【ライブレポート】BabyKingdom流の陰陽道で悪気滅殺!「SEIMEI」ツアー完走

BabyKingdomが5月31日に神田スクエアホールで、<spring oneman tour 2025『悪気滅殺~陰陽道~』>ファイナル公演を行った。
“MUSIC THEME PARK=音楽のテーマパーク”を掲げるBabyKingdom(以下、べびきん)が提示する今回のメインアトラクションは、3月にリリースされた19thシングル「SEIMEI」。タイトル通り安倍晴明をモチーフにしたメタル曲「SEIMEI」と、カップリングも含め、雅でどこか妖しげな和の世界が表現されていた。
そんな「SEIMEI」を掲げたファイナル公演では会場にも和風のSEが流れ、雰囲気は抜群。べびきんが掲げる“MUSIC THEME PARK=音楽のテーマパーク”の注意事項を咲吾(Vo)が影アナで伝え、しばらくすると突如照明が落ちた。そしてステージに掲げられていた旗に描かれた五芒星が紅く煌めき、メンバーがイン。まさにテーマパークのアトラクションが始まる瞬間のような高揚感で、ライブの幕が開けた。

1曲目は「AVARITIA」。紅く染まる照明の中、「我に従え」と言う咲吾のデスボイスにのせられて、ばぶりーず(ファンの呼称)たちも初っ端から激しい折りたたみとヘドバンを繰り出す。地を這うような、もにょ(B)のベースソロが気持ちいい。黄色の照明に照らされて「GOLD」へ。咲吾が拳を上げるファンに「休むな!」と叫べば、志記(G)も激烈ギターソロを弾きながら煽り、どんどん勢いを増していく。
「生憎の雨ですが、MUSIC THEME PARKはアトラクションによって晴れさせることもできます」と咲吾が言って始まった「晴レ歌」では、ばぶりーずたちの掲げる扇子が舞い “変なおじさん”の振り付けを全員で踊り、確かに心が晴れるような楽しさだ。そこからの拳ヘドバンから始まる和ハードロック「我武者ライジング」も、疾走感が気持ちいい。

音が止むと照明が消え、一瞬の静寂が。始まったのは和メロが美しいバラード、「月夜のシンデレラ」だ。月の見える夜からだんだんと朝焼けに向かっていくような照明演出が美しかった。ここまでシングル「SEIMEI」収録曲は披露されていないのだが、どれも「SEIMEI」の世界観にもリンクするメロや和風モチーフの楽曲で構成されていた。毎回それぞれ全く異なるテーマの作品をリリースし続けているのに、こうやってどんなアトラクションにも不思議とマッチするのが本当にすごいと思う。MUSIC THEME PARKという徹底した世界観作りに、すでに魅了されてしまった。
と、ここで突然笛の音が流れ始め、「呪いとは名である。目にみえぬものさえ、この名という呪いで縛ることができる──」と、咲吾が語り始める。陰陽師そのものの姿で「まだ人の心には鬼が棲む。鬼が棲むからこそ人はこうして歌を詠む。さばこそ陰陽道!」と告げると虎丸のブラストビートが炸裂、「SEIMEI」の始まりだ。
「SEIMEI」は先述のように安倍晴明をモチーフにした曲だが、その曲想は“和メタル”。とにかく早くて重くてかっこいい。それだけでなくベースソロがあったり、アクセントに和楽器が入っていたり、2番のAメロではしっとりとした歌謡曲調のギターフレーズが展開されたりと、聴きどころが満載だ。ライブでは、途中にある“御伐折羅金便蘇婆訶”という真言でみんなで印を結びながら飛ぶという楽しみも。ちなみにこの真言、実は“金のうんち”と唱えているだけという……。

そんな「SEIMEI」からのブロックも面白かった。それぞれ「SEIMEI」とは独立したアトラクションで全くテーマも異なるのだが、どこかに“呪い”を感じさせられたからだ。「さらば!自称の正義マン」は情報社会における揚げ足取りや倫理観の欠如に警鐘を鳴らすような曲だが、これはまさに現代の呪いと言える。
裏切りという呪いを艶やかに跳ね返す強い女の「ハーレクインの憂鬱」、大好きな気持ちからストーカー化してしまう様を描く「忍☆すぱいちゅ」なども、恋は最大の執着=呪いのような気がしてくる。咲吾もギターを背負って奏でた「アカツキ」は、後悔という呪い。そして、万物の自然の美しさと人間の弱さや汚さを描く大人バラード「花鳥風月」が続く。
こうした人の感情は、拗らせてしまうとそれが呪いになってしまうのかもしれない。先ほどの咲吾の前口上の通り「人の心には鬼が棲む」というわけだ。だけどその感情を乗せた歌をライブで聴いて気持ちをひとつにして楽しめば、まさに“呪いを祓う”かのように浄化されていく。これこそが “べびきん流 陰陽道”なのかもしれない。

