【ライブレポート】ゆず、Kアリーナ横浜3DAYS<心をとめないで>完遂「30周年はじまるぞ!」

ゆずが10月23日から25日の3日間、神奈川・Kアリーナ横浜で<ゆず 30周年開幕記念ライブ 心をとめないで>を開催した。
2027年、1stミニアルバム『ゆずの素』でのCDデビューから30周年を迎えるゆず。今回のライブはタイトル通り、30周年のキックオフとなる公演だ。2023年にこけら落とし公演<YUZU SPECIAL LIVE 2023 HIBIKI in K-Arena Yokohama>を行ったKアリーナで、アニバーサリーイヤーの始まりに相応しい圧巻のステージを繰り広げた。ここでは23日の初日公演をレポートする。
ステージに掲げられたスクリーンには、縦書きで記された“心をとめないで”の文字。30周年のスタートに立ち会うべく会場に足を運んだ老若男女の“ゆずっこ”たちも、いつも以上に高揚しているように映る。いつも通り“ラジオ体操”を会場の全員で行い、ついにライブがスタート。荘厳なシンセと4つ打ちのビートを融合させたSEが鳴り、客席からは手拍子が沸き起こる。最後に「心をとめないで」という声が響き、北川悠仁が「横浜!」と叫ぶと会場全体が大きな歓声で包み込まれた。1曲目は、今年3月にリリースされたニューアルバムのタイトル曲「心音」だ。アコギをかき鳴らし、心の鼓動、伝えたい思いを描いた歌を高らかに響かせる。


「30周年はじまるぞ!」──北川悠仁
という言葉から始まったのは、2000年のヒット曲「飛べない鳥」。変わり続ける時代のなかで、飛べない鳥の様に一歩ずつ進んでいきたい。そんな願いを刻んだ歌は、まさにゆずが進んできた軌跡と強く重なっていた。曲が終わり、深々とおじぎをする2人の姿も心に残った。
ピアノのイントロが始まった瞬間、「おぉ…」というどよめきにも似た声が起きる。3曲目は「栄光の架橋」。最初のサビで北川が呼びかけると一斉に大合唱が生まれ、聴き馴染みのあるフレーズに新たな命が吹き込まれる。ご存じのように、もともとはNHK『アテネオリンピック中継』公式テーマソングとして制作された楽曲なのだが、リリースから20年以上の月日のなかでこの曲は、リスナーひとりひとりの人生に寄り添い、励ましてきた。そのことを改めて実感できる瞬間だった。強い感情を込めた歌を際立たせる、磯貝サイモン(G/Key/Cho)を中心としたバンド“心とまらないバンド”メンバー(松原“マツキチ”寛[Dr]、前田恭介[B / androp)]、芳賀義彦[G]、松本ジュン[Key]、弦カルテット(佐藤帆乃佳[Vn]、三國茉莉[Vn]、菊地幹代[Va]、結城貴弘[Vc]))の演奏も素晴らしい。

「<ゆず30周年開幕記念ライブ 心をとめないで>、集まっていただき、ありがとうございます! いろんなところから来てくれたんだよね? どこから来た? 北海道? ありがとうございます!」と観客に語り掛ける北川。「20周年を越えてから、いろんなことがありました。コロナ禍だったり、これからどうやって音楽を続けていくんだろう?と向き合いながら何年間だった気がします。そして、ようやくみんなと一緒に辿りついた30周年だと思います」。
そんなMCのあとは、ここ5年の間に発表された楽曲が続いた。まずは「NATSUMONOGATARI」。「桜木町」のアフターストーリーとして制作された楽曲を煌びやかな照明とともに披露し、切なくも華やかなムードを生み出していく。さらにアルバム『SEES』(2022年)収録曲「君を想う」。僕らが出会えた意味を抱きしめ、新たな日々に向かっていく。そんな思いを込めたこの曲は、コロナ禍を括り抜けてきた我々を讃えるように響き渡った。そしてストリングスによるイントロ、観客のハンドクラップから始まったのは「Chururi」。オーガニックな旋律と《愛する街から / 君を思い出したら 会いたい》というフレーズが共鳴し、客席とステージの距離がさらに近づいていく。これらの楽曲が示していたは、2020年代以降、ゆずの音楽がさらに豊かに広がったという事実。どこまでも自由に、どこまでも真摯に自分たちの音楽を追求する。その姿勢こそが、最高の30周年を迎えられた最大の理由なのだと思う。


