【インタビュー】AKIRA TAKANO(高野洸)、「自分の曲が誰かの救いになれば嬉しい」

──2025年6月、アーティスト活動における名義を高野洸からAKIRA TAKANOに改名することを発表しました。改めて、その理由を教えてください。
AKIRA:自分のやりたいことやアーティスト性をもっと固めていきたいという気持ちがあって、その流れで「SwING PLANT」という新しいレーベルに移籍したんです。そのタイミングで、前から「AKIRA TAKANO」という表記がいいなと思っていたので、名義も変更して活動することにしました。
──俳優としては高野洸のまま、アーティスト活動はAKIRA TAKANOで、という棲み分けですか?
AKIRA:そうですね。アーティストとしての顔を押し出すときはAKIRA TAKANOで、俳優としては高野洸という漢字の方でやっています。最初はアーティスト活動にも俳優としての要素を持ち込んで、歌詞のテーマとかを決めていたんです。
──3曲でひとつのストーリーを描くとか。
AKIRA:そうです。3rdシングル「YOUR STORY」くらいまでは、その意識がありましたけど、その後は俳優とアーティスト活動を棲み分けたいという気持ちが出てきて。だから、このタイミングで急に考えたというより、もともと意識していたことなんです。
──AKIRA TAKANO名義での第1弾「pinkcider」は、どんなイメージで作ったんですか?
AKIRA:「pinkcider」は、弾けるような爽快感のあるビートになっていて。歌詞は、ラグーナテンボスというテーマパークのCMタイアップをいただいたので、それも意識して書きました。トラックを聴いたときにすごく弾けるイメージがあって、「サイダー」という言葉が浮かんだんですよね。その炭酸のイメージと、好きな子とテーマパークに遊びに行ってるイメージを重ねて書いたんです。
──今年2月には「P.O.I.」と「Well okay」を同時リリースしました。まず「P.O.I.」は、どんなイメージで?
AKIRA:トラップ系のビートで、ラップも結構攻めてるんですけど、サビはメロディアスになっています。
──「P.O.I.」はどういう意味ですか?
AKIRA:“Parts Of Identity”の略で、サビの最後にハマる言葉を探していたらこれがしっくりきて。身体も含めてですが、あなたをつくる一つひとつが自分のアイデンティティなんだよ、ということなんです。なので、「自分なんて……」って思ってる人に聴いてほしいですね。他と比べなくていいし、あなたにしかできないことがあるんだからっていうメッセージを込めて書きました。
──では、もう一曲の「Well okay」は?
AKIRA:うまくいかないときや何もしてない日って、ネガティブなことを考えすぎちゃうことってあると思うんですけど、「まあいっか」って笑い飛ばせたらいいなと思って書きました。
──言わば、“Everything is gonna be alright”みたいな感覚。
AKIRA:そうですね。曲調はミドルバラードで、ちょっとチルな感じなので、夕方とかに聴いてほしいなと思ってます。
──AKIRA TAKANOでめざしている音楽性を言葉にすると、どんな表現になりますか?
AKIRA:“ダンスミュージック”なのかなと思います。ヒップホップカルチャーにどっぷりというわけではなくて、ヒップホップのテイストを聴きやすく取り入れたダンスミュージックかなって。
──「Well okay」もメロウだけど、グルーヴがあって踊れる曲ですしね。
AKIRA:そうですね。テンポの速さは関係なくて。アップテンポで疾走感があるものだけがダンスミュージックではないという考え方なんです。なので、「Well okay」も自分の中ではダンスミュージックなんですよね。
──今年3月にリリースしたシングル「MIRROR」は、どんな方向をめざしたんですか?
AKIRA:「MIRROR」は、結構激しめにしたくて。このトラックは違う2曲を組み合わせてもらったんですよ。デモを聴いたときに、今の曲のイントロとヴァースが好きで、もう1つあったデモのサビ部分が気に入ったので、この2つを組み合わせられませんかとプロデューサーに伝えたんです。そこから歌詞の方向を考えて、鏡の中の自分と闘うというテーマで書き進めました。
──その「自分との闘い」というテーマは、どこから着想したんですか?
