今、私が歌いたいこと、求めているトラックでできた『2004 A.I.』

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人懐っこいキャラと何でも着こなしてしまうファッションセンス……
そういった個性的な存在感はもちろんのこと、強烈な声の魅力で、
今、一番ホットな女性シンガーとして幅広いリスナーに愛されているAI。

そんな彼女が遂に2ndアルバム『2004 A.I.』を完成。
自身の“今”を強く感じさせるタイトルにも象徴されるように、
全力でぶつかった確かな手ごたえと、シンガーとして大きく成長したことが伺える仕上がりだ。
また、今作は異色のコラボレーションも話題。日本のギタリスト界でカリスマ的存在のChar、
人気レゲエ系MC/DJであるBOY-KEN、さらに富士ゼロックスのCMなどで圧巻の
ヒューマン・ビート・ボックスをみせて話題のAFRAとエレクトーン奏者のTUCKER……。
このメンツをみても今までのAIにはなかったサウンドがこのアルバムに収録されているのが分かるだろう。

そんなアルバムの内容とAI自身の音楽観に迫ります!
 



『 2004 A.I. 』
DEF JAM JAPAN
2004年6月16日発売
UICJ-1020 \ 3,059(tax in)
――前作から1年も経たないうちに今作のリリース、前作の制作が終わってすぐ制作に入ったの?
AI:曲作りは途切れることなくずっとやってる。もう次の制作にも入ってるし。

――マジで?
AI:マジだよ~! ライヴもあるし、ライヴから疲れて帰ってきてもすぐレコーディングがあったり、歌詞も書かなきゃいけなかったり、大変は大変なんだけど、やっぱり途切れちゃいけないって思うから。1曲出してそれがポンって売れるよりは、徐々に徐々にみんなが好きになってくれる方がいいし、そのためにも常に曲を出してないとって思うからね。

――曲をどんどん作っていって、それをアルバムとしてまとめたって感じなのかな?
AI:そうですね。だから特別アルバム・コンセプトとかもないですね。一曲一曲に対して、今自分の言いたいことを歌っていったって感じです。
途中、アルバムにこういう曲が足りないなって思ったら、作ったりとかはしましたけどね。

――プロデューサーが前作とだいぶ変わったね。
AI:けどプロデューサーの名前でトラックを選んではないですよ。それよりもやっぱりトラックのクオリティが一番大事だと思うんで。だってどんなに有名なプロデューサーでも、私が今欲しいものを作ってくれるかなんて分かんないじゃないですか。けど813の所に行った時に「Listen2 Da Music」のトラックを聴いて、“今、私が求めてるのはこれだ!”と思ったし、T.KURAの曲も彼の名前を聞かずに選んだトラックだったんです。「E.O.」をプロデュースした2 Soulも全然知らなかったけど、トラックを聴いてホントにヤバいと思ったし。「E.O.」のトラックも“一聴き惚れ”だったからね。

――AFRAが参加(「WATCH OUT! feat. AFRA + TUCKER」)してるのは意外だね。
AI:AFRAは元々NYで2年前くらいに会ったことがあって。NYでオープンマイクのイベントをやってて、そこでAFRAがビート・ボックスをやってたんです。観てたら私も血が騒いで、そこの主催者の人に「出させて」って言って。で、さっきビート・ボックスやってた子来てみたいな感じで、AFRAのビートに合わせて私が歌ったんです。

――凄い話だね。コラボレイトすることが運命づけられていたみたいじゃん!
AI:去年の終わりに福岡の空港でバッタリ会って「ウオ~~!あの時の!!」って大騒ぎになって。その時も、「なんかやりたいねー」って別れたんだけど、年明けにテレビ見てたらCM(富士ゼロックス)に彼が出てて、また「ウオ~~!」ってなって、思い切って連絡してみたら「やるしかないね」って…。トラックも何もないところからみんなで話し合いながら作っていったから、この曲はすごいライヴ感が出てると思いますよ。

――「Listen 2 Da Music」では音楽への愛情を歌ってるけど、今改めてこういう曲を書こうと思ったのはなぜなの?
AI:CDが売れないとか言われてるけど、けど辿っていけば私は小さい頃から音楽がないと泣いてるような子供だったし、音楽がないと生きていけないなと思ってるから。音楽って何回も聴けるし、何回でも励まされられたりするでしょ。音楽の力ってすごいと思うんですよ。けどたまに、こっちのメッセージをきちんと受け取って聴いてるのかなって思う時もあるんです。“どういう気持ちで私がこの曲を書いたのか分かってるの?”って思ったり。私の音楽には色々気持ちが入ってるんだってことも、この曲を通して言いたかったんです。

――あとラヴ・ソングが増えたよね。「Say Yes, Say No」とか、分かるわ~と思いながら聴いたもん。
AI:分かるでしょ~。はっきりしなさいよ、あんた達!っていうね(笑)。

――ラヴ・ソングを書きたいモードだったのかな?
AI:そうだね~。やっぱ嘘は書けないからね。例えば誰かに「男にフラれて~」みたいな曲を歌おうとか言われても、「いや、フラれてないから無理」って思うし。自分の今の状況と異なってることは絶対書きたくないんだよね。本当のことを言いたいし、そうじゃないと説得力もないと思うからね。

文●川口真紀
<レコーディング現場に潜入>
この日はアルバム曲の最後を飾るバラード曲「Dreaming Of You」のレコーディングスタジオ。
バラードと言うことで雰囲気を出すためブースの明かりを消し、キャンドルライトの中で歌ったAI。暗くてよく見えませんが…。
AIちゃんは、暗い所で歌うことを好むそうです。
<アルバム『2004A.I.』のジャケット撮影>
今作は、CDの中に入っているブックレットもかなり凝った作りになっている。'60年代から'04年までのファッションの変化を追ったものでAIちゃんがその時代の洋服を着こなした写真が満載。
そしてこの写真、グリーンのつなぎを着た撮影のシーンで、'70年代のファッション。
映画『サタデー・ナイト・フィーバー』のジョン・トラヴォルタなノリで腰を振りながら踊っていたAIちゃんでした…。
<「E.O.」のPV撮影>
前日が豪雨で撮影が中止になったものの、この日は雲ひとつない青空。千葉の河川敷に110メートルのレールを引き、そこをひたすら歌いながら歩くと言う演出のPV。
“チャンスは2回だけ”という条件たったが、その一発撮りの緊張感が伝わってくるテンションのPVの仕上りに。
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