【対談インタビュー】竹内勝哉 × Qaijff「ロックやポップス、インストミュージックが好きな人にも届いてほしい」

ポスト

ジャズからロックまでをクロスオーバーする現代型ギタリスト・竹内勝哉の1stアルバム『Yoi/宵』(2023年12月に配信)が、全国のタワーレコード、タワーレコードオンライン限定でCDリリースされた。

今回は『Yoi/宵』のCD化を記念した対談取材を実施。竹内勝哉と同じく愛知出身で、制作やライブを共に行なうなど普段から交流が深い、Qaijffの森彩乃(Vo, Pf, Syn)と内田旭彦(B, Cho, Syn)を迎え、リラックスムードの中、アルバムの聴きどころはもちろん、お互いの出会い、シンパシーを感じる部分などについても大いに語り合ってもらった。第1弾として実施した初のソロインタビューと合わせて楽しんでほしい。

   ◆   ◆   ◆


◼️テクニックや知識、理論が備わっていつつ、僕らが持っていないものを持っているギタリスト

──この3人での取材は初めてですよね?

竹内:はい。なんだか不思議な感じです(笑)。

森:普段はQaijffの活動をサポートしてもらうことが多いんですけど、かっちゃん(竹内)がソロアルバムを作って、まさか私たちが呼ばれる側になるとは……!

内田:面白いよね。僕らがちょっと年上で先輩に見られるけど、キャリアは意外と変わらないんじゃないかな。

竹内:どうなんだろう。僕は高1の頃からBob is Sick(竹内が所属していたギターロックバンド/2016年7月に活動終了)としてライブをやっていました。



森:私はバンドを始めたの、もっと遅いもん。逆にかっちゃんのほうが先輩なんじゃない?

内田:ほぼ同期と言っていいのかも(笑)。

竹内:いやいやいや、恐れ多いです!

森:私たちからすれば、地元がいっしょのバンド仲間っていう感覚だよ。


──まずは、お互いの出会いについて聞かせてください。

竹内:初めて会ったのは、かなり前ですよね?

内田:2012年か2013年だと思うよ。Qaijffを結成してわりとすぐの頃に、地元のライブハウスでいっしょになった感じで。

森:対バンしたんだっけ?

竹内:うーん……森さんが裸足でライブをしていたのは覚えてます。

森:Qaijff初期の頃はそうだったね、私(笑)。サーキットイベントで知り合ったような気もするし、ちょっと思い出せないな〜! 記憶が曖昧。

内田:Bob is Sickとの関係性で言うと、むしろ他のメンバーのほうがよく話してたんだよ。かっちゃんはすごくクールなイメージがあったので。

竹内:本当に挨拶する程度でしたね。当時は変拍子のインストとかが流行っていて、僕もテクニカルなギターばかり練習していたから、Qaijffはそういう演奏が上手いバンドみたいに見てたかな。難しいことをサラッとやっていた印象があります。



──仲良くなったきっかけというのは?

内田:アイドルグループのベイビーレイズJAPANに、僕らが「ノンフィクションストーリー」(2015年4月発表のシングル「栄光サンライズ」に収録)という曲を提供させてもらう機会があったんです。そこでギタリストが必要だったんだよね?

森:そうそう。まだ親しいわけじゃなかったんですけど、「名古屋のバンドマンでカッコいいギタリストといえば、かっちゃんじゃない?」という感じで声をかけました。あ、その頃はまだ「竹内くん」って呼んでいたと思います(笑)。

竹内:名古屋のCLUB ROCK'N'ROLLでライブをしたときかな。内田さんが観に来てくれたんですよ。

内田:あーっ! 観に行ったね。ライブのあと、かっちゃんに直接オファーしたんだった。

森:で、いざ制作の現場で話してみたら、見た目のクールな感じとはぜんぜん違って面白かったんです。想像よりずっとしゃべる人だった!

竹内:あははは(笑)。

内田:だいぶ打ち解けられたよね。その感触が良かったので、Qaijffの曲やライブにもギターで参加してもらうようになったり。今や、多いときは週1以上会うこともあります。

森:Qaijffでは「snow traveler」(2016年12月発表の1st EPのタイトル曲)が初めてで、カップリングの「good morning」でも弾いてもらったね。いちばん新しいのは、2023年の「たぎってしかたないわ」か。



竹内:「snow traveler」は、Bob is Sickの活動がちょうど終わったあとで。そういう時期にギタリストとして必要だと思ってもらえたのが素直に嬉しかったですね。


──森さんと内田さんが、竹内さんを何度も誘いたくなる理由って具体的にどんなところでしょう?

