| ――以前のインタヴューで「ライヴで苦手」と公言していた柴田さんですが、そのライヴDVDが発売されますが、もう羞恥プレイですね!
柴田淳(以下、柴田):ホント、そうなんですよ! あのときの緊張、プレッシャーってのはものすごくかったんですね。だからあらためてこのDVDを観るとあのときの気持ちが甦ってきて、それなりのエネルギーが必要になるんですよね。
――教会で、フルバンドで、そして柴田さんの27回目の誕生日の日、という贅沢な環境でしたよね。
柴田:ですね。誕生日にやりたいってのはスタッフ側からのリクエストだったんですね。それを聞いたとき「あ~アイドルっぽいなぁ~」って思ったんですけど(笑)、ま、ひとりで過ごすよりもみんなでライヴで過ごせればそれはまたいいかなって。会場も特別な日ということで特別な場所ってところだったんですね。歌っている私には十字架は見えなかったので、教会だからって心境の変化はなかったかな(笑)。あと、いつもイベントではアコースティックでやってきて、もうそろそろバンドでやりたいとは思ってました。サウンドにメリハリをつけるためにもかねてからの希望でもありましたね。
――ピアノ1台だけで歌うってスタイルも素適ですけどね。実際、バンドで歌ってみてどうでしたか?
柴田:意外と発見がありましたね。「変身」ではコンガを使ったんですけど合うんだって気づいておもしろかったですし。私の歌の構成ってシンプルなんですね。だからコンガ入れたい、シャララ~ンって音入れたい、っていってもぶつかることなくて。ただシンセみたいな電子音が入ると、また違うんだろうな(笑)。
――柴田さんの歌のメロディが強いから、そういう派手な音は要らないし、バンドになっても自然に聴けたんでしょうね。衣装はまっ白なドレスでしたがこれを選んだのは?
柴田:もともと前の仕事で着たドレスをすごく気にいっていて、それを着たかったんです。それはキョウイチ フジタさんってデザイナーさんのドレスで、スタイリストさんが借りてきてくれたんですけど、でももう売れてなくなっちゃってて。じゃあ、キョウイチ フジタさんの服のなかからまた選ぼうってことで今回のにしたんです。スカートははきなれてないからこれも緊張したなぁ(笑)。
――お父さんお母さん30人の前で歌ったときは、Tシャツにジーパンでしたね。
柴田:そう、あのときは楽な格好でしたね(笑)。
――このライヴで一番印象的だった、象徴的だった場面ってどこでしょう?
柴田:ライヴ自体、ものすごく緊張していたので、記憶がないっていうか気づいたら終わっていたというか。ここで歌ってよかったなって思ったのは「ぼくの味方」。(デビュー曲なので)初心に戻ったというのもあったし、ちょっとしたハプニングがあったし(誕生日だったのでバンドメンバーから思わぬプレゼントがあった)、あとね、これ、あらためて切実な歌だなぁ~!って思ったんですよね。
――祝福ムードに包まれて、柴田さん自身も感情がワーっと溢れて出し切ったあとの「ぼくの味方」だったので、スッキリ歌えたのかなと思いました。
柴田:そうですね。でも鼻声で大変だったですね(笑)。誕生日を祝ってもらったことはもちろん嬉しかったんですけど、柴田淳にとっての誕生日って10/31(デビュー曲「ぼくの味方」のリリース日)なんですね。その日を経て、デビューして2年目を迎えられて、みんなに祝福されて……いいことも、悪いことも、楽しかったことも、つらかったこともあったんですけど、どれもいとおしくて。このライヴって「イベントで対バンした人たちがどんどん売れていくんだよなぁ。私って“対バンあげまん”かも」なんてって思ってたころのだったので、あの場に私のために多くの人が集まってくれたのは、嬉しかったですね。
――2年の区切りとしても大きな意味のあるライヴだったんですね。
柴田:以前、ヴィーナス・フォート(東京・台場)でイベントをしたんですね。そのとき20人くらいしかこないかなって思ったんですけど、ふたを開けたらたくさんの人が来てくれて、即売ではありえないって言われた400枚くらいのCDを買っていただいて。でも、私って売れてないのに売れる(笑)……どういうことだろう?って思うんですね。うん、でも、信じていいファンがいるってところなんだと思います。そこを感じられたライヴでしたね。
取材・文●星野まり子 |
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