――最近はレゲエ・ブームと言っていいほどの熱い盛り上がりですね。日本のシーンを支えてきたTANCOさんは、この盛り上がりをどうみているのでしょう?
TANCO: 単純にうれしいですよ。これまで俺らが好きでやってきたことが、多くの人に受け入れられてるような感じで。
――TANCOさんにとってレゲエの魅力は?
TANCO: ビートですね。まぁ、ビートって言ってもいろいろありますけどね。でも、基本的にアフター・ビート(裏打ち)って一緒だから。このアフター・ビートに一回ハマると、“これがないとダメ”って身体になっちゃうんですよ(笑)。
――最新アルバム『This is Reggae』は、そんなレゲエの魅力が凝縮された内容だと思います。
TANCO: 頭で考えずに、ただ聴いてて気持ちよくなれるアルバムを、と心がけて作りましたね。
――ライヴ・バンド、HOME G.らしく、今作はバンドが持つライヴ感が上手く表われているなと。
TANCO: 今回は生音をメインに意識して作ったんです。少しは打ち込みも入っていますけど、俺たちってライヴ基本のバンドだから、ライヴ感のある生音を入れてナンボだと思うんで。
――その結果、ジャマイカでもアメリカでもない、“日本レゲエ”色がしっかり伝わります。
TANCO: 別にそういうものを作ろうという考えはなかったな。頭の中にあったのは、ジャマイカ人が聴いてもイケてる!と思わせるものを作ること。ヤツらに“日本ってヤバい!”と思わせるものを作りたかったんです。で、実際アルバムのミックス作業は、ジャマイカで現地のアーティストにやってもらうことになって…。
――ジャマイカ人アーティストの反応はどうでした?
TANCO: めっちゃいいですよ。こっちがびっくりするほど。歌詞に関して、日本語だからよく分からないみたいだけど、オケに関してはすごく興味を示してくれた。「残ってくれ、オレのためにオケを作ってくれ~」とまで言われましたよ(笑)。でも、たぶんギャラを払ってくれないだろうから(笑)、やめときました。
――さて、アルバムにはラッパーのDABO、KREVAをはじめ、個性的なアーティスト達も参加してますね。彼らとのコラボレートはどうでした?
TANCO: DABOやKREVAは、今まで一緒にやる機会があまりなかったので、レコーディングは刺激的でしたよ。その結果、彼らとでなければ表現できない音を作れた気がします。
――また、円弘志の「夢想花」をカヴァーしたのがすごくよかったです。
TANCO: 毎回アルバムには、“何でこのカヴァーをするの?”と思われるようなものを入れたいんですよ。それも日本の曲で。今回セレクトした「夢想花」は、キャッチーなメロディで、しかも何のことを歌っているのかよく分からないリリック(笑)、これぞレゲエにすべき曲だ!ってひらめいてカヴァーしました。
――レコーディングでの苦労はありましたか?
TANCO: 特に何もなかったなぁ。スタジオが重い空気に包まれることは一度もなかった。みんな「PUMP!
PUMP! PUMP!」って盛り上がりながら完成させていった感じ(笑)。
――HOME G.は海の家“OASIS”を拠点に活動してますが、その場所が曲作りに影響する部分はありますか?
TANCO: それは大いにあると思う。たいていデモができた段階で、OASISなり、海に行って曲を聴くんですよ。そこで雰囲気にしっくりくるものを選んで収録してます。
――なるほど。つまりは海に行ってアルバムを聴くべし!って感じですね。
TANCO: そうですね。ぜひ海水浴のお供に。でも、レゲエってそもそも自由な音楽なんで、どんな楽しみ方もできるんですよ。酔っぱらっているときに聴くのもよし、ダンスにもよし、さらにナンパにも使える、と何でもアリな音楽なので。各自適当に楽しんでください。