【ライブレポート】大石まどか、デビュー35周年「みなさんの愛をいっぱいいただきました」

2026.09.20 21:16

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【ライブレポート】大石まどか、デビュー35周年「みなさんの愛をいっぱいいただきました」

1992年に本名の大石円として「恋のしのび雨」でデビュー、2月にデビュー35周年を迎えた演歌歌手の大石まどかが9月18日、東京・Cotton Clubにて<生ラ!35周年ライブ>を開催した。

80曲以上をリリースしてきたシングル曲から、転機となった代表曲「忘れ蛍」や「深い川」をはじめ、10月28日にリリースするデビュー35周年記念曲「行き暮れて」とカップリング曲「初雪」も披露。自身の楽曲だけでなく、北海道や美空ひばりをテーマに選曲したメドレー、同じ事務所のピアニストHIROSHIとのコラボステージなど、演歌の枠を超えて多彩な楽曲で会場を沸かせた。また、演歌歌手の先輩である山川豊や伍代夏子、作曲家の杉本眞人など親交のある著名人も多数お祝いに駆け付けるなど、彼女の人柄と35年の歩みを実感させる、実に華やかなステージとなった。

ライブの前には、活動のキーポイントとなった楽曲を解説しながら35年を振り返る映像が会場に流れた。「おんな船」では萎縮してレコーディングできなかったこと、椿山荘で開かれた「忘れ蛍」ヒット記念パーティーではバニーガール姿でカクテルをふるまったことなど。多彩なエピソードと大石の軽妙なトークで、来場者のお酒も大いに進んでいた様子。いよいよライブがスタート。エレキギターのイントロとともに「居酒屋『津軽』」で幕を開けた。大石は力強くこぶしを握りしめ、振り付けを交えながらエネルギッシュにボーカルを聴かせて会場を沸かせた。

「憧れのCotton Clubでのステージ、感激でございます。お天気が気になっていましたが、きっと皆さまの日頃の行いが良かったのでしょう。晴れ晴れした気持ちで歌いますので、どうぞお楽しみください」。序盤はデビュー曲「恋のしのび雨」をはじめ、「忘れ蛍」「深い川」といったファンにもお馴染みの楽曲。大石は「レコーディングがとても大変だった3曲です」と笑いを取り、ときにしっとりと、ときに力強い節回しを交え、圧倒的な歌唱力で会場を魅了した。

大石の故郷である北海道を舞台にした名曲を一気に歌いつなぐ「北海道メドレー」と題したコーナーでは、「函館の女」や「ソーラン渡り鳥」「小樽の人よ」、演歌だけでなく「大空と大地の中で」も交えて約10曲を一気に披露。大石は歌いながら客席に降り、ファンと握手や記念撮影するなど、ファンサービスでも楽しませた。花束を渡す人もいれば、ハンカチで汗をふいてあげたり、生のコミュニケーションは『生ラ!』ならでは。最後に自身の「愛しの函館」を、北の大地を表現するように両手を大きく広げて歌い上げた。

中盤にはピアニストのHIROSHIが登場。大石の周年イベントのたび応援に駆け付け、ファンの間ではすでにお馴染み。黒を基調にしたシックな出で立ちのHIROSHIに「今日は地味ですね」と大石。「今日は伴奏ですから。それくらいは心得ております!」とHIROSHI。嫁と姑のような絶妙なやりとりに会場から笑いがこぼれた。HIROSHIのソロ演奏のあと、ドレスに着替えて登場した大石。<生ラ!>では、毎回英語の歌を1曲選曲しているとこのことで、この日はHIROSHIの演奏をバックに「テネシーワルツ」を歌唱。ラグジュアリーなムードが会場を包み込む。続けてHIROSHIの演奏で、「美空ひばりメドレー」も披露。「愛燦燦」に始まり、「悲しき口笛」「リンゴ追分」など、静かに聴き入った観客。「真っ赤な太陽」では一転、会場に手拍子が沸き起こった。

南佳孝の「モンロー・ウォーク」や青森民謡「南部積み唄」、沢田研二の「時の過ぎゆくままに」といった多彩なカバーにもチャレンジし、大石のボーカリストとしての懐の深さも見せつけた。「モンローウォーク」はラテンのアレンジで披露。「南部積み唄」は、民謡歌手だった父親から幼少期に手ほどきを受けたエピソードとともに、ロック調のアレンジで歌唱。観客はリズムに身を委ねて身体を揺らす。そして「時の過ぎゆくままに」はボサノバ調のアレンジ。大石と同い年で名前も同じまどかという女性サックスプレイヤーが奏でる、艶めかしく響くサックスの音色もいい味付けとなった。

本編の最後には10月28日にリリースする「行き暮れて」とカップリング曲「初雪」を披露した。「初雪」は“二十代の求める愛”、「行き暮れて」は“五十代の与える愛”と楽曲を解説し、まずは「初雪」から披露した。歌謡曲調のミディアムナンバーである同曲。幻想的な雰囲気のライティングとしっとりとしたムードで、楽曲の世界観に観客も引き込まれた。「行き暮れて」は演歌の真骨頂といった楽曲。エモーショナルに情感を込めた歌声に、雪がしんしんと降り積もるような情景が目の前に広がった。

アンコールでは「わかれ唱」と「つつましく たくましく」でライブを締めくくる。会場にミラーボールが回り、観客も手拍子を打って、楽しい雰囲気で会場が一つに。「みなさんの愛をいっぱいいただきました。来年もぜひお越しください」。2013年から毎年開催している、生演奏にこだわった大石まどかのライフワーク<生ラ!>。35周年の記念回となったこの日、彼女にとってもファンにとっても思い出に残る特別な<生ラ!>となった。

文◎榑林史章