
――今回のソロは、キリトくんにとって、新しいドアが開いた転機だったと思うんですけれど、これまでにもいろいろと転機はあったと
思うんですよ。まずはバンドを始めるずっと前のことをふりかえってもらって……。
キリト:僕、記憶力ないけど、いい?(笑)
――だいじょうぶです。ちなみに小学生の頃はどんな少年でしたか?
キリト:やー、普通だったと思うけどね。ま、どこにでもいるような子供でしたね
――ガキ大将だったとか。
キリト:ガキ大将ではないんですよね。うーん、ただ昔からよく協調性がないっていう
ことは言われてましたね。そういうことは毎年、毎年、通知表に(笑)
――先生がひとこと書き込む欄に。
キリト:そう、そう。それは確か小学校1年生から6年生まで毎回のように(笑)。子
供だから、最初はその“協調性”っていう言葉がどういう意味かわからなかったんだけど、5年生ぐらいから“あ、そういうことなのか”っていうのがやっとわかったぐら
い、ずーっと、その3文字が頭の中にあって
――(苦笑)はい、はい。わかるなぁ。
キリト:“自分には協調性がないんだ”っていうのをずっと言い聞かせてたような気が
――呪文のようにね。じゃあ、集団行動が苦手だったわけでしょう? 自分も幼稚園の頃からダメで、みんなが公園に行ってるのも知ら
ないで、階段の上でひとりでボーッとしているような子供だったんですが。
キリト:ああ、そのノリに近いかも(笑)。とにかく集団行動がイヤで、それは今でも
そうなんだけど、何かをやるって決められたことがあったとしても、それに沿って動くことができなかった……らしい。学校に朝行って、チャイムが鳴って、ホームルーム
だっけ? そういうのが始まるでしょ? チャイムも俺にとっては関係なかったっていうか
――学校には来てるんでしょ?
キリト:学校には遅刻しないで行くんだけど、亀を持って行ってたんですよ。緑亀を
――どうやって、亀を学校に?
キリト:ポケット……(笑)
――(笑)ポケットって、なんか落としそうで怖いんですけど。
キリト:うん。家では水槽に入れて飼ってたんだけど、大丈夫なんですよ。亀は両生類
ですからね。別にどうとでもなるというか。だから、学校に行くときはポケットの中に入れておいて、着いたら紙コップの中に水を入れて、机に置いておくの(笑)
――じゃあ、キリトくんの机の上には、いつも緑亀が一緒に。
キリト:机の上じゃないかな。教科書とか入れる机の中だったかな。ま、とにかく、い
つも亀を持ち歩いていたので、階段の踊り場のところで歩かせてたりとか、屋上に放してみたりとか、そういうことしてたから、チャイムが鳴ってもあまり関係なくて、怒
られたり
――先生にね。
キリト:あと、遅刻はしなかったけど、途中で帰ることはよくありましたね。3時間目
の終わりに帰ったりとか
――っていうと、お昼休みの前に。
キリト:そう。いつ帰るかっていう時間はバラバラだけど、自分のその日の感覚で生活
してたっていうか。そういうところが協調性がないっていう……
――そうでしょうね。亀はいつも一緒にいたかったから、持って行ってたんでしょう?
キリト:(笑)そのときはそうだったと思う。でも、そんなのは小学校3?4年生のと
きまでで、別にずーっと亀と遊んでたわけではない(笑)。とにかく、束縛されるのがイヤだったから、授業をすっぽかしたりとか、全校朝礼みたいなものも出なかったし
、自由気ままにやってましたね
――雑誌『Neo genesis Autumn,2005』インタヴュー記事より抜粋。――
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