「SPEEDER」 Teenage Symphony/Dreamusic MUCT-5007 \945(tax in)
1. SPEEDER 2. Heat Wave 3. SPEEDER(English ver.)
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| ――このメンバーでバンドをスタートさせるということは、まずはここが肝心なところだと思いますが、石田さんはどうして、バンドをスタートさせようと思ったのですか?
石田ショーキチ(G&Vo/以下、石田):あんまり、大袈裟なことでは全然なくて(笑)。単にモッズのコピーバンドをやりたいと思いつきまして。みんなでコピーバンド作って、リハスタジオに入って遊ぼうよ。ということだけだったんですよ。
――そのとき、何故、モッズだったんですか?
石田:それも単純に好きな音楽をやりたい。いちリスナーとして、好きな音楽をただただ演奏できるコピーバンドっていいよなあって(笑)。みんなで集まって好きな音楽をやろうよと。じつは10年くらい前にも一度、田村君以外の3人で、一緒にコピーバンドをやらないか?っていう話で盛り上がったことがあって。確か、吉祥寺の“すずめのお宿”(居酒屋)だったと思うんですけど(笑)、そのときはいいねいいねで、そのあとみんな自分の仕事が忙しくなっちゃって。で、ここ数年でまた僕の中でフツフツとコピーバンドをやりたいという気持ちが湧き上がってきまして。で、声をかけたら、みんな乗ってくれて。
――黒沢さんは、石田さんからの電話で即答だったんですか?
黒沢健一(Vo&G):そう(笑)。「バンドやろうぜ! コピーやろうぜ!」って言うから、ああ楽しそうだね。やろっかっていうくらい軽い気持ちだったけど。
――どうやら本当に(笑)、単純に子供の頃から聞いてきた好きな音楽をコピーできたらいいねという“きっかけ”があって、このバンドはスタートした模様。ザ・キンクス、ザ・フーといったモッズバンドのコピーをやりたいというのも、ここ最近の時流に乗ってというのでは全くなく、4人が楽しめる、大好きな音楽の共通点であったというだけですね。
黒沢:みんな演奏できるしね。4人で演奏できて、なおかつ自分も楽しめるロックン・ロールのオリジナルというと、やっぱりイギリスのモッズ系のやつ。
石田:ポップで単純で、ハモれて。リズム&ブルースのテイストがいっぱいあって…となると、必然的に昔のモッズビートのバンドになるよね。
――しつこいようですが、遊び感覚でスタートした(笑)バンドが、7月28日に1stシングル「SPEEDER」をリリース、8月25日に2ndシングル「Missing Piece」をリリース、9月には1stアルバムをリリースと、息もつけないほどのリリースやライヴなども決まってますよね。CDデビューが決まって、この1stシングル「SPEEDER」ができ上がったわけですか?
石田:いやそれが「SPEEDER」はごく最初にあった曲なんですよ。ここはちょっと僕、いやらしいんですけど。最初僕と黒沢とホリくんでやろうとしたとき「ベース誰にする?」っていう話になって、僕は田村君とやりたいと言っていて。全員のプレイヤーとしてのキャラクターを知っているのは僕だけだったので、もちろん田村君とセッションしたことのあるのも僕だけだったし、だから実は田村君はすごいモッズ好きでねと、みんなに説明して。
黒沢:え? そうなのってね。
石田:彼、誘いたいんだけどさ。ま、遊びのコピーバンドだといっていても、田村君、スピッツで忙しいからやらないでしょ?って。でも、そのときはどうにかして田村君を誘う方法はないかと考えたんだよね。
黒沢:じゃあ、1曲作ろうか、オリジナルもあるぜ!っていうところをみせようと。
石田:こういうバンドにしたいんだ、俺達ただのコピーバンドじゃないんだぜ。オリジナルもやるんだぜっていう(笑)。だから、彼が好むヘヴィメタルの要素とか、イントロはザ・フーのまんまだったり(笑)、彼の感性をくすぐるようなところをいろいろ散りばめて。彼はBPM(テンポ)が速いのが大好きなのね。だから、テンポは150くらいで。それで、僕が家のパソコンで作って、黒沢に来てもらい、仮歌を入れ…それを、聴いてもらったんですよ。こういうバンドどう?って。そうしたら、きれいにひっかかってくれて(笑)。「やっちゃうやっちゃう。腕もぶんぶん回しちゃうよ!」って、すごいノリノリで。メンバーをつるための曲がまさか、デビュー曲になるとは思いませんでした。成長したなー。この曲と驚いてます(笑)。
――なんとも豪快なデビュー曲制作の裏話。しかし、石田、黒沢らしいとも言えるかも。「SPEEDER」を聴けば、メンバー全員がはちきれんばかりの笑顔で演奏していて、歌っているのがすごく良く分かりますよね。今どき、珍しいくらい真っ当なロックンロールが痛快で。
石田:やっぱり分かりますか? いや、楽しんでやるというのが本当に基本なんで。それだから、音にも表情があるんだと思う。ほんと、純粋に楽しいんですよ。この4人で音を出しているのが!
取材・文●山田正樹 |
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