【インタビュー】ツルシマアンナって? アニメ『夜のクラゲは泳げない』ED主題歌でデビューした歌い手のパーソナルに迫る

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「歌ってみた」の投稿を中心に活動していたシンガーのツルシマアンナが、1stデジタルシングル「1日は25時間。」をもってこの春より本格的にアーティスト活動をスタートさせる。

◆「1日は25時間。」MV

40mPが作詞作編曲を手掛けた本作は、TVアニメ『夜のクラゲは泳げない』(以下、ヨルクラ)の書き下ろしエンディング主題歌。やりたいことがたくさんあって1日が24時間では全然足りないという気持ちが込められたピュアなポップソングを、ツルシマが等身大のキュートさ溢れるボーカルで彩る。「1日は25時間。」の歌詞や『ヨルクラ』に共感するという彼女は、一体どんな人物なのだろうか。音楽との出会いや活動への向き合い方を紐解いていった。

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◼️留学先でニコニコ動画と出会い……

──ツルシマさんが音楽に興味を持ち始めたのはいつ頃ですか?

ツルシマアンナ:ずっと部活とバイトのためだけに生きてきた、みたいな生活だったので音楽に興味を持ったのは活動を開始するのと同時ぐらいかもしれない……。

──そうだったんですか。ちなみに部活は何を?

ツルシマアンナ:中学で陸上をやってました。主にリレーと走り高跳びをしてたので、短距離種目です。

──ツルシマさんがご自身の首から下を映した調理中の動画をSNSで観て、引き締まった腹筋に感心したので、陸上競技経験者は腑に落ちました。

ツルシマアンナ:あははは、ありがとうございます。でも中学で引退したタイミングで「もう陸上はいいかな。めちゃくちゃ頑張ったしやりきったな」と思って(笑)、高校では友達と遊ぶお金が欲しくてひたすらバイトしてました。流行っている音楽を聴いたりはしてたんですけど、特に自分から曲をあさったり、1日中音楽聴くとか、そういうことは特になかったんです。

──そんな女子高生が、なぜ歌い手として活動を始めるようになったのでしょうか。

ツルシマアンナ:高校の時に英語に興味が出て来て、オーストラリアに交換留学に行ったんですけど、15時に学校が終わった後にほんとやることがなかったんです。それで当時好きだったモデルさんの出ていたニコニコ生放送を観るためにニコニコ動画のアプリを入れて。暇だったからその後もいろいろニコニコ動画を観あさったんですよね。

──そこで「歌ってみた」とVOCALOIDに出会うと。

ツルシマアンナ:VOCALOID曲は流行りに左右されていなくて、曲を聴いただけで「あの人の歌だ」と分かるぐらいにボカロPさんの個性が出ているものが多いなと思って。J-POPとは全然違うニコニコ動画らしい作風とか、人間が簡単に歌えないことが前提となって作られた曲調にハマりました。それを歌いこなせる女性歌い手さんたちに憧れたんですよね。皆さん歌が上手くて、大きい会場でライブをしていて……。それで「歌い手ってどうしたらできるんだろう?」と調べてみたら、機材さえあれば誰でもできると知って。自分も目指そうと思えば目指せるのかもと思って、帰国後すぐ機材を揃えて投稿を始めたんです。

──留学先でのニコニコ動画の出会いが、人生を一変させたんですね。

ツルシマアンナ:ほんとガラッと変わりましたね。留学先で放課後にやることがあったら「歌ってみた」までたどり着いてないかもしれない。ニコニコ動画にハマったタイミングでアニメにもハマって、突然インドアになりました。それまでの生活と180度違うけど、絶対に今のほうが自分の性に合ってるなって感じです。だから留学先が暇で本当に良かったです。でも最初のうちは「歌ってみた」の活動もただやりたいからやっている感じで、なんのヴィジョンとかもなかったですね。



──お話を聞いていると、陸上、アルバイト、留学、歌い手活動すべてにおいて、興味を持ったり「やりたい」と思ったら即行動しているなと感じました。

ツルシマアンナ:ああ、そうなのかな……?(笑) 確かにピンときたらすぐポンって飛び込んじゃうタイプではあるかもしれないですね。

──そしてツルシマさんは2017年からカバー楽曲を投稿するようになりますが、選曲基準はありましたか?