ここでなぜかクイズコーナーへ。「ゆずのKアリーナでのライブ。何公演目?」「このアーティスト写真は何年のもの?」、そして最後の問題は「ゆずの楽曲に入ってる動物は?」(答えは“キリン”)。クイズでわちゃわちゃと楽しんだ後、二人はステージ下手に移動。「周年は代表曲をいっぱいやったりするんですけど、ここではカップリング曲をやっていこうと思います。まずはさっき“匂わせた”タイトルの曲を」(北川)と「赤いキリン」(シングル「from」収録)を演奏。ギター、キーボード、バイオリンのアコースティックな編成でノスタルジックな歌をじっくりと描き出す。続いてはステージ上手へ。こちらではドラム、ベース、キーボードの編成で「朝もやけ」(シングル「サヨナラバス」収録)を披露。ジャジーな雰囲気のイントロから始まり、軽快なビートへと移行。間奏では磯貝のリードで観客とのコール&レスポンスを楽しんだ。
そしてステージ中央に戻る。まず聴こえてきたのは、荘厳な雰囲気のチェロの響き。さらにカルテットによる奥深い旋律が奏でられ、「月影」(シングル「またあえる日まで」収録)へ。北川、岩沢のハモリを弦の音色が彩り、叙情溢れる音楽世界を描き出してみせた。続く「翔」は2011年リリースのシングル曲だ。二人の弾き語りで始まり、フルバンドでの演奏に移った瞬間、会場全体が心地よい感動で包み込まれる。力強く、朗らかなメロディとともに伝えられた《あなたと笑う それは僕の生きる意味》というライン、そして、なかなか鳴り止まなかった拍手は、ゆずとファンの絆の強さを改めて証明していた。

ロックンロール調のインストとともに“心とまらないバンド”のメンバーを紹介した後、ライブは後半へ。《響き合うよ 僕らは 少しずつ彩ってゆく》というアカペラから始まったのは「ビューティフル」。大らかなスケール感をたたえたサウンド、力強いメロディラインが響き合うこの曲は、ゆずの新しいアンセム。迫力溢れるギターソロに導かれ、すべての感情を解き放つような楽曲後半のパフォーマンスも鮮烈だった。
アグレッシヴなロックチューン「表裏一体」では二人のモノクロの映像を映し、“新しい未来に向かって飛び立とう”というメッセージを伝えるバラード「カナリア」では“カゴに捉われた女性”をモチーフにしたCGで楽曲の世界観を際立たせる。2万人収容のKアリーナ横浜ならではの多彩な演出も、この日のライブの大きなポイントだったと思う。


「30周年な感じのセトリですね(笑)。今日で10回目のKアリーナ公演です。ここからさらに盛り上がっていくぞ!」(北川)というMCに導かれたのは、北川、岩沢の共作曲「公私混同」。ゆずの愛らしいポップセンスと《これでいいのだ》という全肯定のフレーズがひとつになったこの曲もまた、彼らの新たな代表曲と言っていいだろう。さらにモータウン風のサウンドと「おはようございます!」(北川)という挨拶から、今年6月にリリースされた新曲「ニュービギニング」。デビューから30年経った現在も進化を続けるゆずの現在地をダイレクトに示してみせた。“Wow wow〜”という大合唱も最高。「幸せで、うれしくてうれしくて」と語り掛ける北川、満面の笑顔で客席を見つめる岩沢からも現在のゆずの充実ぶりを感じることができた。
「季節はすっかり秋ですが〜!(大歓声とミニタンバリンを鳴らす音) 「夏色」!」と北川がコールした瞬間、岩沢がアコギでイントロのフレーズを演奏。「30周年 30周年!」「ありがと ありがと!」のコール&レスポンス、「123、ヘイ!」という合図で銀テープが客席に向かって放たれる。最初のサビの後、北川が客席に突入。アリーナを練り歩き、ハイタッチしたり、小さい子供にキャップをプレゼントしたりと至近距離でコミュニケーションを取る。そして、いったん曲が終わった後の「もう1回! もう1回!」(客席) 「バカヤロー!」(北川)というお約束のやり取りから「それそれそれそれ!」の大合唱。すべてがめちゃくちゃ楽しく、アリーナ全体が幸せで包まれていく。1998年のデビュー曲「夏色」。ライブで欠かさず披露され、ファンとともに育ててきたこの曲が30周年の開幕をこんなにも華やかに彩るなんて、誰が想像できただろうか?