そんなことを思ってたところに投下されたのが、雨上がりの晴れた空を連想させる「虹色COASTER」。《輝く未来へ走り抜けよう》という明るいワードが、ばぶりーずたちを笑顔にさせていく。そこからのラストスパートは、もうテーマパークのパレードのごとくめくるめく展開の連続。手を降って盛り上がるハッピーソング「スタースマイル」に、“狙い撃ち”振り付けで遊ぶウエスタンな「BANG UP」が来たと思えば、場面はクリスマスに移り変わり「MUDDY CANDLE」ではダークファンタジーの世界へばぶりーずたちを誘う。そこから南極にテレポートして、ペンギンの振り付けが可愛い「PENGUIN DIVE」へ。
本編最後は、「SEMEI」のカップリング「水天一碧」。晴れた日に海の水と空が一体となって青々しく見えることを表す言葉、水天一碧。作詞をした志記によると、「苦労と理想が噛み合ったときに一番美しい光景になっていく」という情景を描いたという。咲吾の優しいソロボーカルから始まるエモキャッチーなミドルバラードで、いい曲だ。そんな「水天一碧」が描く“明日への希望”に優しく包まれて、本編は幕を閉じた。

延長営業(アンコール)では、パーティーチューン「ライドンザ・ビーチ」で波に乗ったと思えば、突如重いサウンドにラップが乗る「恐竜賛歌DINOBOY」「君はヴィーナス」でジェラシックの世界へ。「ユーレイ☆になっても愛してる」ではユーレイまで飛び出す始末。まさにカオスといった世界が次々と繰り出され、メンバーもばぶりーずもずっと笑顔だ。オーラスは、大空へ向かって飛び立つ「Baby bird」で大団円となった。
べびきんのライブは本当に楽しくて、終わったあとに晴れやかな気持ちになっている。悩んでいたことやイライラしていた気持ちも、いつの間にか消えている。これこそがべびきんのライブに来たくなる理由。まさにツアータイトル通り「悪気滅殺」だ。咲吾は最後に「ただひたすらに、これからも楽しんでいこうと思っています」と語っていたが、それこそが真理かもしれない。ひたすらに楽しんで、またいい日を過ごす──BabyKingdomがMUSIC THEME PARKたる所以を知った1日だった。
取材・文◎服部容子
写真◎菅沼剛弘
セットリスト
- AVARITIA
- GOLD
- 晴レ歌
- 我武者ライジング
- 月夜のシンデレラ
- SEIMEI
- さらば!自称の正義マン
- ハーレクインの憂鬱
- 忍☆すぱいちゅ
- アカツキ
- 花鳥風月
- 虹色COASTER
- スタースマイル
- BANG UP
- MUDDY CANDLE
- PENGUIN DIVE
- 水天一碧
en1. ライドンザ・ビーチ
en2. 恐竜賛歌DINOBOY
en3. ユーレイ☆になっても愛してる
en4. 君はヴィーナス
en5. Baby bird
<今年もやります激レア女装ライブ『熊谷でオカマっちゃいな!?』 >
2025年8月9日(土) HEAVEN’S ROCK 熊谷 VJ-1
OPEN 16:30 / START 17:00
■前売¥5,500 / 当日 ¥6,000 ※Drink 代別
■プレオーダー(Aチケット):2025年6月18(水)12:00〜2025年6月25(水)23:59
■一般発売(B,Cチケット):2025年7月9日(水)12:00~
※Cチケットはペアチケットとなります。1枚で2名様まで入場可能となりますが、同時入場必須そして入場順は最後となりますので、ご了承ください。
<始祖アトラクション復活ツアー『Welcome to ZERO』 >
2025年
8月23日(土)渋谷 REX
OPEN 16:30 / START 17:00
8月28日(木)HOLIDAY NEXT NAGOYA
OPEN 17:30 / START 18:00
8月29日(金)心斎橋 CLAPPER
OPEN 17:30 / START 18:00
■前売¥5,500 / 当日 ¥6,000 ※Drink 代別
■プレオーダー(Aチケット):2025年6月18(水)12:00〜2025年6月25(水)23:59
■一般発売(B,Cチケット):2025年7月9日(水)12:00~
※Cチケットはペアチケットとなります。1枚で2名様まで入場可能となりますが、同時入場必須そして入場順は最後となりますので、ご了承ください。
「SEIMEI」インストアイベント・ファイナル
2025年6月7日(土) littleHEARTS.新宿マルイメン店
咲吾プロデュース 【ツアーファイナルお疲れさん会☆】
※衣装:私服
[1部]
時間:OPEN 14:30 / START 15:00
内容:トークショー&2ショット撮影会
[2部]
時間:OPEN 17:00 / START 17:30
内容:トークショー&1分間個別トーク
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