内田:テクニックや知識、理論が備わっていつつ、僕らが持っていないものを持っているギタリストなんです。それはやっぱり、ジャズをルーツとした音楽が表現できる点。自分たちの曲に新しいフレーバーを加えてもらえる、「かっちゃんのギターが入ったらどうなるんだろう?」というワクワクが何より大きいですね。

竹内:おお〜、ありがとうございます!

内田:かっちゃんの場合、ジャズだけじゃなく、メタルのアプローチができたりもするじゃん。

竹内:メタルのアドリブが好きだったところから、ジャズに惹かれるようになったので。一時期は速弾きばかり練習してたんです(笑)。

内田:その極端な音楽性が面白いんだよね。もちろんポップス的なギターも弾けるんだけど、独特の旨みを足してくれる調味料みたいな魅力がすごくあるよね。

森:いわゆるギターロックバンドに所属していたけど、かっちゃんは他のギタリストとはなんか違うなと思ってたよ。改めてルーツを聞いたら、メタル好きなのが判明したり。「でも、今はジャズに興味がある」と話してて、「そういうことだったんだ!」と腑に落ちた感じでさ。あと、アレンジの相談ができるのも助かるんです。「ピアノがこう押さえたときって、ギターとの兼ね合いはどう考えればいいの?」みたいな質問にちゃんと答えてもらえるから。

竹内:こうやって褒めてくださるんですけど、Qaijffもすごいんですよ。「snow traveler」のレコーディングで僕は衝撃を受けましたから、みなさんのストイックさに。



森:あっはははは(笑)! 東京のスタジオで1泊2日で録ったときか。確かにスケジュール感はヤバかった気がする。

竹内:曲がとても素敵で、作業が楽しかったのも印象的でした。ただ、それ以上になんていうか。内田さんの運転する車で東京へ行って、すぐレコーディングに入って、メンバーがずーっと根詰めてやっている感じがすごかった。

内田:必死だったんだろうな(笑)。

竹内:ホテルに泊まっている夜中も、隣の内田さんの部屋から音が聴こえてくるんですよ。歌詞をギリギリまで悩んでいたので、たぶん歌いながら考えてたのかなと思うんですけど。

内田:えーっ、そんなの聴こえてたんだ……!

竹内:びっくりしました。朝イチで名古屋から東京まで運転して、ほぼ一日中レコーディングしていたにもかかわらず、深夜にまだ寝てなかったのは。それを聴いたら、僕も「もうちょっとがんばろう!」となって。

森:触発されたんだね!

竹内:ギターのフレーズを練り直しました(笑)。翌日もそのまま突き進んでて「いつ寝たんだ?」みたいな内田さんを筆頭に、全員がストイックだったのを目の当たりにして、変拍子系の上手いバンドという最初の解釈が変わったんです。大きなリスペクトが生まれた感じ。


──いろいろな面で認め合える間柄なんですね。

竹内:人間的にも話しやすくて、この2人のバランスが好きなんです。ソロで活動する中、ふとしたタイミングで迷うこともある自分に対して、内田さんは「こういうのはどう?」とアイデアをどんどん出してくれる人。それでも僕が悩んでたら、森さんは別の角度からフォローしてくれる人で、何かとすごく助けてもらってます。

森:その感じはあるかもね。今回のソロアルバムに関しても。

竹内:いっぱい相談させてもらいました。物事が行き詰まってくると、内田さんに電話しますね。僕にとって、メンター的な存在です。

内田:BARKSさんでのインタビューにしても、そんな流れから実現したよね。

竹内:気持ちに薪を焚べてくれるので、また火を燃やしてストイックになれることが多いなと感じてます。

内田:Qaijffとは違うベクトルのストイックさを、かっちゃんは持ってるんです。良い意味でこんなにクセのある、個性の強いミュージシャンは周りにいないから。ギターの突き詰め方なんかを見ていると、「自分たちもがんばらなきゃな!」と思わされますね。


──サッカーが好きなところでも通じ合えるんじゃないですか?

内田:そこも間違いなくあります。お互いに名古屋グランパスの熱心なファミリーなので。地元の公園に行って、サッカーボールを蹴ったこともあったよね?

竹内:行きましたね。懐かしいなー!

◆インタビュー(2)へ
この記事をポスト

この記事の関連情報