【ライヴレポート】DEZERT、自身初の47都道府県ツアー開幕、「一言いい? 愛おしいぜ、あんたら!」

DEZERTが6月14日、千葉LOOKにて自身初の47都道府県ツアー<DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR ’25-’26 “あなたに会いに行くツアー”>の初日公演を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。
2024年12月に日本武道館ワンマン公演を成し遂げた彼らが次に挑むのは、全国47ヵ所49公演の自身最大規模のツアーだ。その初日公演では、2026年3月20日、千葉・幕張メッセ・イベントホールにてワンマンライヴを開催することをサプライズ発表した。自身二度目アリーナ公演が47都道府県ツアーのグランドファイナル幕張メッセ公演となる。日本武道館の“その先へ”向かうバンドの覚悟を示し、それをオーディエンスが受け取った初日公演は、「愛おしいぜ、あんたら!」とライヴ中に千秋(Vo/G)が叫んだように、尊い空間となった。
最大収容人数200名の千葉LOOKのフロアは、プレミアチケットを入手した幸運な人々で超満員。開演前から汗ばむほどの熱気が立ち込めていた。壮大なSEと歓声に迎えられ、黒のスーツで揃えたシックな出で立ちの4人が登場し、いよいよ長いツアーが幕を開ける。




1曲目は6月11日リリースのミニアルバム『yourself: ATTITUDE』収録曲から「真宵のメロディー」。SORA(Dr)とSacchan(B)が一歩一歩を踏みしめるように、着実なリズムを刻み、そこにMiyako(G)の抜け感のあるフレーズと、千秋のエモーショナルな歌声が重なっていく。ドラマティックなメロディーも含め、DEZERTの新章開幕となる瞬間にジャストフィットしたオープニングだ。フロアでは、力強く拳を掲げたり、じっと聴き入ったりと、オーディエンスはそれぞれのスタイルで自由にライヴを楽しんでいる。このバラバラ感もまた、ツアー初日特有の空気だ。
しかし、ミニアルバム『yourself: ATTITUDE』のリード曲でありDEZERTの王道を行くハードなナンバー『「変身」』が始まった瞬間、フロアに突如一体感が生まれ、オーディエンスが一斉に左右に大移動する横モッシュが巻き起こった。急激に高まったボルテージは、その後の「Sister」「匿名の神様」「ミスターショットガンガール」といったアッパーな曲の連発で、さらに上昇。場内の温度と湿度もどんどん上がっていき、蒸し風呂状態に。まだ序盤にも関わらず、メンバーもオーディエンスも汗だくになっていた。
「最高じゃねーか、おい!」と小箱ならではの激熱空間に千秋は喜びつつ、「後ろ見えてる? 大丈夫?」と気遣う場面も。

そして薄暗い照明の中で静かに奏でられたのは、「明日暗い月が出たなら」。ダークなトーンの中にも淡い光を感じる繊細なナンバーは、ライヴの流れに緩急をつけると同時に、DEZERTの持つ仄暗い一面を映し出した。そしてここで、ステージの中心に4人が向かい合い、ジャムセッションが始まる。暴れまわる4人の音が徐々にまとまっていくと、シームレスに「アダム・ペインを探して」に突入。いずれも『yourself: ATTITUDE』収録曲だが、こちらは複雑に絡み合う音がクセになるナンバーで、ツアーを通してさらなる進化に期待できそうな予感を秘めている。
「この曲だけ撮影OKにするので、拡散してもらえたら。ガンガンプロモーションしてください」という千秋のアナウンスから始まったのは「蝶々」。オーディエンスは片手でスマホを構えながらも、反対の手を高く上げ、軽快なリズムに合わせて器用に飛び跳ねていた。
凶暴な重低音が轟く「君の脊髄が踊る頃に」で再びエンジンをかけると、怪しげな雰囲気と疾走感が共存した「はい!少女」、初期からの暴れ曲『「教育」』で狂乱の渦へ。すでに最高潮まで熱い空間が出来上がっているかのように思えた。