AKIRA:このテーマはワード先行というか。歌詞を書き始めたときに「イアー」という母音が欲しくて、頭の片隅にあった「ミラー」という言葉を使うことにしたんです。そこから「ミラー」をテーマにするなら何だろうと考えて、自分との闘いという方向に広げていきました。そもそも、それは常々思っていることなんですよ。自分の弱いところを見つけて、そこに向き合っていく、みたいな。それに自分に対してだったら強い言葉も吐けるので。
──確かに今回のヴァースはこれまでと筆致が違います。より攻撃的で荒々しく、それでいて内省的にもなっている。どんなことを意識して書いたんですか?
AKIRA:ラップはよりラップらしくというか、ヒップホップに寄せて作りたいなと思ったんです。これまでの自分とこれからの自分っていう、自分の本質を歌詞に落とし込んだ方がいいと思ったので、これまでよりも自分に正直に、“自分が書く意味のある歌詞”を意識して書きました。
──それは今のタイミングでやるべきだと思ったんですか?
AKIRA:そうですね。これまで高野洸名義でやっていた頃は、テーマや登場人物を決めて、頭の中で作った架空のストーリーを書いていた部分があって。でも、AKIRA TAKANOとしてアーティスト性をより深めていくなら、ヒップホップにある「自分の人生を語る」という部分は、ちゃんと挑戦していかなきゃならないなと思ったんです。ただ、自分はそれを語れるほど育ちが悪いわけではないので……。
──いやいや、育ちが悪くなくてもヒップホップはできますよ(笑)。
AKIRA:そうですよね(笑)。いわゆる“ワル”ではないですけど、いろんな活動をしてきているので、人とは違う歩みではあると思うんです。そういう自分なりの人生を音楽に落とし込めたら熱いなと思っているんです。
──これまでは物語性を重視したぶん、フィクション寄りで自分から少し距離のある表現になっていたということですよね。
AKIRA:そうなんですよ。そうすると、どんどん音楽が“作り物”になっていくというか。エンタメとして考えれば、それもひとつの形だとは思うんですけど。
──でも、改名を機に、これからはリアルな自分を出していく。自分の経験や価値観を反映した歌詞を書いていこうと。
AKIRA:そうです。
──たとえば「pinkcider」も、自分の経験がベースにあるんですか?
AKIRA:実体験そのままではないですけど、「自分がその状況だったらこうなるだろうな」っていう感覚で書いてます。一部、実際のエピソードも入れてますし。
──ラッパーの中には、実体験そのものを書く人もいれば、そこに脚色を加える人もいます。リアルとリアリティの違いでいうと、AKIRA TAKANOはリアリティ寄りに感じます。
AKIRA:そうですね。多少脚色はしています。ただ、歌っているのは自分なんだ、という意識は、これまで以上に強く持ってやっていきたいと思っています。「pinkcider」を歌っているのも自分ですし。
──聴き手にとっても、AKIRA TAKANOという人間が見えてくる作品にしていきたい。
AKIRA:そうです。自分の中では「MIRROR」がその一歩目になっている感覚があります。「P.O.I.」や「Well okay」でも意識はしていたんですけど、「MIRROR」は特に、歌詞に28歳っていう実年齢を入れたり、より明確にリアルな自分を出すことを意識したんです。
──「MIRROR」を聴いて、これまでのイメージとのギャップに戸惑うファンもいるかもしれません。
AKIRA:少しびっくりするかもしれないですね。自分の葛藤を書いていることに対しては、そこまで驚きはないと思うんですけど、歌詞の言葉遣いや曲調、リアルな気持ちを乗せているところには、ちょっと驚いてもらえるかなと思います。でも、僕は驚かせることが好きなので。これまでより自分の色が強く出ているAKIRA TAKANOに付いてきてほしいですし、「次はこういう曲じゃない?」という予想をいい意味で裏切り続けたい。
──リリックでも、さらに内面をさらけ出していこうと?
