【ライヴレポート】DEZERT、結成15周年記念ホールツアー完遂「生まれてきてよかったなっていう音楽をしたい」

DEZERTが9月27日、東京・Kanadevia Hall(TOKYO DOME CITY HALL)にて15周年記念ツアー<DEZERT 15th ANNIVERSARY HALL TOUR 2026 “Welcome To My Beginning”>のファイナル公演を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。
大阪・名古屋・東京の3都市を巡ったこのツアーでは、会場限定CD『Alternate4』に収録された各メンバー作曲の新曲4曲を筆頭に、新旧さまざまな時代の楽曲を披露し、各地を盛り上げてきた。そんなアニバーサリーツアーの最終日、千秋(Vo)は集まった大勢のファンを前に「バンド最高!」「生まれてきてよかった!」と素直な思いを口にした。時に悩み、時に苦しみながらも、続けてきたバンド人生を丸ごと肯定するような言葉が次々と零れた。

轟音と共に、ステージにかかった透明な紗幕の向こう側に、メンバーのシルエットが一人ずつ映し出される。千秋の「DEZERT、はじめます」を合図に幕が落ち、SORA(Dr)作曲の新曲「Welcome To The End」でライヴはスタート。重厚なサウンドと鋭いシャウトでDEZERTのダークな世界へと観客を引きずり込む。
続く「TOXIC」は、Sacchan(B)作曲の新曲だ。中毒性のあるフレーズとヘヴィなビートが畳みかけるように押し寄せると、フロアはヘッドバンギングの嵐に。そして2013年リリースの「包丁の正しい使い方~実行編~」の怪しげなイントロが流れると、フロアから歓声が上がり、飛び跳ねる観客も。曲が始まるやいなや、ここぞとばかりに一斉に身体を折り畳む。オープニングからノンストップで容赦なく攻め立てるような展開に、会場のテンションも瞬く間に高まっていった。

いつの間にかジャケットを脱いでいた千秋も、「俺もうボロボロやぞ」と呟くほどの熱量で駆け抜けた序盤。さらに「今日の主役はあなたですよ。あなた一人のための今日です。それを噛みしめて俺はここに立っています。だから命かけて音楽やります。あなたも音楽しましょうよ。一対一の勝負します。ぜってぇ俺らは負けないからな、勝ちに来いよ!」と千秋が煽ると、メロディアスで疾走感あふれる「Sister」が始まる。
続く「ミスターショットガンガール」で千秋はMiyako(G)に向かってお尻を突き出してみたり、ドラム台に上ってSORAと一緒に頭を振ったり、Sacchanとは《歩いていくんだ 痛いんだ 世界は苦くて辛いんだ》のパートを掛け合ったりと、メンバー間でも思い切り音楽を楽しんでいく。

「もっと狂ってたーい、もはや15周年とかどうでもいいー」と身も蓋もないことを言う千秋は、まだまだ暴れ足りていない様子で、そのまま「胃潰瘍とルソーの錯覚」へ。グロテスクな歌詞と不気味なメロディに合わせ、オーディエンスは一斉に高くジャンプ。メンバーの頭上では、バックドロップに描かれた大きなひまわりを黄色と紫の照明が激しく照らし、毒々しい光景を作り出していた。
ここで千秋作の新曲「鬱鬱鬱」を投下。タイトルから想像する陰鬱さとは裏腹に、アッパーなビートとどこかポップな色彩を感じさせるDEZERTらしい一曲だ。SORAの激しいドラムに電子音が絡み、MiyakoとSacchanも勢いよく頭を振りながらパフォーマンスする。