「イメージしてた30周年って、もうちょっと落ち着いた感じだったんだけど(笑)。だけど、何て言うの? 俺たちはみんなに届けたいものがあって、みんなは受け止めたい人たち。その需要と供給ががっちりハマってて、だから俺たち、止まれねえんだよ!
路上の片隅から歌い始めて、聴いてくれる人が現れて。まさかこんなに長く聴いてもらえるとは思っていませんでした。……いろんなことがあったんだよ。だけどどんなことも音楽に変えて、君たちに届けたい。その心は変わりませんでした。俺たちの今日があるのは間違いなく、まずは俺たちの努力です(笑)。でも! それだけではどうにもなんない。今日があるのは君たちがいてくれるおかげです。どうもありがとう!」──北川悠仁
ありったけの感謝を伝えた後は「心をとめないで」。10月23日午後0時、つまりこの日のライブ当日に届けられた最新曲だ。ディレイを効かせたアコギからはじまり、心地よい推進力をたたえたバンドサウンドが出現。大らかさとダイナミズムを合わせ持った2人の歌声、そして、《心躍れ あるがまま》《心をとめないで》という歌詞が高らかに打ち鳴らされ、ライブ本編はエンディングを迎えた。

ゆずっこたちが「贈る詩」(デビュー曲「夏色」のカップリング曲)を歌ってアンコールを求めると、ゆずとバンドメンバーが再びステージへ。「ぜんぜん声が合ってないじゃん(笑)!」という北川のリードで「贈る詩」のサビを歌い直し、アンコール1曲目の「アゲイン2」へ。曲が始まると同時に歓声が沸き起こり、最後はみんなで大合唱。答えがなくても、目的地が見えなくても、もう一度ここから歩き出そう。そんな思いが会場を一つにしていく。
最後の曲は「幾重」。『NHK東日本大震災15年震災伝承ソング』として制作されたこの曲は、クラシカルな弦の音色からはじまるバラードナンバーだ。今年も世界中でいろいろな災害や争いが起こり続け、先行きはまったく見通せない。そんな状況から目を逸らすことなく、ゆずの二人は《幾重に過ぎゆく日々 / 幾重に未来を拓く》と歌う。手渡された歌の数々は、観客ひとりひとりの明日からの生活をしっかりと支えてくれるはずだ。


「みんなの応援と喝采のおかげで、ゆずは30周年を迎えることができます。30周年イヤー、感謝の思いをみなさんに伝えていきます。一緒に最高の1年しましよう」と呼びかけ、ライブは終了。二人で丁寧に感謝を伝え、ステージを後にした。
30年のキャリアを網羅しつつ、現在進行形のゆずをしっかりと示した<ゆず30周年開幕記念ライブ 心をとめないで>。まるでファイナルのような充実ぶりだったが、30周年は今はじまったばかり。この1年、ゆずがどんな音楽やコンサートを届けてくれるのか、それが楽しみでしょうがない。


取材・文◎森朋之
撮影◎中島 たくみ / Masanori Naruse / 鈴木 健太
■<ゆず 30周年開幕記念ライブ ⼼をとめないで>
10⽉23⽇(金)-25日(日)@神奈川・K アリーナ横浜 セットリスト
01.心音
02.飛べない鳥
03.栄光の架橋
04.NATSUMONOGATARI
05.君を想う
06.Chururi
07.赤いキリン
08.朝もやけ
09.月影
10.翔
11.ビューティフル
12.表裏一体
13.カナリア
14.公私混同
15.ニュービギニング
16.夏色
17.心をとめないで
encore
en1.アゲイン2
en2.幾重