AKIRA:そうです。初めて聴いた人にも、自分のことがより伝わるように、自己紹介の濃さというか、深さを上げていきたいです。一曲聴いただけで「こういう人なんだ」とわかってもらえる機会を増やしていきたいですね。
──ここまでの4曲を経て、AKIRA TAKANOとしての“音楽のつくりかた”のようなものは見えてきましたか?
AKIRA:そうですね。プロデューサーから上がってくる曲が、いい曲だなと思えるものばかりですし、それをチームとして一緒に作っていけてる感じがすごくありがたくて、嬉しいです。今まではいろんな作曲家から送られてくるデモの中から、「これ」と選ばせてもらうことが多かったんですけど、今はトラックを作る段階から関わらせてもらっていて。
──トラックメーカーとはどのようなやりとりをするんですか?
AKIRA:自分から「こんな感じのトラックが欲しい」と伝えたり、リファレンスになる曲を送ったりもします。まずプロデューサーにテーマやイメージを伝えて、そこから提案をもらう形ですね。ライブのことを考えて「こういう曲があってもいいんじゃないか」といった意見が出ることもありますし。
──トラックメーカーとのやりとりもかなり密に?
AKIRA:そういうやりとり自体がすごく嬉しいんですよね。自分の考えやアイデアが作品に入っていくのが楽しい。「Well okay」も、歌詞とメロディで悩んでるときにキーを変えるプランもありかなと思って、サビを最初のデモから3〜4音くらい上げるっていう、結構大胆な提案をさせてもらったんです。そうやって、制作していく中で壁に当たったらすぐに相談できることが嬉しいし、次の日にはそれを反映したトラックが返ってくる。そのスピード感も含めて楽しいんですよね。
──今後、AKIRA TAKANOとしてどんなアーティストになっていきたいですか?
AKIRA:「P.O.I.」を書いたときに改めて思ったんですけど、やっぱり誰かのためになるのが一番いいなって。自分の曲が誰かの救いになれば嬉しいですし、「流していると心地いいよね」みたいな。味が濃すぎない、ゼリーみたいな曲を作っていけたらいいなと思ってます。
──ゼリー?(笑)
AKIRA:触ったときに柔らかい感じというか。
──空気に溶け込むような感じ?
AKIRA:そうですね。朝起きてすぐでも食べられるような感じ。それがゼリー(笑)。
──むしろヨーグルトでは?(笑)
AKIRA:捉え方は人それぞれですけど(笑)、ヨーグルトほどこってりしていなくて、すっきりしている感じ。聴きやすくて心地いい音楽っていう。そんなイメージですね。
──音楽活動で、今後挑戦してみたいことはありますか?
AKIRA:トラックメイクはいつかやりたいと思っています。始めたいと思ってソフトも買ってるんですけど、そこはまだ迷っているところですね。というのも、今やっているスタイルがしっくりきているし、まだ伸びしろもあると思っているので。この制作スタイルの中で、もっと成長していきたいし、自分のレベルを上げていきたいなって。
──今年7月22日で29歳になりましたが、30歳までに実現したいことは?
AKIRA:フェスに出たいし、音楽番組にも出たいですし、ヒット曲を作りたいですね。アンダーグラウンドでやっていくぜ!みたいなことじゃないし、ストリート志向でもないので、いわゆる王道のJ-POPとは違うかもしれないけど、たくさんの人に聴いてもらえる曲を作っていきたいです。
──広く知られる存在になりたいと。
AKIRA:そうです。俳優活動をきっかけに応援してくれている方だけでなく、アーティスト活動をきっかけに応援してくれる人を増やしていきたいです。「AKIRA TAKANOが好き」と思ってくれる人をもっと増やしていきたい。今もコンスタントに楽曲は作っているので、まずはAKIRA TAKANOとしてのアルバムの完成をめざしていきます。
インタビュー・文◎猪又 孝
▪️<AKIRA TAKANO LIVE TOUR 2026 MODE ON>アーカイブ放送
放送日時: 2026年8月14日(金)18時~
タイムシフト:2026年8月28日(金)23時59分まで視聴可能
視聴URL: https://live.nicovideo.jp/watch/lv351101610
※本番組はニコニコプレミアム会員(月額790円・税込)にご登録いただくことで、全編をご視聴いただけます。







