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――今回リリースされた最新アルバム『Trip in the music』は、そのタイトルどおり“旅”がテーマの1枚なんですよね?
Caravan:ライヴツアーをこの間の春にやったんですよ。いろんな場所でやったんですよね、ライヴハウスはもちろん、サーフショップから、バー、洋服屋といった普通のミュージシャンはやらないような所でも。そこでは、ライヴハウスでは出会えない、いろんな人と出会え、密なコミニュケーションがとれた。やがて人と巡り会ううちに、旅って普段の生活のなかでも感じることはできるんだなぁ、と感じたんですよ。つまり気持ちの持ち方しだいで、旅は楽しめるし、常にフレッシュな気持ちでいられるのでは?と。このアルバムは、そういう内面的な、生活に寄り添った“旅”について歌っているんです。だから、大げさに「旅がテーマです」ではなく、考えてみたら毎日が旅なのでは?というメッセージをアルバム全体を通して伝えています。
――確かに、聴いていると日々をハッピーにピースに過ごせるような気分になります。
Caravan:毎日同じことのくりかえし、と嘆く人がいるけど、その毎日のなかで必ず昨日とは違う何かが起こっているはずだし。人生に同じ日なんてないと思う。そこに気づいてもらうきっかけになってもらえたら。
――歌の響き方に、不特定多数に向けて歌っているような雰囲気ではなく、親しい友人ために歌ったような、親近感を感じます。
Caravan:歌い方、音の響かせ方は、特に意識はしてなかったんですけど。僕は、歌を作ることによって、自分に言い聞かせているところもあって。こうなりたい、という自分像を歌を通じて確認しているような。それが不特定多数というより、身近な感じで聴こえているのかな、と思います。
――なるほど。にしても、サウンドを聴いていると、Caravanさんは、自由に音楽ライフを満喫しているような空気が伝わります。
Caravan:まぁ、気の向くままにやっているんですけど。自由にやるのって、孤独なこと。いいことばかりじゃないですよ。常に葛藤の連続だし…。どんなことをやってても、大変だと思いますけど。
――さて。サウンドに関しては、60~70年代のソウル、ブルース、R&Bといったレイドバック感のあるものを多く取り入れているような。何かこだわりは?
Caravan:僕は、ジャンルはどうこうといった音楽の聴き方はしてなくて。ハウスや、ヒップホップも聴けば、スライやニール・ヤングといったものにも心ひかれる。まぁ、ただ今の僕の気分が、レイドバック感なのかもしれないですけど。
――アルバム収録曲の「soul music」では、前述のスライやボブ・ディランなど、ミュージシャンの名前を連呼しているフレーズがありますが、あれは何故?
Caravan:あれは、自然と出て来た感じなんですよ。だから何故かはわからないんです(笑)。この曲は、今まで僕の背中を押してくれたり、光を与えてくれた音楽に対して、感謝の気持ちを表現したもの。今、この曲が作れてよかったと思ってます。
――私を含め、たぶん多くのリスナーは、あなたの音楽をベン・ハーパー、ジャック・ジョンソンに通じる“サーフ・ミュージック”系アーティストととらえています。それに関してはどう思ってます?
Caravan:ジャックもベンも、それぞれ好きな音楽をやっていて、たまたまサーフィンがライフスタイルにあったから、そう呼ばれているだけであって。僕はそこにわざわざ入ろうとは、思ってないです。ただ気の向くままに、好きな音を作るだけなので。
取材・文●松永尚久
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