【インタビュー】EGO-WRAPPIN’、アナログ2タイトルに新鮮なサマーアンセム「間違いなくととのいます」

2025.07.04 18:00

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EGO-WRAPPIN’の真夏の恒例行事・野外ライブ<Dance, Dance, Dance>の開催に先駆けて、12インチ『Treasures High / AQUA ROBE』、7インチ『Sunny Side Steady / Sunny Side Dub -Prince Fatty Dubwise-』といった2枚のアナログ盤が7月2日、同時リリースされる。

ダブルサイダー12インチに収録されているのは、どちらも新曲だ。「AQUA ROBE」「Treasures High」ともに新境地へのカウンターを感じさせる仕上がり。一方、7インチの「Sunny Side Steady」は、2014年にリリースされたシングル『BRIGHT TIME』の収録曲「サニーサイドメロディー」をロックステディ(1960年代後半にジャマイカで生まれたポピュラー音楽のジャンル)アレンジでセルフリメイク。さらに「Sunny Side Dub -Prince Fatty Dubwise-」は、UKレゲエ/ダブ界で活躍しているプロデューサーのプリンス・ファッティによるダブミックスだ。

楽曲の制作エピソードはもとより、7月12日に日比谷野外大音楽堂、8月2日に大阪城音楽堂野外で開催される<Dance, Dance, Dance>について、中納良恵(Vo)と森雅樹(G)に語ってもらったロングインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■自分たち基準の新鮮なダンスミュージック
■我々はサウナが好きになってから長い

──どのような経緯でアナログ2作品の同時リリースに至ったのでしょうか?

森:僕らはアナログloverなので、アイテムとしてアナログレコードは今までも出してきたんです。今回リリースする2枚のうち、7インチの「Sunny Side Steady」に関しては「サニーサイドメロディー」(2014年発表)をロックステディにした曲です。

──セルフリメイクですね。

森:僕が20年以上お世話になっている町・浅草の夏のイベントにEGO-WRAPPIN’として出演した時、納涼大会に合ったバンドアレンジとして全曲をカリブ音楽に寄せたんです。その時に「サニーサイドメロディー」をロックステディにアレンジして。それが思ってた以上に良かったんですよね。ロックステディというテーマに向き合って、“これだ”っていうものが出来た。それ以来、野音とかの野外ライブでもやるようになって、レコード会社のスタッフさんからも「これを音源化したい」と言われたんです。ロックステディは7インチが定番なので、そういう点でも今回のようなアナログ盤にすることになりました。

──B面はダブミックスですね。

森:はい。せっかくなので裏面も面白いものにしたかったんです。プリンス・ファッティというイギリスのエンジニアに行き着くまでに、きっかけとか出会いとかいろいろとあったんですけど。タイムリーな人にダブミックスをお願いしたいと思っていたときに、彼が手掛けた音楽をたまたま僕が聴いていたので、お願いすることになりました。

──今回のアナログ2作品に収録されてる4曲は、どれも夏にぴったりのサウンドです。

森:今年の夏、東京と大阪で開催する野外ライブ<Dance, Dance, Dance>でやる新曲を作りたくて。去年から楽曲のうっすらとしたイメージを温めていたんです。それに関して大きかったのはカリンバ。

──アフリカの楽器ですね。

森:自分の誕生日のタイミングで、いつも行ってるリハーサルスタジオでカリンバを買ったんですよ。通常よりも音階が多いカリンバがスタジオで売っていて。新鮮な楽器に触れると新しいものを生みたくなる衝動ってあるじゃないですか。たとえば、ギターの弦を換えたときとか。曲を作るときにそういう新鮮さを求めていた結果、カリンバに行き着いて。それで作っていったのが12インチに入れた新曲の「AQUA ROBE」と「Treasures High」です。

──なるほど。

森:EGO-WRAPPIN’のライブは年末の<Midnight Dejavu>、夏の<Dance, Dance, Dance>、そしてホールツアーが恒例で。EGO-WRAPPIN’は曲のバリエーションの幅が大きいので、それぞれに合った選曲をしているんです。年末はビッグバンドでオールドスタイル、春は座ってメロウな曲も多めに入れて中納良恵やバンドの表情を聴いてもらうとか。夏は踊れる曲がテーマなので、自分にとっての新鮮なダンスミュージックを追求していきました。攻めてるではないけど、実験的で、自分たち基準のダンスミュージックを曲にしたいと。「AQUA ROBE」と「Treasures High」は、そういう中で生まれた曲です。

──「AQUA ROBE」はサウナの曲ですね。

森:歌詞はそうですね。

中納:サウナが好きなんです。流行りに乗ったみたいな感じでちょっと恥ずかしいんですけど(笑)。でも、我々はサウナが好きになってから長いので。

森:サウナ歴は長いですよ。

中納:曲がダンスナンバーなので、身近で日常的な歌詞をのせたら面白いんちゃうかなと。その結果、“サウナ” “お風呂”っていう感じになりました。

──サウナでととのうのと、気持ちいい音に浸りながら踊るのは、どこか通ずるものがあるんですかね?

中納:どうなんでしょう? 気持ち良さは似てるのかもしれないですね。

──ここ数年、サウナにハマる日本のミュージシャンも多いという印象があります。

中納:ツアーに出ると、やっぱり身体が疲れるから、合間の時間にお風呂やサウナでほぐしてるんだと思います。それでお風呂の重要性にどんどん目覚めてるのかも。あと、弾丸スケジュールのツアーも多いので、各地の人や風土みたいなものを感じる上でもお風呂っていいんです。私もスーパー銭湯に行ったりしてます。サウナがついてるホテルは、めっちゃありがたいんですよね。森くんも各地の面白い銭湯を見つけたりしてるでしょ?

森:うん。サウナで身体の毒を抜いて、食堂で生ビール飲んで…っていう“抜いて入れて”ができるからね。

▲中納良恵(Vo) <EGO-WRAPPIN’ live tour “HALL LOTTA LOVE ~ホールに溢れる愛を~”>

──「AQUA ROBE」は、サウナやお風呂で気持ちよくととのう感覚が音と言葉で描かれているので、端的に言い表すならば“幸せの歌”ということですよね?

中納:はい。幸せの歌なんです。

──曲の中で出てくる“シアワセ”の響きが気持ちいいです。

中納:幸せってふわふわしていますよね。

──この曲、’80年代末から’90年代頭にかけてくらいのマンチェスター的な香りも感じたんですけど。

森:マンチェスターのどの辺りですか?

──ザ・ストーン・ローゼズみたいなサイケなテイストです。

森:へえ、面白いですね。でも、ザ・ストーン・ローゼズは好きです。ギターのジョン・スクワイアも好きですし。

──「AQUA ROBE」のサウンド面に関して、何か意識したことはありましたか?

森:特に意識しなかったです。何も考えずに自分が聴いて“こういうの、いいなあ”というギターリフ、ベースのラインとかにしながらシンプルに作っていったので。

中納:この曲はワングルーヴなので、施しようがいろいろあって、どの方角にも行けるのが楽しかったですね。物語を作っていく上で遊べるというか。でも、どの方角にも行ける分、どうするかを決めるまでに苦戦しました。森くんと一緒に作業をしてるから、いろいろヒントになることを貰いながら、“ああ、そうか”と連れて行ってもらった感じがあります。

──トラックを聴きながらメロディを探していったんですか?

中納:そうです。森くんがおおまかに作ったトラックを貰って、そこにメロディをつけていったので。音像に関しては、そこから付け足していった感じでしたね。結構分厚い音に仕上がってるので、レコードで聴いたら気持ちいいですよ。

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