ツルシマアンナ:本当に気に入って何回も聴いちゃう曲とか、好きな曲しか歌ってこなかったです。特に最初のうちは数字のことはあまり気にしてなかったので、カラオケで曲を選ぶ感じで、これ好きだなと思ったらそれを歌ってました。わたしは歌詞で好きな曲を選ぶ傾向があるので、それが選曲につながっていたかもしれないです。この言い方が合っているかはわからないんですけど、ちょっと落ち込んでいたり、元気がなかったり悩んでたり……ちょっと闇を抱えた人に寄り添った歌詞が好きで。

──確かにツルシマさんの投稿しているカバー曲は、心の痛みを歌っているものが多い印象があります。ツルシマさんが注目を集めるきっかけになった「だれかの心臓になれたなら」もそういう曲だと思います。

ツルシマアンナ:わたしは聴いてくれた人の声がモチベーションになっていて。ファンの声や動画のコメントはもちろん見るし、エゴサーチもめっちゃするんですよ。エゴサで傷つくこともありますけど、うれしくなるときのほうが断然多いので、そっちを大事にするようにしてますね。嫌なコメントでへこんだら、うれしいコメントを何度も読み返してます。



──確かについつい悪いコメントばかりにとらわれてしまいがちですが、ポジティブなコメントをしてくれる人のほうが断然多いのに、それはもったいないですよね。

ツルシマアンナ:本当にそうですね。わたしは天真爛漫な感じに思われるし、そういう人間だけど、傷つかないわけではないし。だからカバーしている曲は自分も歌っていて励まされるし、そういう曲を歌っていると「元気出ました」「救われました」というコメントをいっぱいいただくので、それが本当にうれしいからわたしも歌で返したいんです。「だれかの心臓になれたなら」は初めてあれだけたくさんの人に聴いてもらえたので、びっくりしたけどすごくうれしくて。そこから「もっと聴いてほしい」「もっと歌おう」とどんどん活動にハマっていきました。

──ですが2020年と2021年の投稿頻度が低めですよね。これは何か特別な理由があるんでしょうか……?

ツルシマアンナ:コロナ禍の影響です(笑)。それまで1、2ヶ月に1回は絶対ライブに出ていたのが、2020年に入って一気にいろいろ止まった……という本当にそれだけです、きっと(笑)。

──わかりました(笑)。そして2024年、ツルシマさんはTVアニメ『夜のクラゲは泳げない』のエンディング主題歌「1日は25時間。」でデビューを果たすということですね。

ツルシマアンナ:ニコニコ動画にハマったタイミングでアニメにもハマって大好きになったので、アニソンを歌えることがもう感激ですね。アニメって持て余した時間を埋めてくれるし気を張らずに観てられるけど、だらだら暇つぶしをしちゃったとは感じさせない充実感があるなと思っていて。なかでも『ヨルクラ』はクリエイター活動をしている女の子たちの話なので、活動していく上での葛藤とか、ちょっとした一言で傷ついて何もできなくなっちゃうシーンを観ると、うまく歌えなかったり批判されたり、頑張っても数字が伸びなくて「向いてないのかな」と思って落ち込んだりした昔のわたしを見てるみたいで。共感するし面白いですね。



──登場人物がインターネットでの活動を周りの友達に言えないというのもリアルですよね。ツルシマさんはご友人に活動のことを話していますか?

ツルシマアンナ:一切話してないです。わたし自身は現実世界でもツルシマアンナでもまったく同じ人間性なんですけど、まったく別のふたつの場所で生きている感覚で。わたしの現実世界の友達はニコニコ動画とかボカロとか知らないでしょうし、今でこそAdoさんをぎりぎり知ってるくらいなんじゃないかな。でも歌い手のことはわかってないかも。それこそわたしが活動を始めた頃なんて友達は誰もネットの文化は知らなかっただろうし、今も分かってもらえないだろうから隠してます。自分から言うことは絶対にないと思う。でもいつか「もしかしてツルシマアンナなの?」と気づかれたらうれしいですね(笑)。

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