「M-SPOT」Vol.018「気になったサウンドとプロフィールから、どんなアーティストなのかの妄想斬り」

音楽は人によって評価は360°変わる。好きだったりそうでもなかったり、凄いと思うこともあればピンとこないこともある。それは作品自体のクオリティや音楽成熟度とはまた別に、聞き手の単なる趣味嗜好や理解度、その場の単なる印象などもからんでくるからややこしい。でもだからこそ、十人十色の意見が生まれ、人ぞれぞれに好みの濃淡やこだわりが顕になる。
そんな音楽の世界だからこそ、意見が一致し同じ感想を持ったときに生まれる盛り上がりもまた音楽体験が及ぼしてくれるかけがえのない楽しさだ。ファンコミュニティの原動力もそこが原点であるし、音楽で会話が弾むのも共感の楽しさや喜びが心を震わせるからだろう。
気になった楽曲を再生し、そこから受けた感想や妄想を共有する。そんな屈託のない音楽談義の様子を今回もお届けしたい。ナビゲーターは、TuneCore Japanの堀巧馬と野邊拓実、そしてDJ DRAGON(BARKS)に進行役の烏丸哲也(BARKS)である。
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──今週も是非紹介したいアーティストが続々と現れましたね。
堀巧馬(TuneCore Japan):そうですね、例えばMAD JAMIEとか。僕は個人的に結構好きなんですよ。
DJ DRAGON(BARKS):アーティストの説明に「渋谷区宇田川発IDOL PUNK ROCK」とありますね。
野邊拓実(TuneCore Japan):「Kawaii は Fxxk!!」ともあって、この時点で情報量が多い(笑)。
DJ DRAGON(BARKS):パンクロックってのがいいですね。
堀巧馬(TuneCore Japan):プロフィールを見てアイドル・グループかと思ったらひとりなんで、その時点で「お?」みたいな。
──私も好き。どうやら5人組アイドルグループとしてデビューするも2年後に活動終了、その後メンバーの感情線あくびのソロプロジェクトとして再始動して今に至るようですね。
DJ DRAGON(BARKS):「私は残る」と。ひとりでも私はやるという反骨心ね。
──プロフィールには「宇田川発」とか「Kawaii は Fxxk!!」とか気になるワードが踊っていますが。
野邊拓実(TuneCore Japan):宇田川って発される場所じゃないですよね(笑)。Milkywayとかチェルシーホテル、CYCLONEとかありますけど。でも「渋谷発」と「宇田川発」ではだいぶ印象が変わりますもんね。「宇田川発」って言われた方がちょっとアンダーグラウンドというかサブカルチャーの匂いがしますよね。
堀巧馬(TuneCore Japan):で「Kawaii は Fxxk!!」「渋谷区宇田川発IDOL PUNK ROCK」でしょ?
──アイドルといいながら「Kawaii は Fxxk!!」、これは相当パンクですよ。
DJ DRAGON(BARKS):「Kawaii は Fxxk!!」というところには、原宿KAWAIIのポップカルチャーを指しているんじゃない?
──そういうカウンターカルチャーの意識かもしれませんね。
野邊拓実(TuneCore Japan):パンク、反骨精神ですよ。
堀巧馬(TuneCore Japan):ライブで「可愛い」とか言ったらぶん殴られそう。
──でも可愛いんだよ(笑)。

