【ライブレポート】HAGANE、最高な4人が集った全国ツアーファイナル

HAGANEが最新アルバム『TOP OF THE TOWER』を引っ提げて、5 月15日・仙台MACANA公演を皮切りにスタートした全国ツアーは、12公演全てのチケットがソールドアウト。バンド史上最大規模となるZepp Shinjukuを含む追加公演の開催も発表された。華やかな佇まいからはなかなか想像できないパワフル&ドラマチックなサウンドを轟かせるHAGANEは、音源作品はもちろんライブハウスでも圧倒的に輝く。ツアーファイナルとなった6 月24日・渋谷 CLUB QUATTRO公演の模様をレポートする。
SE「Top Of The Tower」が鳴り響くと、フロア全体からものすごい勢いで沸き起こった剣士(HAGANEファンの呼称)の手拍子。JUNNA(Dr)、Sakura(G)、Sayaka(B)が順番に登場してステージのセンターでポーズを決めると歓声が上がった。そして、大きなフラッグを手にした凪希(Vo)が現れて演奏がスタート。いきなり絶頂を目指すかのような勢いで「天下五剣」へと突入していった。

フラッグをはためかせながら歌う凪希は、民衆を率いる戦士のよう。驚異のフルピッキングによるSakuraのギターソロは稲光。力強い躍動感を添えるSayakaのベースプレイは大地の鳴動。パワフル且つドラマチックなJUNNAのドラミングは雷鳴……大袈裟だと感じる人もいるだろうが、生でHAGANEを体感したら、このような類の表現がそんなに誇張ではないことがわかると思う。続いて「Black Cult」と「Wintry Sky」が披露されると、剣士の手拍子、突き上げる拳もグングンと勢いを増した。
演奏中は圧倒的にかっこいいのに、それ以外の場面では和やか極まりないのは、HAGANEの不思議な魅力だ。メンバー各々が新衣装のこだわりポイントを紹介した最初のインターバルも終始リラックスしたムードだった。4人が話したことの概要は以下の通り。
「振袖風のフォルムをした両腕の袖は取り外し可能。メンバーの中で一番青色の度合いが強い。内側に和柄が取り入れられている」(凪希)。「袖を短くしたのでタッピングしやすい。正式には両腕に着用するパーツがあるが、楽屋に置いてきた」(Sakura)。「布の使用量を最小限に抑えて、大幅にイメージチェンジ。髪の毛に付けている耳状の飾りは和柄。腰回りに網状の生地を使用したのは凪希の提案」(Sayaka)。「リボンが大好きなので頭と胸元にリボン。背中の部分にも和柄の大きなリボンが付いている」(JUNNA)

衣装に関する丁寧な解説の後、コール&レスポンスを剣士と交わし合って演奏再開。オリジナルグッズのタオルがフロア内で回転する風景が壮観だった「Start Our Journey」。剣士の歌声と掛け声が加わりながら絶大なエネルギーを放った「Catch the star」……アルバム『TOP OF THE TOWER』に収録された曲たちが、ライブハウスで幸福な開花を果たしていた。
「今日で一旦ツアーファイナル。昨日が7周年のお誕生日でした。ここ(凪希とJUNNA)は1歳組なんですけど、みなさんの中にも1歳組が多いと思うんです。早く7歳のお姉さんたち(SakuraとSayaka)に追いつけるようにやらせていただきます。ツアー中にはYouTubeの登録者数が6万人を突破しました!」とHAGANEが着々と前に進めている現状を凪希が喜んだ後、「みなさん、本当にありがとう。メンバーもありがとう!」と感謝の言葉をSakuraが添えたが、凪希、Sayaka、JUNNAに対してこのようことを言うのは滅多にないことらしく、「どうしたの?」「珍しい!」「ええっ⁉」とびっくりされていた。
そんなひと時を経て披露されたのは、7弦ギターをプレイする3曲。和テイストの旋律が妖艶さを醸し出した「Kagome」。轟く重低音に刺激された剣士が激しく掛け声を上げた「Hero Time」。印象的なベースのフレーズが全体をリードし、楽器隊各々のソロプレイも交えながら盛り上げた「剣のレコード-Records of TSURUGI-」……HAGANEの作風の多彩さも再確認できる3曲だった。
再び迎えたインターバルのMCは、「全国ツアー振り返ってみよう」というテーマ。内容をざっと要約すると……「各地で一番いろいろ食べていたのはSakura。大阪で彼女が食べたのはマクドナルドの瀬戸内レモンペッパーたまごてりやき」「京都でSakura、Sayaka、JUNNAはラーメンを食べに行った」「ストイックに糖質制限をしている凪希は、各地のエニタイムフィットネスでトレーニング。広島のエニタイムフィットネスは設備が整っていて素晴らしかった」「本日の会場、渋谷 CLUB QUATTROにサーティーワンアイスクリームを手にして現れたSakura。冷房とアイスクリームの影響でお腹が痛くなった」……彼女たちのトークの和やかさ、自由さがなんとなく伝わると思う。そして、このようなMCタイムの直後にとんでもない音が飛び出すのだから、本当に驚かされる。「Sword of Judgement」は、ほんわかしたムードを一気に覆した劇薬だった。メンバーが一丸となって遂げる全力疾走、哀愁を帯びたメロディの併せ技に息を呑まされた。

