【インタビュー】ORANGE RANGEの低音一家が語る、新曲「マジで世界変えちゃう5秒前」と<LuckyFes>出演「当時思ってたことが今叶ってる」

■このやり方は他のバンドとは
■違うんじゃないかなと思う
──シングルには、<ORANGE RANGE LIVE TOUR 024-025 〜タコス DE ピタゴラス〜>からNHKホール公演のライブ映像を収録したBlu-rayも付属します。映像を拝見しましたが、これだけいろいろなジャンルの曲があって混沌としているのに、ちゃんと一つに束ねてエンタメとして成立させられているのがすごい。さすがORANGE RANGEだな、と思いました。
RYO:音源リリースに伴うツアーではなかったので、これといったコンセプトのないツアーと言いますか。よく言えば選曲が自由、悪く言えばちょっと気を抜くと取っ散らかっちゃうようなセットリストだったんですよね。ボーカルとしては、お客さんをどう引っ張っていくか、というのがけっこう難しいポイントでした。“混沌としているけど、なんかまとまってたよね”という印象の“なんかまとまってた”の部分に関しては、MCや曲順や照明も含めて、メンバーだけじゃなくてチーム全体で、統一性が出るように考えてやっていて。これが本当に何でもアリになっちゃうと、エゴで終わっちゃうので。やっぱりライブが終わったあとに“来てよかった”と思ってもらいたいですからね。

YOH:今は混沌としている感じが自分たちにとってのノーマルになっているけど、思えば、『ИATURAL』(2005年発表)とか『ORANGE RANGE』(2006年発表)の時期はまだ、アジャストするのが大変だなと思っていた気がします。“これだけいろいろな楽曲を一つのショーとして見せるためには、どう表現するのが正しいんだ?”と模索していた時期が、たぶんみんなそれぞれ…NAOTO以外はあったんじゃないですかね。
──作曲者にはヴィジョンがあるけど、っていう。
YOH:NAOTOは、音源に対しては“こうじゃないとダメ”というイメージを強く持っている人なんですよ。だから僕らは、“こういうことを考えて作っているんだろうな”っていうのは曲を聴けば分かるけど、そこは本当に阿吽の呼吸みたいな感じで。
RYO:うんうん。
YOH:そうやって曲を作っていきながら、時間をかけて年月かけて、いつのまにか体が反応できるようになっていったんだと思います。僕はいろいろな現場に行ってステージをたくさんこなすタイプのベーシストではないので、外の世界のことはあんまり知らないですけど、このやり方は他のバンドとは違うんじゃないかなと思うことはありますね。

──今年9月から10月にかけては、6thアルバム『world world world』(2009年発表)の再現をコンセプトにしたツアー<RWD← SCREAM 025>があります。再現ツアーは6回目だそうですが、 昔の曲を改めて演奏するのってどんな感覚ですか?
RYO:楽しいですよ。レシピが全部決まってる料理にアレンジを加えるみたいな感じで、安心感がある中でさらに挑戦ができるので。今の自分なりに歌い回しを変えたり。あとは、お客さんを突き放すような曲から、一緒にわっと盛り上がるような曲に表現を変えたり。
YOH:曲によっては“ここ当時どうしてこうしたんだろう?”みたいな反省点もあるんですけど、 僕らツアーはたくさんやってるから、今のアンサンブルのほうが格段に強いし、キャリアを積んだ今の状態で“本当はこうやりたかったんですよ”ということが実現できたりもするので。そういうのも披露できる場なので、やりがいがありますよね。
RYO:『world world world』はライブでやってる曲が多いから、焦りもそんなにないかな。逆にライブでそんなにやっていない曲では、けっこう挑戦できそうだなと思ってます。

──ツアーの約1ヶ月前、8月11日には<LuckyFes’25>に出演されます。2年ぶりの出演ですね。
RYO:2年前に初出演した時は、客席がめっちゃ盛り上がってくれて嬉しかった記憶があります。フェスにはORANGE RANGEを初めて観る人や、「花」だけは知ってるという人もたくさんいらっしゃると思うんですけど、僕はいつも、“そういう人たちを絶対に巻き込むんだ”ってことばかり考えてるんですよ。最初は遠くから見ていた人が、だんだん前に来て、手を上げて……という景色を見ると、“よっしゃ!”って思います。2年前に出演した時は、確か湘南乃風と一緒だったよね?
YOH:一緒だったね。
RYO:バックステージでは、ずっと旦那さん(若旦那)と喋ってた記憶がある。「お互い長くやってるね」とか「今でもこういうステージに立てるのって嬉しいよね」みたいな話をしました。

──エモいですね。
RYO:そうなんですよ。湘南乃風とはデビューが近いんです。そう考えるとお互い長いし、つもる話もいっぱいある。あっちも、ずっと頑張ってきて今に至ったんだろうし。苦労とかいろいろあったんだろうなって、聞かなくても分かるというか。
YOH:同世代かつデビューが近くて今も現役の人って意外と少ないので、葛藤とか、時代の空気を共有できる人ってあんまりいないんです。フェスもね、2000年代初頭は全然違う空気感でしたから。今は空気が柔らかくて平和ですけど。
RYO:当時はジャンルの壁があったもんね。ロックはロック、レゲエはレゲエじゃなきゃダメ、みたいな。