感情線あくび(MAD JAMIE)
堀巧馬(TuneCore Japan):そうだね(笑)、いやもう最高ですね。このコンセプトに突き進めば全ては「パンク」で許される。
DJ DRAGON(BARKS):メンバーがみんなやめてしまったっていう時点で応援したくなるね。
野邊拓実(TuneCore Japan):すごい応援したくなりますね。ハードコアパンクと同時にハードコアテクノも若干感じるようなサウンドで。今後も楽しみ。
堀巧馬(TuneCore Japan):この尖り方は海外受けもいいと思いますよ。
DJ DRAGON(BARKS):パンク系アイドルっていうか、こういうぶっ飛んだ感じはBiS以来ですかね。年齢も27歳って公表してますね。
──資料によると、ジミヘン、ジャニス、ジム・モリソン、カート・コバーンなど「ロック・スターは27歳で死ぬ」というジンクスに対抗し「27歳へ向け、死なないロック・スターになる」と語ったそうですよ。
DJ DRAGON(BARKS):感情線あくびさん、いいねえ。
──海外ウケも良さそうなMAD JAMIEですが、一方でstill stay greenというアーティストも海外の人から聴くと魅力的に聴こえるんじゃないかと思うんです。
──日本語がすごくかわいらしく聴こえませんか?欧米の人にとって、日本語の響きってどうにもカワイイらしいんです。その点をとても感じさせるんじゃないかという意味で、外人さんにも評価されるのでは、と。
DJ DRAGON(BARKS):言ってることわかります。
野邊拓実(TuneCore Japan):いい意味で、平成っぽさを感じるのがいいですね。でもブレイクの入れ方とかは、めっちゃ令和っぽくて結構面白い。
堀巧馬(TuneCore Japan):平成っぽさというのは、この4つ打ちとR&Bミュージシャンっぽさじゃないですかね。
──確かにこの4つ打ちで突き進む往年のビートに懐かしさを感じますけど、今の若年層には新鮮に響くかもしれないなとも思って。

still stay green
野邊拓実(TuneCore Japan):初期の宇多田ヒカルとかをうっすら思い起こしますよね。
──なるほど、その感じか。だからこそ時代が回って新しく再評価されたり。
野邊拓実(TuneCore Japan):お父さんお母さんが宇多田ヒカルど真ん中みたいな今の世代の子とかだと、家で宇多田ヒカルがよく流れていたことで大好きになるみたいな現象ってよくありますよね。アーティストとして作る音楽が、家で聴いていた自分のルーツに影響を受けていることは結構ある話でもありますから。
堀巧馬(TuneCore Japan):エレクトロニックの曲の作り方にもそういう世代感って出ますよね。
野邊拓実(TuneCore Japan):四つ打ちに、凄くふわっとしたパッドシンセのようなディレイの効いた音が乗ってて…みたいな。
──時代と世代もまたがって、ビート自体も人によって聴こえ方が変わりますね。あらゆる音楽が気軽に聴ける時代になって受ける刺激も多彩になり、アーティストの作品はより面白くなりますね。また次回も素晴らしいアーティストを紹介していきましょう。
協力◎TuneCore Japan
取材・文◎烏丸哲也(BARKS)
Special thanks to all independent artists using TuneCore Japan.
MAD JAMIE
MAD JAMIE -Kawaii is Fxxk- 渋谷区宇田川発IDOL PUNK ROCK Kawaii は Fxxk!!
◆MAD JAMIEページ(TuneCore Japan)
still stay green
**still stay green(スティル・ステイ・グリーン)**は、日本のシンガーソングライター。岡山県出身。 独特な感性と幅広い音楽的バックグラウンドを生かし、ジャンルを超えた楽曲制作を行っている。幼少期からクラシックピアノや合唱を学び音楽に囲まれて育ってきた彼女の楽曲は、クラシック音楽経験者特有のロジカルさがありつつも、ときにはそれを感じさせない自由さをも持つ。心に残る詩的な歌詞と、透明感を帯びた歌声でリスナーを魅了するアーティストである。2024年には、BADHOP、炒炒、KVGGLV、Yvng Patra、week dudusなどを手がけるジャンルにとらわれないプロデューサー“GOLD DIGGA”と出会い、彼女の音楽の表現や作品の世界観がより広がる。現在、「新鮮なサウンド」をコンセプトにしたコラボレーションEPを2025年の発表に向けて制作しており、これからの彼女の音楽活動への期待が高まる。
◆still stay greenページ(TuneCore Japan)