ギター、ベース、ドラム各々の華やかなプレイを絶妙に融合させたインスト曲「Over the fate」を披露した後、4人各々が想いを語った。
「メンバーと協力し合って、助け合って、ここまで来ることができてよかったです。私と凪希ちゃんは1年組。1年生になったら友だち100人できるかなって思ったら7倍くらい友だちができて、めちゃくちゃ嬉しいです」(JUNNA)
「4人で、誰1人欠けることなくツアーファイナルを迎えられました。剣士のみんなが集まってくれなければ、私たちはここに立てません。みんなで作り上げたツアー、今夜のライブです。本当にいつもありがとうございます」(Sayaka)
「私は友だち100人とかいないんですけど(笑)。基本、人見知りなんです。いつも来てくださる太客のみなさま(笑)、新米の剣士のみなさま、本当にありがとうございます。最後まで楽しんで帰ってください!」(Sakura)
「まだまだHAGANE 1年生ですが、7歳のお姉ちゃんたちに負けないように、さっさと飛び級して7歳になれるように頑張ります。現体制になってからHAGANEを知ってくださった方々は、ずっと前から応援してくださっているみなさんとの温度差にやられてしまうこともあると思いますが、安心してください。剣士のみなさんは温かい方々ばかりです。これからもたくさんライブに遊びに来てください」(凪希)

彼女たちの言葉を噛み締めてから聴いた「Not Lose」は、今のHAGANEの雄々しさをまっすぐに伝えてくれた。アカペラで幕開けて、ギター、ベース、ドラムが一気に合流。怒涛の勢いで駆け抜けるサウンド、歌声が燃え上がる炎のように熱かった。
「Salvation」と「Heart Scream」で締めくくられた本編。メンバーたちは一旦ステージを後にしたが、手拍子と「HAGANE! HAGANE! HAGANE!」というコールに応えて戻ってきた。Sakuraのギターが先陣を切り、アンコールの1曲目に届けられた「Out of the Darkness」は、剣士の大合唱が加わりながら清々しいメロディを際立たせた。そして、10月から12月にかけて今回のツアーの追加公演が開催される旨が発表された後、「With a Dream」がスタート。フロアから届けられた手拍子が、曲に穏やかなトーンを添えていた。
ラストを飾ったのは「Life goes on!」は、ポジティブなエネルギーを溢れ返らせていた。盛り上がる剣士を慈しむかのような眼差しで見つめながら歌った凪希。時折、アイコンタクトを交わしながら笑顔を浮かべていたSakuraとSayaka。力強い意志を激しいビートに漲らせていたJUNNA。最高な4人が集っていることを再確認させてくれた。フロアから沸き起こった大合唱は、そんな彼女たちに贈られたエール。とても爽やかな昂揚感を噛み締めることができた。

ツアーは渋谷CLUB QUATTRO公演で一旦ファイナルを迎えたが、先述の通り、追加公演が予定されている。そして12月25日に開催される東京でのファイナル公演の会場は、HAGANEにとって過去最大規模のZepp Shinjuku。成功させるための準備は既に万端だろう。活動の規模がさらに拡大する未来も、そんなに遠くなさそうだ。気になっている人は、YouTubeでMVを観ることから始めてみたらいかがだろうか。度胆を抜かれる音、演奏を突きつけられることになると思う。
取材・文◎田中 大
写真◎TAKASHI KONUMA
◾️<HAGANE Full Album Release Tour「TOP OF THE TOWER」追加公演>
2025年
10月17日(金)札幌 Crazy Monkey
10月18日(土)札幌 Crazy Monkey
11月22日(土)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
11月23日(日)金沢 AZ
11月29日(土)広島 LIVE VANQUISH
11月30日(日)大阪 OSAKA MUSE
12月5日(金)福岡 DRUM Be-1
12月12日(金)名古屋 Electric Lady Land
12月19日(金)仙台 darwin
TOUR FINAL
12月25日(木)新宿 Zepp Shinjuku(TOKYO)
◆チケット情報
オールスタンディング 前売 ¥5,500(税込・D別)
※12/25 Zepp Shinjuku(TOKYO)のみ 前売 ¥6,600(税込・D別)
◆FC [剣士のクエスト]会員先行(抽選)
受付期間:6月24日(火)22:00~7月6日(日)23:59
◆オフィシャル先行(抽選)
受付期間:7月9日(水)12:00~7月16日(水)23:59
◆一般発売(先着)
8月2日(土)
取扱プレイガイドは後日ご案内
◎公演に関するお問い合わせ: info-hagane@euclidagency.com
◎チケットに関する総合問い合わせ:サイレンエンタープライズ 03-3447-8822