■22年ぶり日産スタジアム公演<YUZU 30th ANNIVERSARY STADIUM LIVE 2027 日産スタジアム>
▼2027年
【DAY1<ゆ>】
5月15日(土) 神奈川・日産スタジアム
open15:00 / start17:00
【DAY2<ず>】
5月16日(日) 神奈川・日産スタジアム
open15:00 / start17:00
▼チケット
【ファンクラブ「ゆずの輪」会員先行受付(抽選)】
受付期間:10月25日(日)19:00〜11月15日(日)23:59
https://yuzu-official.com/pages/30_stadiumlive_2027/
■デビュー30周年記念オールタイムベストアルバム
2027年春リリース予定

■番組『ゆず 30周年開幕記念ライブ 心をとめないで』
日程:2027年1月放送・配信予定
放送局:WOWOW
※放送・配信終了後~1ヵ月間WOWOWオンデマンドでアーカイブ配信あり
※Leminoで2027年1月配信開始
収録日:2026年10月25日(日)
収録場所:神奈川・Kアリーナ横浜
WOWOW番組サイト:https://www.wowow.co.jp/music/yuzu/

■配信シングル「⼼をとめないで」
2026年10⽉23⽇(⾦)配信リリース
配信リンク:https://yuzuofficial.lnk.to/Kokoro_Wo_Tomenaide
MV:https://youtu.be/YwVUzpaXr90

■ライブBlu-ray & DVD『LIVE FILMS 心音』
2026年12月23日(水)発売
【YUZU Official Store限定販売 / 完全受注生産(DISC2枚組)】
※スペシャルパッケージ仕様
・Blu-ray:PPTF-7173~7174
・DVD:PPTF-1084~1085
価格:¥12,300(税込)
受注期間:10月5日(月)18:00〜10月25日(日)23:59
特設サイト:https://yuzu-official.com/pages/livefilms_shinon/
●封入特典
・限定ライブフォトステッカー5種
・新聞広告デザインポスター
●YUZU Official Store購入特典
・撮り下ろしカット クリアファイル(A4)
▼収録曲
01.逆光
02.1
03.地下街
04.心の音
05.ねこじゃらし
06.雨と泪
07.ま、いっか
08.日替わり定食
09.出発前(岩沢厚治ソロ)
10.消しゴム(北川悠仁ソロ)
11.リアル
12.喜怒哀楽メドレー
(種/贈る詩/傍観者/LAND/踏切/からっぽ/ストーリー/イロトリドリ/ユーモラス)
13.手のなる方へ
14.少年
15.栄光の架橋
16.心音
17.幾重
18.夏色
▼特典映像
『“心音” Tour After Interview』


■<WONDERLIVET 2026 / 원더리벳 2026>
11月20日(金) 韓国・KINTEX HALL 7/8/9/10
11月21日(土) 韓国・KINTEX HALL 7/8/9/10
11月22日(日) 韓国・KINTEX HALL 7/8/9/10
特設サイト:https://www.wonderli.vet/
■NEXCO西日本 新CM
2026年10月1日(木)より放送・配信開始
CMソング:ゆず「君を想う(Symphonic Orchestra Version)」※リリース未定
CM特設サイト:https://www.w-nexco.co.jp/lp/special_contents26/

■楽曲「これも⻘春だ」
作詞:北川悠仁 岩沢厚治 ⽟屋2060%
作曲:北川悠仁 岩沢厚治 ⽟屋2060%
編曲:⽟屋2060%(Wienners)
※発売未定
※『⾼校⽣家族』主題歌
■映画『⾼校⽣家族』
2027年1⽉8⽇(⾦)全国公開
出演:⾹取慎吾 仲⾥依紗 齋藤潤 永尾柚乃 ⼤福
⽔沢林太郎 影⼭優佳 ⽊村柾哉(INI) 本⽥望結 倉沢杏菜 坂⼝涼太郎
⼭時聡真 なえなの ⾜川結珠 藤本洸⼤ ⼩澤⻯⼼ ⼤政凜
⽵中直⼈ 真⾶聖 永野宗典 安達祐実 柳沢慎吾
尾上松也 井ノ原快彦
原作:『⾼校⽣家族』仲間りょう(集英社ジャンプコミックス刊)
監督:瑠東東⼀郎
脚本:上⽥誠(ヨーロッパ企画)
製作:フジテレビジョン 東映 CULEN
配給:東映
撮影期間:2025年11⽉〜12⽉
・公式サイト:kokosei-kazoku-movie.jp
・公式Xアカウント:@kokosei_kazoku