しかし、「こんなんじゃ終われないぞ、おい。今日死ぬ気で生きていかないと明日勝てないぞ。もっと来いよ、もっと手伸ばしてくれよ、掴みに来たんだよ。……行くぞ!」と千秋が全力で煽り、「MONSTER」へ突入すると、さらにもう一段階ヒートアップ。轟音の中でヘッドバンギングの嵐が巻き起こる。メンバーとオーディエンスが正面からぶつかり合い、互いに感情を剥き出しにして暴れる光景からは、何物にも代えがたいライヴという空間ならではの尊さが溢れている。冒頭に記した通り、「一言いい? 愛おしいぜ、あんたら!」と千秋が叫んだのも、まさにこの瞬間だ。
サビの大合唱が恒例となっている『「遺書。」』では、メンバーの熱心な指導の甲斐あって1オクターブ上担当のソプラノパートも加わり、オーディエンスが合唱団のようなハーモニーを生み出す。ライヴハウスにも、『「遺書。」』というタイトルにも似合わないチグハグさを楽しめるピースフルな雰囲気もまた、DEZERTのライヴの愛おしい部分なのかもしれない。

「最高の初日になったと思います、ありがとう。今日の掛け声でおもむろに出たんだけど、“楽しむってもう違くない? もう愛おしいにこの空間を変えようぜ“って思ってます。
楽しいを乗り越える、そんな音楽を作っていきたい。そして俺らは、あなた一人に歌いに行くという概念を持っています。
そう考えたときに、音楽やってる意味とか、これからもっと大きくなりたいとか、色んな理由が混ざって出てきたんだよ。
だから“あなたに会いに行くツアー”にしました。あなたがいてくれて、それだけで僕は報われてます。
もっとこの空間が愛おしくなるように、もっと大事に抱きしめられるように、俺たちも週末以外は全部練習します。
今日終わってからも、明日のライヴ前も練習する。俺たちが音楽をやる理由にあなたがいてくれてありがとう!」──千秋
このツアーに懸ける思いと信念、そして感謝の気持ちを改めて伝え、日本武道館には持っていけなかった大切な曲として、本編ラストの「The Heart Tree」へ。“この場所があなたの居場所になりますように”という歌詞に思いを乗せ、一つ一つの歌詞を噛みしめるよう丁寧に届けた。

アンコールでは、まずSORA、Sacchan、Miyakoが登場し、3人でトーク。Miyakoが「千葉LOOKでしょ? ちゃんとLOOKできてるの?」と独特な煽りで沸かせたり、SORAが「Sacchanに怒られるから、最近日焼け止め塗ってる」と話したり、Sacchanがオーディエンスにも執拗に紫外線ケアを勧めたりと、次々と飛び出す自由な話題にフロアからは笑いが巻き起こる。
ここでSORAが一つ目の告知として、ツアー全箇所にて終演後、メンバーが出口でお見送りをして、とある物を手渡しすることを発表。思わぬサプライズプレゼントに歓喜の声が上がる中、SORAがその真意を伝えた。
「DEZERTの新たな目標のために、僕らの意思を手配りでちゃんと伝えたくて、気持ちを込めて作りました。僕たちの気持ちとみんなの気持ちを一緒にして全国を回りたいと思ってます」──SORA
そして千秋も加わると、本ツアーで販売されている音源『メランコリアトレイン/春夏秋冬』から、メロディアスなギターロック「春夏秋冬」を披露。ライヴでは数年前から度々披露されていたが、今回ようやく音源化が実現した名曲だ。四季折々の情景を綴った美しい歌詞と、胸の奥に広がっていくような優しいメロディーが会場を包み込み、大きな感動を生み出す。