一方で、Miyako作曲の新曲「Elama.」は、クラシカルなムードを携えた深みのある重厚なバラード。音数を絞った洗練されたサウンドと、リバーブの効いた千秋の歌声が、ホール空間を神秘的に包み込む。曲のクライマックスではSORAの背後からミラーボールが現れ、無数の光を放ちながら、ステージに満月と星空を描き出した。“命”や“生き方”という壮大なテーマをDEZERTらしい美意識のもとでこんなにも静かに、そして美しく響かせられるのは、15年の歴史を歩んできた今の彼らだからこそだろう。
静かに燃えるような余韻が漂うなか、Miyakoがステージに膝をつき、歪んだギターを生々しく掻き鳴らす。すると千秋もMiyakoの前に跪き、向かい合うようにして「Call of Rescue」のサビのフレーズを歌い上げた。切ない歌声とギターの音がぶつかり合い、呼応するように響き合う二人の姿は、まるで映画のワンシーンのように観客の目に焼き付いた。

活動初期から最新まで幅広い時代の楽曲を展開し、過去と現在を繋いできたこの日。千秋が、“未来”という言葉を口にしたのは、「TODAY」を演奏する前だった。
「俺はしがないバンドマンなので、政治家みたいに法律を変えることもできねぇし、俺らの力じゃまだいろんなルールも変えられねぇ。でもライヴがあるから頑張れるし、辛いことがあっても、あなたがいてくれるから未来へ目を向けられる。いつか終わりは絶対に来ます。そのときに何を思うか、そのためだけに今日ここに立っています。だから、ぜひ未来へ希望を持ってほしいです。なぜなら、あなたが希望を持ってくれないとDEZERT続けられないから。本当はこんなこと言いたくないけど、バンドってそんなもんじゃねぇかなって。
俺はバンドに惹かれて、ライヴハウスに逃げ続けてきた人生でした。それが武道館になって、幕張メッセになって、今日はここKanadevia Hallになりました。だから(みんなも)ここを逃げ道にしていいです。ここを出た後に“DEZERTの音楽があるから頑張れる”って思ってもらえたら。あなたの人生の糧になれれば、俺は生まれてきた意味があると思っています。
臭いこと言いますよ、愛してます。俺はヴィジュアル系の未来とかじゃない、あなたの未来を、自分の未来を変えたくてここに立ってる。ぶつけるぞ、この曲で」
──千秋
バンドの意義や音楽の力を信じて歌い上げる「TODAY」。《生きててよかった そう思える夜はきっとここにある》。大切なライヴで何度も伝えてきたメッセージを、千秋は改めて観客一人ひとりと視線を交わしながら届ける。明るく照らされたホールにはたくさんの手が挙がり、まるでステージとフロアの思いがリンクしているかのような光景が広がっていた。

ここからライヴはラストスパートへ。「うちのファンが一番カッコいいと思える曲」という千秋の前振りから、「「秘密」」をドロップすると、再びフロアのボルテージは急上昇。攻撃的なサウンドに合わせ、ヘッドバンギング、折り畳み、拳ヘドバン、モッシュと、あらゆる方法で暴れ狂うオーディエンス。座席のあるホールにもかかわらず、曲中には全員が一斉にしゃがみ込み、千秋の「ゴミクズ!」という咆哮を合図に頭を大きく回転させる。無数の頭が一斉に回り、広いホールが異様な熱気に包まれた。
千秋がMiyakoの頭からペットボトルの水を浴びせ、Sacchanは床に寝転ぶなど、ステージ上もすっかりカオス状態に。そこへ、とどめとばかりに「「切断」」が投下。メンバーもオーディエンスも限界を突破し、何もかもをかなぐり捨てるよう、ひたすら頭を振り続ける。そして、狂騒の果てに残ったのは、清々しいほどの爽快感だった。「さて、また生きるべや」とさっぱり言い残し、去っていく千秋。一方SORAは、高速かつ爆音のドラムソロを即興で披露。あふれる熱量をそのまま叩きつけると、すべてを出し尽くしたような満身創痍の姿でステージを後にした。




