テクノロジーがあふれる音の田園風景

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テクノロジーがあふれる音の田園風景
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バンドはステージとスタジオ両方に優れていることを証明した

2nd ALBUM

The Sophtware Slump
V2 Records V2CI-78
2,400(税別)

2000年5月17日発売

1 HE'S SIMPLE,HE'S DUMB,HE'S THE PILOT
2 JED THE HUMANOID
3 THE CRYSTAL LAKE
4 CHARTSENGRAFS
5 UNDERNEATH THE WEEPING WILLOW
6 BROKEN HOUSEHOLD APPLIANCE
 NATIONAL FOREST
7 JED'S OTHER POEM(BEAUTIFUL GROUND)
8 E.KNIEVEL INTERLUDE
  (THE PERILS OF KEEPING IT REAL)
9 MINER AT THE DIAL-A-VIEW
10 SO YOU'LL AIM TOWARD THE SKY
11 OUR DYING BRAINS
12 FIRST MOVEMENT / MESSAGE SENT
13 HEWLETTE'S DAUGHTER

ここ2年ほど巨大な玉石の下敷きになっていた人でなければ、おそらくGrandaddyの『The Sophtware Slump』が批評家たちの絶賛を浴びているという噂を1度は聞いたことがあるだろう。彼らの評判はアルバムのリリース以来、少しずつではあるが着実に広まり、今ではかなりの騒ぎになっている。Grandaddyは熱心なファン層を喜ばせる曲作りを、決まりきったアプローチや使い古しの薄っぺらいリフに頼ることなく成功させている数少ないタイプのバンドだ。彼ら独特のインディ・フォーク・ソフト・ロックは、1stアルバム『Under The Western Freeway』でも、すでにそれがメインストリームに属するものではないということを陽気に物語っていた。

『Sophtware』のプロモーションのためにL.A.を訪れるのは、この14カ月で3度めとなるGrandaddyだが、今回彼らはTroubadourのステージで、過去1年の間にさまざまなベルやホイッスルを取り入れるまでに進化したライヴを披露した。バンドの後方に設置された巨大スクリーン上ではビデオ映像が背景を彩るように明滅し、古典映画やドキュメンタリー・フィルム、それにGrandaddyの故郷であるカリフォルニア州モデストの風景などを交えながら、演奏曲を1つひとつイメージ映像で紹介していく。くるくる回る風車と黄金色の芝が広がるフィールドは、Grandaddyのやわらかく軽やかに揺れる音楽に似つかわしい賛辞を送っているかのようだ。それは“ロック”というよりはむしろ“ロール”しているサウンドだ。

このバンドの曲はどれも、幾層もの音からなるゴージャスで幻想的なナンバーばかりである。フロントマン、Jason Lyteのクリアでハイトーンなヴォーカルがキーボード、ギター、ベースの上に優雅に重ねられていく。『Sophtware』のテーマである“人間vs自然”を忠実に再現したステージで、Grandaddyはテクノロジーに対する恐怖心をスマートに、しかし愛情を込めて伝える。サンプラーとギターには木の葉や花がちりばめられ、時おりコンピュータ・アニメーションの動物がモデストの田園風景の中を元気一杯に走り回っていた。

Grandaddyの素朴で静かなグルーヴは必ずしもライヴ演奏に適した音楽とは言えないが、ここTroubadourでの彼らは、不思議とその裏庭のような穏やかさを、ある種の瞑想的な美しさへと変化させることに成功していた。Lyteも他のメンバーたちも、ステージ上でオーディエンスを冷やかしたりするようなことはほとんどなく(直接視線を合わせることすらしなかった)、それは完全な集中のしるしというよりも、むしろカリスマ性のなさを補うように映る。演奏中のメンバーたちは、まさに一心不乱の状態。あまりに集中しすぎて痛々しく思えるほどだ。

冒頭でサウンドのトラブルはあったものの、Grandaddyはすべての曲(大部分は『Sophtware』の収録曲で、あとは『Western Freeway』から数曲とGeorge Jonesのファンタスティックなカヴァーが1曲)をほぼ完璧に近いレベルにまでまとめ上げた。中には、“崇高”とも呼べる何かをオーディエンスが体感できた瞬間――“He's Simple, He's Dumb, He's The Pilot”という壮大な叙事詩に始まり、メランコリックな哀歌“Jed's Other Poem”“Underneath The Weeping Willow”の間中ずっと――さえあったほどである。

Grandaddyが今のシーンにおける最強の新人バンドのひとつだということは、喜ばしい事実だ。しかも、同時に彼らが最高のライヴバンドのひとつであるのは、奇跡に近いことと言えるだろう。ステージとスタジオの両方で発揮できる才能に恵まれるなんて、そうしばしばあることではない。しかし、ここTroubadourで、Grandaddyはいずれにおいても非常に優れていることを証明してみせたのである。

By Jessica Hundley/LAUNCH.com

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