【インタビュー】LEEVELLES、新体制への決意とアニメ『この恋で鼻血を止めて』オープニング曲を語る「未来の話を一緒に」

2025.05.15 11:00

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■デビューしてからの経験を融合させると
■新しいものを生むんじゃないかなと思って

──さて、そんな「Brand New Day」の歌詞の“退屈に感じている毎日を彩る”というテーマは、どんなところから導き出したんでしょうか?

小川:“退屈すると死んでしまう”というテーマというか、そういう設定がアニメ自体にあるんですよ。サビの頭の歌詞が“僕ら気付けば大人になった”なんですけど、本当に気付いたら大人になってたなと思ったんです。それも同じことを繰り返しているうちに。これは僕個人の考えですけど、その同じことを繰り返している間って、退屈に感じていることが多くて。それもあっという間に時間が過ぎってしまったなって。今、4月に入って、“新学期になりました”とか“社会人になりました”とか“会社に新しい人が入ってきました”とか、環境の変化がみんなにいろいろあると思うんですけど、その時の頑張ろうという気持ちや新鮮だと感じていたものって、いつの間にかなくなることが多いじゃないですか。少なくとも僕はそんな風に感じることが多かったんです。だけど、それが「Brand New Day」という楽曲をきっかけに変わればいいなって……ちょっと稚拙な言い方かもしれないですけど、そんな日々の中で何かが光り輝けばいいなと思って、歌詞を書いていきました。“君となら特別な今日だ”という歌詞があるように、“君”に対するラブソングみたいな感じで作ってはいるんですけど、その“君”というのは必ずしも人じゃなくてもいいと思っているんです。

──なるほど。

小川:人によってはワンちゃんかもしれないし、部活動とかスポーツかもしれないし、僕らだったらファンかもしれないし、音楽かもしれないし。そういう身近にある何かと一緒に過ごすことによって、“毎日繰り返していたものに実は彩られているんだ”ってことに気づいてくれればいいなっていう思いから、ぼんやりとしていた輪郭がどんどん定まってきて、こういう歌詞になっていきました。


▲小川紘輔(Vo, G, Pf)

──“君となら特別な今日だ”というところが「Brand New Day」の歌詞の中で重要なところだと思ったんですけど、その“君”というのは、確かに好きな人だけに限らず、LEEVELLESの皆さんにとってはファンかもしれないし、バンドメンバーかもしれないとは思いました。ただ、人じゃなくてもいいという発想はなかったので、今お話を聞きながらちょっとびっくりしました。

小川:概念とか考え方とかでもいいと思うんです。僕はそういう幅広い意味で、“君”の捉え方をみんながしてくれたらいいなと思ってます。

──『この恋で鼻血を止めて』というアニメのタイトルを考えると、以前リリースした「地獄の沙汰も愛次第」とか「明日は明日の風が吹く」とか、そういうちょっとユーモラスなところもあるひねったタイトルにしてもおもしろかったんじゃないかと思ったんです。だけど、逆に「Brand New Day」というシンプルというか、ストレートなタイトルになったところが興味深いと思いました。

川﨑:実は、“そういうタイトルを考えてみよう”というタイミングもあって、いくつか考えたんですよ。だけど、歌詞を最初から最後まで読むじゃないですか。そうすると、“やっぱり「Brand New Day」だよね、この曲は”って最終的になったんですよ。

小川:Bメロで“Brand new day”って歌ってますからね。わかりやすさは大事だなとも思って、「Brand New Day」にしました。あと、「Brand New Day」というタイトルの曲が他にもいろいろある中で、この曲で戦っていけるって僕らが思えたことも大きかったです。


▲川﨑純(G, Cho)

──今おっしゃった“Brand new day”と歌う、ある意味リラックスしているようにも感じるBメロの展開がおもしろいと思いました。個人的には意表を突かれたというか、ちょっと不思議な感じもするんですけど、曲を作りながら自然にこういう展開になったんですか?

小川:わりと自然だったかな。EDMっぽさを出したかったんです。

──あー、なるほど。

小川:それと広い感じも出したくて。ただ、ピークはやっぱりサビに持っていきたかったので、その助走として考えているんですけど。Bメロは、コーラスを重ねつつ、シンガンロングもあって、だんだん盛り上げるライザーというか。“視界は開けている”というところでぱっと止まって、サビでどんっていう流れは、そうですね。自然でした。

──今、EDMとおっしゃったんですけど、シンセオリエンテッドな音像を打ち出しながら、実は、その中ではバンドの演奏がしっかりと熱を放っている。EDMっぽさというのは一つあったと思うんですけど、バンドとして、この曲でどんなところを見せたかったんでしょうか?