日本武道館で音源配布したDEZERTの大切な一曲「オーディナリー」を届けたあとは、ラストスパートとして一気に駆け抜けるべく、「「君の子宮を触る」」「「秘密」」を続けて投下。すでに限界突破しているオーディエンスを苛烈に追い込んでいく。「「秘密」」では、間奏で全員がフロアにしゃがんで頭を大きく振り回す回転ヘドバンの時間があるのだが、オーディエンスがしゃがみ始めると、突如千秋が「スマホ出して」と再び撮影許可を出す。たくさんのカメラが向けられる中、千秋が満を持して幕張メッセでのワンマン開催を発表。自身最大規模への挑戦に、この日一番大きな歓声がフロアに響き渡る。
「二度目のアリーナ公演だ!」と千秋が高らかに叫び、Miyakoは輝く笑顔で右手を高く掲げる。SORAは感慨深い表情で拍手を送り、Sacchanはクールな表情を浮かべつつベースをかき鳴らしていた。
興奮状態のまま迎えたラストは、この日二度目の「「変身」」。“あの場所まで行けば 変わると期待してたんだ 僕らはきっと試されてる どう明日を信じ切れるか 行こうよ”と力強く歌うこの曲に未来を託して。
「今日あなたがいてくれてよかった。DEZERTでした。また会いましょう。最高」──千秋
「その先は一旦幕張メッセに向かいます。もっと先を見てます。一人ひとりに会いに行くから、よろしくお願いします。元気ください、元気あげます。そんな関係でいれたらってマジで思ってます」──SORA
そう言い残し、最後の最後まで気持ちを伝えながら、彼らの47都道府県ツアー初日は大盛況に幕を閉じた。そして終演後、小雨が降る中、宣言通り一人ひとりを見送るメンバー。出口で手渡されたのは、幕張メッセへの招集状となるメッセージカードであった。
初の47都道府県ツアー初日で、たった一人の“あなた”への愛で満ち溢れた尊い夜を作り上げたDEZERT。熱気と轟音に満ちた中で感情を交わした思い出は、きっとオーディエンスの心にも愛おしい記憶として刻み込まれたことだろう。そして、ツアーの終着点である幕張メッセへ向かって、全国の“あなた”に会いに行くDEZERTの旅は、いま始まったばかりだ。
取材・文◎南 明歩
撮影◎Megumi Iritani
■<DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR ’25-’26 “あなたに会いに行くツアー”>2025年6月14日(土)千葉@LOOK セットリスト
01_ 真宵のメロディー
02_「変身」
03_ Sister
04_ 匿名の神様
05_ ミスターショットガンガール
06_ 明日暗い月が出たなら
07_ アダム・ペインを探して
08_ 蝶々
09_ 君の脊髄が踊る頃に
10_ はい!少女
11_「教育」
12_ MONSTER
13_「遺書。」
14_ The Heart Tree
encore
en1_春夏秋冬
en2_オーディナリー
en3_「君の子宮を触る」
en4_「秘密」
en5_「変身」

■47箇所49公演<DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR ’25-’26 “あなたに会いに行くツアー”>
06月14日(土) 千葉・千葉LOOK
open16:30 / start17:00
06月15日(日) 埼玉・越谷EASYGOINGS
open16:30 / start17:00
06月21日(土) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
open16:15 / start17:00
06月22日(日) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
open16:15 / start17:00
06月28日(土) 山口・周南LIVE rise
open16:30 / start17:00
06月29日(日) 広島・広島Live Space Reed
open16:30 / start17:00
07月02日(水) 岡山・岡山PEPPERLAND
open18:00 / start18:30
07月03日(木) 兵庫・神戸VARIT.
open18:00 / start18:30
07月05日(土) 徳島・徳島club GRINDHOUSE
open16:30 / start17:00
07月06日(日) 香川・高松MONSTER
open16:30 / start17:00
07月12日(土) 佐賀・佐賀GEILS
open16:30 / start17:00
07月13日(日) 長崎・長崎DRUM Be-7
open16:30 / start17:00
07月19日(土) 山形・山形ミュージック昭和Session
open16:30 / start17:00
07月20日(日) 宮城・仙台darwin
open16:30 / start17:00
07月26日(土) 富山・富山SOULPOWER
open16:30 / start17:00
07月27日(日) 長野・長野CLUB JUNK BOX
open16:30 / start17:00
09月07日(日) 茨城・水戸ライトハウス
09月12日(金) 北海道・札幌SPiCE
09月13日(土) 北海道・札幌SPiCE
09月15日(月祝) 青森・青森Quarter
09月20日(土) 福岡・福岡DRUM Be-1
09月21日(日) 熊本・熊本B.9 V2
09月23日(火祝) 大分・大分DRUM Be-0
09月27日(土) 滋賀・滋賀U☆STONE
09月28日(日) 京都・京都磔磔
10月04日(土) 秋田・秋田 Club SWINDLE
10月05日(日) 岩手・盛岡Club Change WAVE
10月11日(土) 高知・高知X-pt.
10月12日(日) 愛媛・松山サロンキティ
10月18日(土) 三重・四日市CLUB ROOTS
10月19日(日) 岐阜・岐阜club-G
10月25日(土) 新潟・新潟NEXS
10月26日(日) 群馬・前橋DYVER
11月22日(土) 奈良・奈良NEVERLAND
11月23日(日) 和歌山・和歌山CLUB GATE
12月06日(土) 山梨・甲府Kazoo Hall
12月13日(土) 宮崎・宮崎LAZARUS
12月14日(日) 鹿児島・鹿児島SR Hall
▼2026年
01月05日(月) 東京・新宿LOFT
01月06日(火) 東京・新宿LOFT
01月10日(土) 福井・福井CHOP
01月11日(日) 石川・金沢AZ
01月17日(土) 福島・郡山HipShot Japan
01月18日(日) 栃木・HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
01月24日(土) 島根・松江 AZTiC canova
01月25日(日) 鳥取・米子 AZTiC laughs
01月31日(土) 静岡・静岡ROXY
02月01日(日) 神奈川・新横浜 NEW SIDE BEACH!!
02月14日(土) 沖縄・沖縄桜坂セントラル
■会場&クラウン徳間ショップ限定CD「メランコリアトレイン/春夏秋冬」
2025年6月14日(土)発売


