寺岡呼人、特集第三弾 新アルバム『LIVES』ロング・インタヴュー 後編
寺岡:去年の徒然道草かな? そこで自分の曲「潮騒」を歌った時に、友達が“あの曲、いいね”と言ってくれて。それでもう一回、"寺岡呼人のポップス"というものを出してみたくなったんです。ただ、いきなりは難しくて、ちょうどその頃にイベントで大江さんとご一緒させて頂いて、大江さんの最新アルバムに大学卒業したぐらいの設定の曲があって“それも普通に歌えちゃうんだ。年齢は関係ないんだな”と。ぜひそのテイストを書いてもらいたい。それで自分のポップスも取り戻せるんじゃないか。そう考えてお願いしました。
寺岡:そうですねぇ! 最初に弾き語りのMDを聴いた時に感動しました。全体的に短編小説のようで、サビが特にガーン! と来るとかじゃないけど、メロディがちゃんとあって。大人の部分もありつつ、ギルバート・オサリバンみたいな往年のポップスの要素もある。ポップス職人というかね。それを自分が歌うということもすごく良かった。これをきっかけにまたいろいろとご一緒したいですね。
寺岡:ふふふ! 半分WALKER(S) です(爆笑)。
寺岡:こういう曲を書けて歌える自分もちょっと嬉しかったというか。あと、僕、去年の年末に浜田省吾さんのライヴを名古屋で2日間追っかけしたんですよ。で、浜省さんの曲って“WOW WOW”が多いんです。はははは!
寺岡:だから“WOW WOW”ありきで(笑)。自分の曲でも“こういう曲がないなぁ”と思ったし。それにジュンスカを通ってきた自分が“今やるんだったら、どういう感じになるか”という意識もあった。それでね、小林君を呼んだら、もう譜面も見ずにやってくれて、しかも“WOW WOW”のコーラスが筋金入りでしたね(笑)。
寺岡:基の発想は昔からちょこちょこ書いてて。イメージは映画『ニュー・シネマ・パラダイス』のラスト・シーン。結局ね、人はひとりで死んでいくけど、それぞれにエンディングみたいなものがあるかなと。ただ、それが曲としてまとまるかどうかわからなくて、ようやくトライできました。バンドっぽいもの、メロディアスなもの、その両方を持ったアルバムの最後にふさわしい曲になったと思いますね。
寺岡:頑張りましたー。百点満点。最初にしてはね(笑)。一発目に「カメレオン」をやってうまくいって。ところが次の曲で挫折したんですよ。一曲に3日ぐらいかかっちゃった。でもミックス・ダウンって本当に山登りに近い。山を降りるとまた登りたくなる。やりたくて体がウズウズしてくるんですよ。
寺岡:結局、楽器のプレイも一緒なんですけど、自分の技量でできる精一杯の部分があって。でも足りない部分も含めて、それはそれで味というか。愛しいものがあるんですね。“ここは絶対にこれぐらいの音の量が欲しい”というのは、やっぱり自分にしかわからないところもあって、それが自由自在にできたことがデカい。それに理想だったんです。せっかく自分のスタジオもあるし、僕のひとつのスタイルになっていけたら。はい、これからもやりますよー。
寺岡:スタッフのほうから“テーマは命とか人生、歴史ですね”と言われて。“えっ、そうかな”と思いつつ、歌詞を見るとやたらそういう言葉が出てきてたんです。それを凝縮する言葉ということで『LIVES』。
寺岡:あっ、それにします(笑)。いやいや、逆を言うとね、曲自身にすごく満足できたから、取っかかりのあるタイトルであれば良かったんです。そしてひとことで言える言葉。
寺岡:そうですね。昔だったら、最初に“スタイルありき”でやってた。ソウル風とかロックンロール風とか。今は逆にまず言いたいことがあるスタイルなので、もろストーンズだろうが、ルー・リードだろうが、全く恥ずかしくない。それよりも寺岡呼人のソウルであり、寺岡呼人のロックンロールであるという、自分のスタイルがやっとでき上がったかなという感じはしてます。これを出せたことによって、すごくいろんな道が広がりました。後はライヴ! “バンドでのライヴが楽しーい!”という感じにしたい。それはね、ひとりで弾き語りをちゃんとやってきたからこそ、そういう気持ちになれてるんですよ。
寺岡:君達の居場所はここにある! うははは。でも共闘しようとかじゃない。結局、人間はひとりひとりの孤独の集団で、だからこそみんなワイワイやろうよみたいな。そこが男だなぁとも思うし。で、女の人は“しょうがないわねぇ”と思ってくれれば(笑)。
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