MTVの毎年恒例のクリスマス・イベント<MTV COOL CHRISTMAS2004>。今年は会場のスケール・アップとともに、ゲスト・ミュージシャンもヴァージョン・アップ。カニエ・ウエスト、ケミストリー、ブルーという豪華なラインアップで開催され、この日ブルーは、イベントの大トリを、ゴージャスかつにぎやかに務め上げた。
イベント終盤、VJのアナウンスによって、いよいよブルーのショーへ。「彼らの生パフォーマンスも、この日でしばらく見納め……」と、しみじみする間もなく、メンバーが登場。しかも、“ブルーご一行様”とも言えるカジュアルな登場で、ステージに姿を現わすなり詰めかけたオーディエンスを、アオって、アオって、アオりまくり。「とりあえず口説いておく」的な持ち前のプレイボーイっぷりに、オーディエンスは熱狂! そんな騒然とした雰囲気の中、いよいよパフォーマンスがスタートした。
オープニングを飾ったのは、アルバム『ベスト・オブ・ブルー』からのリード・シングル「カーテン・フォールズ」。彼らが愛してやまないスティーヴィー・ワンダーの名曲「楽園の彼方へ」をベースにサンプリングしたドラマティックなこの曲には、デビューからの4人の思いや、活動休止を前に控えた心境、ファンへのメッセージがちりばめられている。登場した時はフワフワしていたリーも、いつのまにか熱唱モード。サビでは四重のハーモニーを響かせ、楽曲のドラマ度を最大限に表現していた。途中には、サイモンとダンカンがステージ上でハイタッチする一幕も。
続いては、デビュー・アルバムから「イフ・ユー・カム・バック」を。うごめく照明の下で歌われた初期ブルーを代表するミディアム・チューンは、4人のコーラスワークがフルに発揮されるナンバーだ。その後「次の曲は日本のみんなに歌いたい」というダンカンのアナウンスにより始まったのは「ザ・ギフト」。途中、サイモンがアドリブを入れると、リーもアドリブで応戦。その傍らでは、アントニーが軽快なステップを踏んでいる。歌い終えると、リーが「一緒に歌ってほしい曲があるんだ」と告げ、いきなり高音を響かせる。聴けばそれは、「ブリーズ・イージー」のサビのワンフレーズ。シリアスめな歌を、なぜかピョンピョンと跳びはねながら歌っているリーを見て、傍らにいるサイモンも大ウケ。しかし、曲が進むにつれて、リーの歌声は力を増し、サビではパワー・ヴォイスで圧倒。自身の身に巻き起こった苦痛を癒すかのようにしてリーが作り上げたというこの曲に宿るシリアスな思いが、彼らの歌を通じてひしひしと伝わってきた。
計4曲を歌い終え、おそらくこれで、パフォーマンスは終了……と思っていたら、いきなりサイモンが一人でハミングするかのように何かを口ずさみはじめた。そしてサウンドのない中で、メンバーが歌声を重ねていき……歌われたのは、「ロング・タイム」の一節。1stアルバム『オール・ライズ』に収録されているナンバーで、会場に詰めかけたファンも大感激。そして、そのまま「ワン・ラヴ」の予告ハミング。4人が雰囲気たっぷりにコーラスを響かせると、そこにサウンドが加わり、サビではステージの上も下も振り付きで「ワン・ラヴ」を熱唱。この場がイベント会場であることを忘れてしまうようなゴキゲンなショーを展開してくれた。
もちろん、続くトークのコーナーでも、メンバーのポップなキャラクターが爆発。トーク終了後、VJたちがイベントの終演を告げる間にも、「ワン・ラヴ」「ユー・メイク・ミー・ワナ」をハモり……といった具合に、おなじみのナンバーを歌い倒して、フェイドアウトしていった。しかも、「ワン・ラヴ」を口ずさみながら。
イベントの模様がどこまでオン・エアされたのかは定かではないが、この日のブルーを見た人は実感するはずだ。「ここまでパーティの似合うバンドもそうはいるまい」と。
取材・文●菊池陽子 photo/MTV JAPAN
<MTV COOL CHRISTMAS 2004> 2004/12/4@東京ベイNKホール SET LIST 1. Curtain Falls 2. If You Come Back 3. The Gift 4. Breathe Easy 5. One Love |
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