アンコールに応えて再び登場したメンバー。まずMiyakoが会場全体を笑顔で煽ると、すかさず大きな歓声が返ってくる。すると、ややお疲れ気味のSacchanは、タフすぎるオーディエンスを前に、「なんでみんなそんな元気なの……?」と苦笑い。さらにSORAも息が整わないまま登場し、「(最後のドラムソロで)今日初めて息ができなくなった」と告白。千秋も登場早々、スピーカーに寄りかかるなど、本編の激しさを物語る姿を見せていた。
そんな中でSORAは、「今日、バンド楽しいと思ったわ。後ろから千秋を見てたら、(自分がDEZERTに)加入したときのブラホ(池袋BlackHole)を思い出した。どこ行ったかわかんないくらい暴れてて、みーちゃん(Miyako)も俺のところに来てくれて。めちゃくちゃ反省点もあるけど、めっちゃバンド楽しいなーって思ったわ」と振り返る。ステージ上で活動初期の記憶を呼び起こされたというSORAの言葉からは、長い時間を重ねた今もなお、4人がバンドそのものを楽しんでいることが強く伝わってくる。

アンコールでも、メジャーデビュー発表のライヴで初披露した「The Heart Tree」、2016年にリリースして以来ライヴの定番曲となった「「君の子宮を触る」」、“音楽”そのものに真正面から向き合った「「音楽」」など、本編に続いて思い入れの深い楽曲たちを届けていく。そのどれもが、この場にいる一人ひとりのために歌う歌だった。そして最後に千秋は、溢れる思いをこう言葉にした。
「ずっと続いたらええのに。お前らも一億歳まで生きればいいのに。景気も良くなればいいのに。誰一人、欠けやんかったらいいのに、と最近思ってます。4人で鳴らすだけじゃ意味ないからな。そこにあんたがいないと意味ない。俺らが『Mステ』出ても、心は近いからな。横浜アリーナやっても、心は一緒やからな、ほんまやで。マジでバンド最高! みんなもバンドやろう! 生まれてきてよかったです! 生まれてきてよかったなっていう音楽をしたいと思っています。絶対、生きていこうね」
──千秋


これまで伝えてきた音楽と言葉、積み重ねてきた時間。DEZERTの歩みが今この瞬間にすべて噛み合い、最後に浮かび上がったのは、あまりにもシンプルで、純粋で、根本的な思いだった。これまで一歩一歩、着実に歩みを進めてきた4人が、いま改めて音楽と生きることの素晴らしさをまっすぐに肯定した、節目にふさわしいステージだった。
「絶対、生きていこうね」。その言葉を未来へ繋げていくように、11月1日からは、神奈川・川崎CLUB CITTA’を皮切りに、2ndメジャーアルバム『DEZERT』を携えたツアー<DEZERT 15th ANNIVERSARY LIVE HOUSE TOUR 2026 “生きてゆこうね”>が始まる。
取材・文◎南 明歩
撮影◎西槇 太一

■<DEZERT 15th ANNIVERSARY HALL TOUR 2026 “Welcome To My Beginning”>
9月27日 (日) Kanadevia Hall(TOKYO DOME CITY HALL) セットリスト
01.Welcome To The End
02.TOXIC
03.君の脊髄が踊る頃に
04.包丁の正しい使い方~実行編~
05.Sister
06.ミスターショットガンガール
07.胃潰瘍とルソーの錯覚
08.鬱鬱鬱
09.My Unhappy Life
10.Elama.
11.Call of Rescue
12.メランコリアトレイン
13.TODAY
14.再教育
15.「秘密」
16.「切断」
encore
en1.The Heart Tree
en2.「無修正。」
en3.「君の子宮を触る」
en4.「音楽」

