コーラスとアコギでロックするdoa、初登場インタヴュー

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「歌の上手いレーサーがいるよ」って紹介されて(笑)

徳永:いろんなアーティストに楽曲提供やアレンジの仕事をしながら、数年前から'70年代初頭のウエストコースト・サウンドをリスペクトしたような、アコースティック・ギターをフィーチャーしたコーラス・ロックのバンドをやりたいと思ってて。高音域の出る気に入った声質の人がなかなか見つからなかったんですけど、たまたま昔のバンド仲間の知り合いから「歌の上手いレーサーがいるよ」って紹介されて(笑)。

吉本:僕もずっと音楽をやりたかったんで、徳永さんっていう人に会わせてもらえるってなって「一緒にやらないか」って言われたときには「こちらこそ!」っていう感じで。

徳永:大田さんは、スタジオ・ミュージシャンの間でも高い声が出る人で有名で、実際にB'zのツアーで稲葉さんの上をハモってるのを目の当たりにして“この人しかいない”って。

――皆さんそれぞれにキャリアがあると、これもできるあれもできるってなって、いろんな技を足していきがちになりそうなところを、『open_d』はすごくシンプルにスッキリとした音でまとめていますよね。その辺りもウエストコースト・サウンド的なんですけど。

徳永:ウエストコースト・サウンドに惹かれている理由は、その背景も含めてなんですよ。'60年代後半から'70年代って、科学が進歩してアポロが月に行ったり、ベトナム戦争や学生紛争があって若い人がすごい真剣に未来のことを考えてたり、そういう混沌とした中で<ウッドストック>っていうフェスティバルがあって。そういう時代に生まれた音楽に入ってるスピリッツと、今、自然に飛び込んでくるニュースを見て感じることが、すごくリンクしてる気がしてて共感できるんです、その音楽を聴いても。“だからコーラスが入ってるんだ、だからアコースティック・ギターなんだ”って。だから僕らが歌ってる詞の内容も、日常から削ってきたものがほとんどだし。

――なるほど。作曲は普段からしているんですか?

徳永:商店街のアーケードを歩きながらとか…。僕、膝叩くの癖なんですけど、“嬉しい!”っていうときに膝叩いてたら、そのテンポの曲ができるんです(笑)。生活の一部ですね。

――大田さんは今までのバンドではエレクトリックがメインだったんですよね?

大田:どちらかといえばそうですね。だから、アコギを前面に出すdoaでのギター・プレイは気を遣いますね。

――徳永さんにとって、アコギの魅力って何ですか?

徳永:ヒューマンなところですね。曲は誰でも作れる、機械でも作れる。でも、曲が音楽になる瞬間ってあるんですよ。それは、やっぱりどっかで人間の何か、気持ちが入ってない限りは、人は感動しない。そこを追求していくと、アコースティック・ギターはちょっとしたピッキングの違いだけでも歌のように表現が変わる楽器の代表みたいな感じで。

――そういう意味では、コーラスの肉声はまさしくその筆頭にあがるものですね。

徳永:僕もこのバンドをやりたいと思うまでに“なんのために音楽をやってんだろう?”とかずっと悩んできたし。それでもう一回原点に立ち返って、何で音楽をやりたいと思ったのか、それをすごく素直に表現できるバンドを作りたいと思ったんですね。

レーサーとミュージシャンの両方で成功するのが夢なんです

――そういった想いも共有できてないとバンドって成り立たないわけですけど。それがあった上に、技術的にもクリアしているメンバーを集めるのは大変なことではないですか?

徳永:やっぱ運命的ですよね。でも、男として分かり合うでしょ、言わなくても、みたいな。そういうのを最初から感じたんで。……こんな真面目なことは今まで一度も言ったことないんですけど(笑)。

吉本:さっきも言いましたけど、僕もずっと音楽をやりたかったので。レースではそれなりにうまくいってますけど、レーサーとミュージシャンの両方で成功するのが夢なんですよ。人ができないことをやりたいんです。


――もともと歌のトレーニングを受けてたんですか?

吉本:ないですね。18歳までオーストラリアにいたんですけど、日本人向けのカラオケ屋に週2日くらい通って、キーが合う女性の歌ばっかり歌ってました(笑)。

――実際に作品を作るにあたって、どこが一番大変でした?

徳永:一番最後の曲は、全部で46トラック歌ってて。一人10回同じフレーズを歌う、みたいな感じで、体育会系なノリで歌いました。

吉本:途中から可笑しくなってきましたよ(笑)。

声が高い人だと思われるのはイヤなんです(笑)

――喉のコンディションが思うようにいかないことはなかったですか?

大田:それはもう、声も楽器なんで。調子悪いときも出てきますから、自分でちゃんと管理して。あとは気合で(笑)。

徳永:休まないんですよ、スタジオで。休憩入れようかなと思ったら「いいや」って。

大田:休んだほうがいいんでしょうけど、テンション下がるんですよ。


――大田さんは稲葉さんの上をハモっていたわけですけど、いったいどれくらいの高さまで出るんですか?

大田:(12フレットの)Eですね。最初は自分のキーがわからなかったんですけど、人から「声高いね」って言われて歌っていくうちに徐々に。変声期とかもなかったですし。普段は普通の声なので、声が高い人だと思われるのはイヤなんですけどね(笑)。

徳永:声が高いんじゃなくて、“高い声が出る”だけだから(笑)。

大田:特技です(笑)。


――ライヴでも三声で歌いまくりですか?

徳永:そうですね。誰が一番目立つか。“自分はコーラスだから”って思うとロックのパワー感が出ないんですよ。3人のパワーが全開になってないと。

吉本:僕もメインがどこなのかよく分かってないですからね(笑)。

徳永:3人で歌う生声っていうのが一番伝わりやすいんで、ぜひライヴで聴いてもらいたいなっていう想いと、ライヴでこんな曲をやりたいなと思って作ってる部分がかなり多いんで、ぜひライヴに来てもらいたいですね。

――ライヴでもこのコーラスをするんだろうなと期待させるアルバムですからね。タイトルの『open_d』はダブル・ミーニングですよね。doaの1stアルバムでドアが開く、と…。

大田:ギターのチューニングですね。開放弦でジャランと鳴らすとDのコードで鳴る、素晴らしい裏技(笑)。

徳永:僕らオープンDで弾いてる曲が多いんですよ。

大田:アコギで可能性を探していくと、変則チューニングにいきますよね。カヴァーして研究してる人たちの曲も、いろんなチューニングを使ってますし。


――ところで、doaというバンド名はどこから出てきたんですか?

徳永:大樹(daiki)、大田(ohta)、暁人(akihito)の頭文字です。大田が紳一郎なんですけど、dsaも何だなぁって(笑)。

取材●烏丸哲也
構成●BARKS編集部





1st ALBUM

『open_d』

2005年2月9日発売
GZCA-5063 \3,059(taxin)

1. open_d
2. 白の呪文
3. Siren
4. 火の鳥のように
5. 渦巻く夜空
6. 坂道
7. 無人島
8. 春一番に
9. 自由という名のブランド
10. 英雄
11. 新世界




LIVE SCHEDULE
■2月24日(木) なんばHatch
【問】キョードー大阪 06-6233-8888

■3月1日(火) SHIBUYA-AX
【問】H.I.P. 03-3475-9999



R.E.M. JAPAN TOURのサポート・アクトとして出演決定!


■3月16日(水)日本武道館
■3月17日(木)愛知県芸術劇場大ホール
■3月18日(金)グランキューブ大阪

【総合問】H.I.P.03-3475-9999


■official site■
http://www.d-o-a.jp
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