても似合うイメージですけど、やっぱりワンマンとは違います? 意気込みを聞かせてください。
大塚:全然違いますね。(ワンマンは)本当に自分の世界を作り込めるので。どちらかというと、a-nationは派手な花火を打ち上げに行く、そんな感じですね。まだ2回目なんですけど、去年初めての野外ライヴで掴めたことを、今年は活かせたらなと思います。
取材・文●末吉靖永 |
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