▲早出ししたコメント映像です! |
「ちいさなぼくへ」 2004年11月25日発売 MUCD-5063 \1,050(tax in) 01. ちいさなぼくへ 02. 光
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| ――シングル「ちいさなぼくへ」は、久しぶりのリリースですね。しばらく音沙汰なかったですが、何をされていたのですか?
柴田 淳(以下、柴田):引きこもってました(笑)。アルバム出すと一度リセットしたくなるんですよね。環境を変えたくなるっていうか。同じパターンで、ひとつ柴田淳のイメージが固まるには、私はまだまだだって思うんです。このままだと小さくまとまりつつあるので、いろんな要素を取り入れて新たに出発したいなって思ってて。
――意外と、向上心や野心が潜んでるのですね。
柴田:まだ私、これだ!ってヒット曲もないですし、常に露出していかないと忘れられる立場のミュージシャンだと思うんですね。だから危機感は常にありますね。今までいい意味で順調に来ていたとは思うんですが、でも、もうワンステップアップ、やり方を替えていい時期かなって。
――でも、ずっと多忙だった柴田さんだから、お休み期間でもよかったのでは?
柴田:いや、仕事があるって先が見えての休みではなかったから。気持ちは常に活動したい、早く歌いたいって思いましたよ。だからね、あんなに避けていたライヴだったけどライヴでも歌いたい!って(笑)。曲作りしようにも、精神状態が悪くてできなかったんだけど、とにかく歌いたいからってスタジオに入ったら、この曲がスラっとできたんです。
――なるほど。ではこういう曲にしようとテーマが思い浮かんだのは?
柴田:やっぱりこの休みなんですよね。毎日引きこもっている状態で、なんでこんなになっちゃったんだろうって振り返っていて。で、小さなころの私はこういう状態になりたいなんて絶対思ってなかったよなぁって考えたときに、……昔の自分をひとりの人間として捉えているんですけど、昔の私がかわいそうになっちゃったっていうか。同じ人間のはずなのに、同一人物に思えない、かなしいなって。
――でも、ラストへ向かうころにはかなり前向きで、明るく締めていますよね。
柴田:ですね。だからむりやり元気になろうってことよりは、しっかりしなくちゃって。同じ位置に立ってる2人だけどまるで違うベクトルに向かっちゃって、でもこれから前向きにしっかり進めば、あのころの夢はウソじゃない、実現できるって。自力で立ち上がれたかな。曲が形になってきて、じゃあ一度ピアノで弾き語ってみようかって試しに1番だけ歌ってみたら、……ワーっと涙が出たんですよね。それまで涙を我慢してたっていうか。自分の世界に酔ってるとか自画自賛とかではないんだけど、自分で書いておきながら自分の涙へのスイッチになっちゃった曲でしたね。
――涙を我慢してたってのは、泣くとつらい状態の自分を認めちゃうってことだったんでしょうかね。
柴田:一生懸命、踏ん張ってたんでしょうね。それでこの曲があまりにも自分の心境をリアルに表現できすぎた(笑)。肩の力が抜けて、自分でもびっくりしちゃいましたね。そこから続きの2番を書き出して、昔の自分と今の自分がつながるように……力が抜けた分、無理なく前向きになれて書けましたね。
――この曲のアレンジャーは瀬尾一三(中島みゆき、長渕剛、吉田拓郎など多くのミュージシャンの作・編曲家、音楽プロデューサーを務める)さんですが、彼にお願いしてどうでしたか?
柴田:瀬尾さんは、歌詞を聞いてからじゃないと曲のアレンジをしない方なんですね。で、私はそれまでは歌入れの前日まで歌詞を練るタイプだったし、歌詞のない状態でアレンジをお願いしていて、そのアレンジに触発されて歌詞を書くところもあったんです。だから歌詞を先にっていうのに苦労しましたね。でも、瀬尾さんにお願いしてさらに装飾がついたっていうか、豪華になったなって思いましたね。それにすごく歌いやすかったです。
――一方、カップリングの「光」はシンプルで優しい曲ですね。
柴田:ギターとピアノと歌とで一発録りしたんですよ。まさにライヴで、今までにない緊張はあったんだけど、ちょっと冒険してみましたね。歌詞は、身近な人である母を思って書いたんです。
――あ、引っ越しされたということで、親元を離れたんですよね。
柴田:そうなんです、最近、引っ越したんですよ! 一大決心でね。そうなんです、そういうのもあってこの曲書いたんですよ。
取材・文●星野まり子
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