PJ ハーヴェイがニューヨークをテーマにした新アルバムについての葛藤を語る

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PJ Harveyは最新アルバム『Stories From The City, Stories From The Sea』を従えての北米ツアーを先日終えたばかりだが、同時多発テロ事件後のステージ再開は、彼女に複雑な思いをもたらした。高い評価を得ている最新アルバムに収録されている歌詞の多くは、ニューヨークのイメージに根差したもので、Harveyは、9月11日以降に初めてこれらの曲を歌ったときに、これらの歌詞が新たなインパクトを持ち始めたことに気づかされた。

例えば、アルバムの1曲目に収録されている“Big Exit”にはこんな歌詞がある。“I walk on concrete/I walk on sand/But I can't find/A safe place to stand/I'm scared baby/I wanna run/This world's crazy/Gimme' the gun(コンクリートの上を歩く/砂の上を歩く/でも見つからないの/留まっていられる安全な場所が/恐いのよ、ベイビー/走り出してしまいたい/この世界は狂ってる/銃をちょうだい)”。また、“This Mess We're In”ではRadioheadのThom YorkeがHarveyの書いた歌詞を歌っている。“Can You hear them?/The helicopters?/I'm in New York/No need for words now(聞こえるかい?/ヘリコプター?/僕はニューヨークにいる/言葉はもう必要ない)”。そしてゾッとするタイトルの“Kamikaze”(神風)はこうだ。“Beyond all reason/Beyond all my hopes/The call of duty/Another war zone(まったく理解もできず/すべての望みもむなしく/任務命令がくる/次の戦場へと)”。

HarveyはLAUNCHにこう語る。
「事件後の初めてのショウで、みんなが“なんてことだ。全部の歌詞が突然、新たに重要な意味を持ち始めてしまった”って言い出したの。まったくそのとおりだわ。何年も前に書いた曲でさえそうなの。だけど、特にニューヨークにいたときやアメリカ滞在中に書いた曲はそう。ニューヨークの特定の場所を思い起こさせるような名称や地名の入っているような曲は当然だしね」

Harveyはこれらの曲を演奏しないことも考えたが、すぐに別の考え方をするようになったという。
「まあ、これらの曲を本当に演っていていいものかどうか、しばらく真剣に考えたわ。その結果、演るほうを選んだの。なぜなら、ある意味でこういう感情を訴え続けることはすごく大切なことだと思うの。それに、これらの曲で描かれている場所は、私にとっても、その地域の人たちにとっても、今でもすごく大事なことに変わりはないと思うから」

Harveyはアルバム『Stories From The City, Stories From The Sea』で、英国の音楽賞である'01年度“Mercury Music Prize”を9月初旬に受賞したばかりだ。この賞は英国内でも最も栄誉ある賞とされている。

Neal Weiss, Los Angeles LAUNCH.com
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