| ──エリック・サティの曲「ジムノペディ」がバンドの名前ですが、この名前を付けようと思ったのは?
小林:サティが好きで、彼の曲からつけたいなぁと思って。それで“ジムノペディ”っていうのがバンドの名前に合いそうだった。
ナオミ:サティなんか知らなくて、初めのうちは覚えられなくて、ライヴでも紙に“ジムノペディ”って書いて貼ってました。でも曲を聴いてみると“ああこれかぁ”って知ってましたけどね。
──ジムノペディの前はどんなことをやってたんですか?
小林:一人でデモテープ作ったり、他のバンドを手伝ったりとかくらいです。最初はバンドをやるんじゃなくて、デモテープだけ作っておいしい目に会おうかなと思っていたんですが(笑)、前のギタリストがライヴをやりたがって、それでメンバーを集めることにしました。一回ライヴをやってから“これ続けてもいいな”って思って、それで本格的にバンド活動をすることになったんです。
ナオミ:私はオリジナルで3ピースのバンドをやっていて、ベースを弾きながら歌ってました。インターネットでのメンバー募集を見て、ジムノペディに参加することになったんです。
──ナオミさんのヴォーカルは特徴的で唯一無二の存在だと思うのですが、ナオミさんの加入でバンドの音楽性は変わりましたか?
小林:2ndアルバムあたりから変わりましたね。1stの頃は“オレの作る曲どうよ”ってお客さんに向けて曲を作ってたんですが、彼女が加入してからは、“ナオミちゃんが気に入ればいいや”ってカンジで。メンバーが気に入ればなんとかなるって。
ナオミ:私はそこまで感じてなかったなぁ(笑)。自分の中で変わってきたのは、曲に左右されて自分が変わるんじゃなく、自分なりに歌えばジムノペディの色になるって分かってきたということかな。
小林:最初は他人行儀だったもんね。最初は曲に合わせようとしてたけど、次第にバンドの方がナオミちゃんに寄っていくというか、彼女に自然に歌ってもらえるようにしていった。だから、1stは曲によってキャラクターがコロコロ変わるけど、2nd以降はキャラクターは変わっても芯が通ってる感じがします。
ナオミ:前は、どんな風に歌えばいいのか訊いてたんですけど、最近では、歌に関しては何も言わせないみたいな(笑)。
──ナオミさんの歌い方やステージ・パフォーマンスからは演劇的な要素が感じられます。
ナオミ:演劇とかはやったことないんです。全部、ジムノペディに入ってから生まれたものです。
──昭和歌謡ポップと呼ばれがちですが、それについてはどう?
小林:4、5年前までは“歌謡”ってダサいことでしたよね。邦楽のロックバンドを歌謡ロックって言ってみたりして。僕はそれを逆手にとって使ったつもりなんですが、その頃には“歌謡”っていうのがオシャレなことになってて“あれ?”っていうカンジでしたね(笑)。だから、自分が先に使ってしまったんだけど、今は違和感がある。でも他の言い方が見つからないから我慢しようかなって。
ナオミ:私あまりジャンルとかって詳しくないんで、“歌謡なのかな”って思うんですが。でもそれがキッカケで手にとってもらえるなら。
小林:僕の中には“歌謡”というものの良さや美学があるんです。だから自分たちは、同じように呼ばれている他のバンドとは違うなって。それを分かってもらうには、ずっと作り続けて聴いてもらうしかないと思いますね。
取材・文●森本智
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