東名阪を駆け抜けたライヴは、現代人の渇いた感情を潤す心のビタミン!

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ポップメイカー、カジヒデキがニューアルバムを引っさげ、大阪、名古屋、東京でツアーを実施!
喜怒哀楽すべての感情をストレートに音楽にぶつける彼のライヴ、
最高に楽しくて、笑いが絶えなくて、少し切なくて、
ホロリと泣けるところもあって……。
そんな彼のライヴを密着してきました!


ニュー・アルバム


「lv songs」(ローヴ・ソングス)

2004年7月14日発売
MTCD-1039 ¥2,800(tax in)



セットリスト

lv songs tour
2004年9月14日(火)
恵比寿リキッドルーム

1.Good morning call song
2.Protest song
3.Suddenly, sibylla
4.Gary hume peppermint stripe
5.Shops
6.Pass the pz
7.Siesta
8.Missing summer
9.My blue heaven
10.Holiday in Milan
11.Clock dressing
12.Old street
13.Beautiful song
14.Polite song
15.La Boum
16.This is still OK
17.Sunday

<アンコール>
18.Happiness to you
19.Queen sound babbles again
20.Hey hey baby pop

<ダブル・アンコール>
21.Footy boots
22.3:00 pm curve song

※ツアーメンバー
ASH(G)、堀江博久(Key)、荒川康伸(Dr)、ルードヴィック・ボス(G、Key、Cho)、キャロライン(ゲストVo)


オフィシャル・サイト

http://www.1fct.com/kajihideki/


<ライヴレポート>
2004年9月14日(火) 恵比寿リキッドルーム


喜びと哀しみ、孤独と幸せ、切なさと激しさ――カジヒデキの音楽には、そんな相反するの2種類の魅力が背中合わせで存在している。96年8月のソロデビューから8年の時を経てもなお、その魅力は変わらないし、と同時に2004年の現在ならではのリアルな音を私たちに届けてくれる。それは今年7月に発売されたニューアルバム『lv songs』の中でも、9月に行なわれたライヴでも同じように輝きを放っていた。

バンド・スタイルのライヴとしては1年2ヶ月ぶりのステージ。大阪と名古屋での公演を終え、ツアー最終日を迎えた東京・恵比寿リキッドルーム。彼自身の古くからの友人で固められた最強のバンド・メンバーに、気心のしれた仲間でもある素晴らしいツアー・スタッフ、温かい眼差しでステージを見守るファンの声援に支えられて、ライヴは「Good morning call song」で軽やかに幕を開けた。

最新アルバムからの楽曲を中心に、懐かしいナンバーやライヴでおなじみの曲など、彼が今歌いたい!と感じた楽曲をセレクト。そこには、誰かを好きになった時のハッピーな気持ちや失恋した時の切ない気持ち、何げない日常の中にある風景、映画や絵画や音楽から受けたインスピレーション、大好きなサッカーに捧げる想い……などなど、カジくんのライフ・スタイルが丸ごと詰まっている。もっと具体的に言うなら、トリュフォーの映画やベル&セバスチャンのPVからインスパイアされたという「Missing summer」や、ミラノという街に思いを馳せつつサッカーの試合を観ながら作った「Holiday in Milan」、ロンドン在住のペイント作家ガリー・ヒュームの作品から受けた刺激とスピリットを歌にした「Gary hume peppermint stripe」といった具合に、どの曲も豊かな好奇心とイマジネーションで溢れている。曲の合間のMCでは、そんな自分の好奇心と熱い想いを一生懸命に語ってくれる姿も感動的だ。額にたくさんの汗をかきながら……。

ライヴも終盤にさしかかると、場内がひときわ盛り上がるアッパーな曲が立て続けに演奏される。中でも1stシングル「La Boum」の人気は絶大だ。97年の正月にリリースされた曲だけど、今改めて聴いてもリアルだし、“みんな僕を好き みんな君を好き みんな自分のことも愛してる”というフレーズは本当に素晴らしいなと思う。……などと感傷に浸っていると、アンコールでは完成したばかりの新曲「Footy boots」が披露された。60~70年代のブリティッシュ・ロックの匂いがする懐かしいサウンドなのに、もぎたてのフルーツのようにフレッシュで勢いがある。そんな彼自身の止まらない衝動と音楽に対する情熱が封じ込められたニューソングをステージいっぱいに響かせて、ライヴの幕は降りた。

最近、お腹の底から笑った記憶がないなぁという人や、面白いことがない! なんて嘆いている人、涙を流すほど感動的な出来事に出会っていない人、そんな人々にカジヒデキのライヴ観戦をオススメします。喜怒哀楽すべての感情をストレートに音楽にぶつける彼のライヴは、最高に楽しくて、笑いが絶えなくて、少し切なくて、ホロリと泣けるところもあって……終演後にはきっと、「明日も元気に過ごそう!」って思えるはずですから。

取材・文●水越真弓
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