■メジャー2ndアルバム『DEZERT』
2026年10月28日(水)発売
【最強盤(3CD+Blu-ray / 4枚組)】
CRCP-40718/20 ¥13,200(税込 / ¥12,000 税抜)
【通常盤(2CD+M-CARD)】
CRCP-40721/22 ¥6,600(税込 / ¥6,000 税抜)
Pre-add/Pre-save:https://lnk.to/pre_dezert
▼CD:DISC-1
01.Welcome To The End
02.空が青く燃えてる
03.「無修正。」
04.Talking
05.メランコリアトレイン
06.亡霊ドッペルランデヴー
07.Elama.
08.My Unhappy Life
09.スーサイドヘヴン
10.「火花」
▼CD:DISC-2
01.「音楽」
02.TOXIC
03.Live Future
04.Swimming
05.オーディナリー
06.春光の詩
07.鬱鬱鬱
08.Dani, Dani, Go! Go!
09.春夏秋冬
10.生きてゆこうね
▼CD:DISC-3 ※最強盤のみ
01.千秋の悲しいラヂオ〜人間も辛いよ編〜
02.異常な階段 (スーパー弾き語り)
03.「ピクトグラムさん」 (スーパー弾き語り)
04.Your Song (スーパー弾き語り)
05.TODAY (スーパー弾き語り)
06.デザートの楽しいラヂオ〜15周年ハピネス編〜
▼Blu-ray(最強盤) / M-CARD(通常盤) 同内容
◯ライブ映像『DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR GRAND FINAL「僕らの音楽について」』
2026.3.20(金祝)@幕張メッセイベントホール (全22曲/約148分)
01.真宵のメロディー
02.「変身」
03.胃潰瘍とルソーの錯覚
04.「無修正。」
05.明日暗い月が出たなら
06.あの風の向こうへ
07.神経と重力
08.My Unhappy Life
09.遮光事実
10.はい!少女
11.肋骨少女
12.Hopeless
13.Call of Rescue
14.君の脊髄が踊る頃に
15.僕等の夜について
16.「火花」
encore
17.Stranger
18.「遺書。」
19.「秘密」
20.The Heart Tree
21.「君の子宮を触る」
W encore
22.「音楽」
◯ドキュメンタリー映像 / 僕らの“音楽”について 〜終わらない葛藤の先へ〜(約60分)
※ドキュメンタリー映像はBlu-rayのみ収録

■アルバム『DEZERT』リリースイベント・スケジュール
10月17日(土) 東京都内某所
10月18日(日) 東京都内某所
10月29日(木) 東京都内某所
11月03日(火祝) 東京都内某所
11月20日(金) 北海道・札幌市内某所
11月22日(日) 宮城・仙台市内某所
11月27日(金) 福岡・福岡市内某所
12月04日(金) 大阪・大阪市内某所
12月11日(金) 愛知・名古屋市内某所
※詳細は後日発表

■<DEZERT 15th ANNIVERSARY LIVE HOUSE TOUR 2026 “生きてゆこうね”>
11月01日(日) 神奈川・CLUB CITTA’
open16:00 / start17:00
11月07日(土) 新潟・LOTS
open16:15 / start17:00
11月14日(土) 長野・CLUB JUNK BOX
open16:30 / start17:00
11月15日(日) 石川・金沢EIGHT HALL
open16:15 / start17:00
11月21日(土) 北海道・札幌ペニーレーン24
open16:15 / start17:00
11月23日(月/祝) 宮城・仙台Rensa
open16:15 / start17:00
11月28日(土) 福岡・DRUM LOGOS
open16:00 / start17:00
11月29日(日) 岡山・YEBISU YA PRO
open16:15 / start17:00
12月05日(土) 大阪・GORILLA HALL OSAKA
open16:00 / start17:00
12月06日(日) 大阪・GORILLA HALL OSAKA
open15:00 / start16:00
12月12日(土) 愛知・名古屋ダイアモンドホール
open16:00 / start17:00
12月13日(日) 静岡・LIVE ROXY
open16:15 / start17:00
▼チケット
スタンディング ¥7,000(税込 / ドリンク代別途必要)
※3歳未満入場不可(3歳以上要チケット)
※営利目的の転売禁止
チケット詳細:https://linktr.ee/DEZERT_LIVEHOUSETOUR2026
■<DEZERT 15th ANNIVERSARY LIVE HOUSE TOUR 2026 “生きてゆこうね” X’MAS EDITION>
12月25日(金) 東京・EX THEATER ROPPONGI
※詳細後日発表