【会場限定盤】
CRC-1922 ¥1,500(税抜¥1,364)
▼CD収録曲
1_メランコリアトレイン
2_春夏秋冬
Bonus Track
ナグルファル(仮) -千秋のDEMO音源-
【クラウン徳間ショップ盤】
CRC-1923 ¥1,500(税抜¥1,364)
購入:https://shop-crtk.com/item/103005
※カート追加は6月14日(土)〜可能
▼CD収録曲
1_メランコリアトレイン
2_春夏秋冬
●クラウン徳間ショップ特典
・ライブフォトポストカード2枚セット
※集合1枚(全1種)+ランダムでソロ1枚(全4種)
※数に限りがありますので、なくなり次第終了となります。
■<DEZERT Presents SUMMER PARTY ZOO 2025>
8月2日(土) 東京・Zepp Haneda
open14:00 / start15:00 / 終演20:50(予定)

▼出演アーティスト
◯MUCC
◯AKi
◯DEZERT
▼出演セッションバンド
◯野薔薇団 -今宵は乱れ咲け!-
→(sic)boy、千秋(DEZERT)、Ken(L’Arc-en-Ciel)、田辺由明(マカロニえんぴつ)、JACK、Sacchan(DEZERT)、足立房文、SORA(DEZERT)
◯VISUAL杉並~So…90s あの頃の僕らは~
→逹瑯(MUCC)、ガラ(メリー)、⽥澤孝介(Waive / Rayflower / fuzzy knot)、ミヤ(MUCC)、JiMYY(MAMA.)、seek(Psycho le Cému)、吉田トオル(DISCO VOLANTE)、村田一弘、SORA(DEZERT)
◯SONIC DIVE
→ASH(ASH DA HERO)、INORAN(LUNA SEA)、Miyako(DEZERT)、Ken(L’Arc-en-Ciel)、ミヤ(MUCC)、AKi、Sacchan(DEZERT)、SORA(DEZERT)
◯YOSHIAKI with Friends~そして輝くウルトラサマーセッション~
→ミラ(東京メルヘン倶楽部)、田辺由明(マカロニえんぴつ)、山本耕平(ギタリスト、作編曲家)、レッドジブラ(アイリフドーパ)、田辺弘明(ドラマー、作編曲家)
◯Kenにまつわるエトセトラ~シーズン2~
※セッションバンド内で演奏アーティストが入れ替わる事もあります。
※最新情報は公式SNS・各出演者オフィシャルサイトにてご確認ください。
▼チケット
1Fスタンディング 8,000円(税込)
2F指定席 10,000円(税込)
※入場時別途ドリンク代必要
※未就学児童入場不可
※営利目的の転売禁止
(問)DISK GARAGE:https://info.diskgarage.com/
関連リンク
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