小川:「幸福のすゝめ」とか、「地獄の沙汰も愛次第」とかと比べると、メジャーデビュー以前のLEEVELLESに寄った気はしているんです。だけど、そういう以前やっていた音楽と、メジャーデビューしてからの経験で得たノウハウやテクニックを融合させると、どうなるのかなっていうのはやってみたくて。それが新しいものを生むんじゃないかなと思っていました。


▲宮地正明(B, Cho)

──新しいLEEVELLESが感じられるところを挙げてもらうとしたら?

小川:まず曲の雰囲気というか温度感。ちょっと青白い感じって言うのかな。表現がちょっと難しいですけど、メジャーデビュー前のアルバムに入れても馴染むような楽曲になってると思うんですよね。ただ、その中でメジャーデビュー以前はやってなかった急な転調とかは「幸福のすゝめ」で得たもので。あとは、畳み掛けるような早口の歌とかもメジャーデビュー以降にチャレンジして、LEEVELLESに取り入れたものですよね。Bメロのボーカルにオートチューンを掛けているんですけど、「無限未来」でちょっとだけチャレンジしたことがあったんですよ。それに「花占い」でボーカルチョップを入れた経験を踏まえて、今回やってみたんです。オートチューンを掛けて……何て言うのかな、ボーカルをケロった感じにするっていうことを。コーラスもこれまではシンプルだったんですけど、メジャーデビューしてから「コーラスをもうちょっと増やしてみたら?」という提案をいただいて、「明日は明日の風が吹く」で3声のハモリにチャレンジしてみたんですよ。その経験を生かしてみたんですけど、実はそういったことをふんだんに随所に織りまぜて、作り上げていった曲なんです。

──転調と言えば、ギターソロの最後で転調していますね?

川﨑:気づいたら、転調してましたね(笑)。

小川:気づけば、1音半下がってたね。

──では、ここからは各パートのアプローチや聴きどころを聞かせてください。川崎さんは今回、ギターのアレンジにはどんな風にアプローチしていきましたか?

川﨑:さっき紘輔君がEDMと言ってましたけど、イントロのシンセは、かなり印象的な音色とフレーズで、言ったら、ギターがなくてもイントロとして成り立つと思うんですよ。“そこに敢えてギターを入れるのであれば、ギターの役割は何なのか?”っていろいろ考えて、“やっぱりカッティングだろう“と答えを出した上で、サビもイントロもずっとカッティングしてるんです。ギター単体でさらに一つノれるところを作るっていうことを意識しました。あと、サウンド面では、本来はもう少し歪みを落として、硬めの音で弾いたほうが聴感上気持ちいいと思うんですけど、それよりももう少しざらっとした音色で弾くっていう。最近自分の中で、ギターのタッチ、ニュアンス、グルーヴを含めて、壁になるような音と、奥行きがある音は、空間系エフェクターじゃなくても作れることに気づいたところがあって。そこの使い分けなんですけど、今回は“奥行きの方が欲しい。でも、音は前に飛んでくる”ってところで、音色とリズムにはかなりこだわりました。

──なるほど。ディレイを掛けた単音フレーズが冒頭から印象的だったんですけど、それよりもカッティングだったわけですね。

川﨑:ええ。カッティングが今回のギターワークにおいては一番の肝だと思いました。あと、Aメロ等の風景を作るフレーズは奥で鳴ってる感じを空間系で作るというイメージで弾いているので。それとカッティングを合わせることで、結果うまいこと調和が取れたなと思っています。ギター本体もいろいろ試して、どれが一番合うのかけっこう悩んだんですけど、最終的にすごくいいところに着地できたと思います。

──悩んだ結果、何を使ったんですか?

川﨑:カッティングは僕が持っているフェンダーのストラトキャスターのセンターピックアップと、ディレクターさんが最近買ったテレキャスターシンラインのミックスポジションの二択があって。そのどちらにしようか悩んだんですけど、シンラインを選びました。弾いたことがないギターだから、けっこう弾き応えが変わるんですけど、それも含め、何かいい方向に作用するんじゃないかって期待したんです。普段弾きなれているギターじゃないっていう気持ち的な部分もあったせいか、本当にいい音で弾けたんですよ。カッティング以外はストラトキャスターとか、普段使っている自分のテレキャスターとか、パートごとにいろいろ持ち替えました。

──シンライン、欲しくなったんじゃないですか(笑)?

川﨑:はい。そのうち買うと思います(笑)。ただ、普通にカッティング用に使うギターじゃないから。

──本来だったら、コードを思いっきり鳴らしたいギターですもんね。

川﨑:本来そういうプレイをするはずじゃないギターで、そういうプレイをするっていうのは、「幸福のすゝめ」の時に試したギブソンのES-335と同じくらい難しかったですね。

──そんなところも一つ挑戦だったと。ギターソロはいかがでしたか?

川﨑:弾きやすかったですね。歌に被さるように入ってくるんですけど、ああいうの好きなんですよ。歌を受け継いで、そのまま進んでいくみたいなのが。音も歪ませ過ぎず、初々しさも出したいと思ってたんですけど、いい感じに仕上がったと思います。

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