【1メガでお願いします!】特集~バンドの真骨頂をしかと見せ付けたツアー・ファイナル

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VIBRATE TWO FINTERS●ライヴレポート 2005年4月4日@下北沢SHELTER

VINRATE TWO FINGERS(以下、V2F)。とある名のあるバンドをやっていたメンバーがいると噂になっていたのでバンド名は知っていたが、まだシェルターに出ていなかったので噂が噂を呼んでいた(自分の中で)。そんな噂のバンドが4月4日、シェルターに初出演。しかもVIBRATE TWO FINGERSのツアー・ファイナル。リリース先はJET BOYSオノチンのレーベルで有名な(?)“JET PANDA”より。ツアー最終日ということでメンバーのテンションもさぞ上がっていることだろう。

月曜の夜だというのに押すな押すなの大入り。パンク・ロックに曜日は関係ないようだ。夜も更けて20:30、V2Fの登場だ。とりあえず見た目でやられた。CLASHでもあり、DAMMEDでもあり、PISTOLSも入っている。要するにパンクを体現しているのだが、ベースにいたっては横分けでメガネ、ベストを着用という確実に全員が時代錯誤しているよう。判りやすく言えば『時計仕掛けのオレンジ』だろう。

ギタリスト、ツジケン氏がスイッチを入れる。太いが高音もある独特な音だ。1曲目は「I BORG」、ギターから始まるスピード感のあるライヴ1曲目にふさわしいパンク・ナンバーだ。さすがはキャリアのあるメンバーが揃ったバンドだ、ステージングに箔が付いている。トリヤ氏(vo)のMC「ロンドン生まれの九州育ち、おフランスから帰ってきたVIBRATE TWO FINGERSです!!」という凄いMCで思わず仰け反り返った(笑)。

「French Bop」ではミドル・テンポなロックを聴かせ、「LIAR」ではベースのトット氏が煽る! ミドル・テンポ、ハイ・テンポな曲の織り交ぜ方など、客の煽り方がうまい。コミカルではあるが、確実にお笑いバンドではない。さすがはロンドン生まれ(笑)、パンキッシュながら九州男児の血がそうさせるのであろう、オールド九州なロックンロールの匂いが…。ただ古いだけでなくポップ、アイリッシュなどのパンクの明るいところが随所に見られる。

そして4曲目、テル氏(ドラム)から始まるナンバー…出た、「ろくでなし」! 越路吹雪(シャンソン)のパンク・カヴァー! これほどまでシャンソンを自分流でパンク・サウンドに変えてしまうバンドもいないであろう。「Rip off」「No Fun」と如何にもという曲名も全てがVIBRATE TWO FINGERSであった。THE DAMMEDがパンクだけでなくニュー・ウェイヴとして扱われる感覚に近いものがある。とにかくリズムがタイト、演奏が崩れない。あれだけ動き回って客を煽れば、否応なしに身体が反応するだろう。それがロック、それがパンク、それがVIBRATE TWO FINGERSの真骨頂だと思う。

「Rip off」の後のトリヤ氏MCは「アルバム『Can I vibrate』買ったか? まだ買ってないヤツは今日物販で売ってるから買っていってくれ! 盗んでもいいから聴いてみてくれ! あ、でも盗むのは○○レコードで!!」。おっと危ない、黄色い○○レコードなら盗んでもいいんですか?(笑) ちなみにこのMCの語尾は全て九州弁であった(笑)。

7曲目「Snatch」ときて、「ラスト! レシカボー!」。最後の曲は「Яu5i-ka-vΦr」。何語? どうやらロシア語らしい。めんたいロックじゃ飽き足らず、かなり北のほうまで遠征してきたのか? 韓国語やフランス語などで歌うパンクロック・バンドは見たことあったが、曲タイトルがロシア語なのは初めて。メンバーのアンテナが高い証拠だろう。

今までのキャリア、メンバー個々のキャラを含めた雑食のある音楽性。全てを混ぜ込み吐き出したVIBRATE TWO FINGERSの音楽。70年代パンク・リバイバルなバンドはこの日本にもゴマンといるとは思うが、VIBRATE TWO FINGERSは明らかにただのパンクではない。

文●西村仁志(下北沢SHELTER店長)
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