【インタビュー 後編】Devil ANTHEM.、結成10周年と活動休止の本音を語る「今をより大切にできるようになった」

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“沸ける正統派アイドル”をコンセプトに2014年より活動を開始し、2023年5月にはシングル「ar」でメジャーデビューも果たした5人組のアイドルグループがDevil ANTHEM.だ。2024年は結成10周年というアニバーサリーイヤーとなるわけだが、同時に、12月27日に行われるTOKYO DOME CITY HALLでのワンマンライブをもってグループとしての活動を休止するという発表もされている。

◆Devil ANTHEM. 動画 / 画像

活動休止期間も、その後の体制についても全て未定ということだが、メンバーそれぞれが自分自身のことや将来のこと、そしてDevil ANTHEM.という存在意義を見つめ直すために一度立ち止まるという決断がなされたそうだ。

今回のインタビューでは、まず前編で2月にリリースされたメジャー1stアルバム『Blue Youth』の制作を通してそれぞれが感じてきたグループの変化や進化についてをフィーチャー。後編では楽曲の解釈やレコーディングのエピソードを伺い、活動休止に対する現在の思いなども語ってもらった。


▲メジャー1stアルバム『Blue Youth』

   ◆   ◆   ◆

■マンネリ化しないのはデビアンの強み
■常に向上心があるこの感じが良さだと思う


──Devil ANTHEM.のメジャー1stアルバム『Blue Youth』にはバラエティーに富んだ楽曲が収録されています。上田剛士(AA=)さんが「GOD BLESS YOU!!」のプロデュースを務めたほか、「好きだ!」はタレントの益若つばささんが作詞をされているんですよね。

水野:はい。この曲は何度も“好きだ”というフレーズが出て来るんですが、たとえば“好きだ!” “好きだ…” “好きだっ” “好きだ!!?!”みたいな感じで、同じ言葉を連呼していてもそのニュアンスがひとつずつ違ったりするんですね。歌詞を見ているだけでもいろんな表情が浮かぶから面白いと思うし、聴くともっと楽しい曲でもあります。“好きだ”って、なんだか呪文みたいに出てきますけど(笑)。


──呪文(笑)。でも、男女問わずめちゃくちゃ共感できそうな歌詞ですよね。

竹越:すごく可愛い歌詞ですよね。しかもこの曲、インストで聴くのと歌詞ありで聴くのとでは、ちょっとイメージが変わる気がするんですよ。歌詞が入ると今の私たちくらいの“恋愛キャピキャピソング”って感じがするんですけど、インストだと、令和というよりちょっと平成チックだなと思ったんですよね。私たちが小学生の頃とかにめちゃくちゃ流行ってた曲の雰囲気もあるというか、ちょっと懐かしい感じがするなっていう新しい発見もありました。

竹本:高校生の子たちがバンドでやってそうな感じですよね。マンガの『NANA』とかに出てきそうな感じというか。平成のガールズバンドを題材にしたドラマとかに使われてそうな曲だなって思います。

──その懐かしさが皆さんにとっては新鮮に感じるだろうし。

竹越:はい。今流行りの曲ってもっとピコピコしてたり速かったりすると思うんですけど、この曲ってすごくシンプルなんですよね。シンプルにギターが鳴ってて、ドラムが鳴ってて、インストを聴くだけでも楽曲の可愛さが伝わってくるというか。インスト聴くだけでウキウキする曲って、そもそもいい曲だよなって私は思うんです。今、SoundCloudでデビアンのインストだけの音源も公式に出てるんですけど、インタビュー前編でも話に出たように「デビアンって、インストだけでもすごく楽しめる」って言ってくださるファンの方が多いから、この曲もきっと楽しんでもらえるんじゃないかなって思ってます。


──7曲目の「tobira」は、ボーカルという点でもかなり新しい一面が表現されている楽曲かなと思います。

竹越:この曲を作っていた去年夏、ずっと喉が不調だったんです。すごく好みのタイプの楽曲なのに、思うように歌えないことが本当に悔しくて。5年くらい前にも一度あったんですよ。「Fake Factor」という曲なんですが、その時も思うように歌えなくてトイレで大号泣したんです。私は自分なりのルーティンだったり、自分なりの練習の仕方とかも定まっていたから納得のいくレコーディングが毎回できていたんですけど、今回は、その「Fake Factor」ぶりにちょっと泣いてしまいました。

──“トビラを壊して最高の未来へ!”という内容の楽曲ですから、まさにその心境でレコーディングに臨んだんですね。

竹越:やっぱり上手く出来たことよりも、上手く出来なかった思い出のほうが強く残るじゃないですか。「Fake Factor」やこの「tobira」は、なんだか自分にとってのライバルみたいな存在なんですよね。絶対に勝ってやる!っていう、自分との戦いみたいな感じで挑んだ曲でした(笑)。



──レコーディングって、そういう場でもあるんですね。

竹越:「Fake Factor」のレコーディングの時、プロデューサーさんから「自分の歌いたい曲とできる曲は違うんだよ」って教えてもらったこともすごく覚えています。その時は悔しいって気持ちのほうが強かったけど、今となっては、その言葉の意味もすごくわかるようになりました。

竹本:そういう意味で言うと、私にとっては「冬ラテ」が思い通りに歌えなかった1曲で。デモをいただいた時にはもう情景が頭に思い浮かんで、自分なりにこの曲の物語を書いてみたりしたんですよ。恋愛ドラマとか恋愛小説の1シーンなんかも思い出しながら、主人公はこういう気持ちなのかなって。この曲自体が大好きだったこともあって、1フレーズ1フレーズにちゃんと意味を持たせて、ここはこう歌おうって感じでレコーディングに挑んだんですけど、自分の無力さにやられてしまいました。

──無力さ、ですか。

竹本:こう表現したいのに自分はそこまで技術がない。もっと練習が必要なんだっていうことを思い知らされたというか。レコーディングした日の夜にいつも、歌割りをはめたラフミックスの音源が届くんですけど、自分が歌いたいと思っていたところに他のメンバーの声が入っていて。もちろん悔しいなとか、自分が歌いたかったのになっていう気持ちもあるんですけど、納得しちゃったんですよね。自分ができなかったことを他のメンバーが表現できていたりすると、“あぁ、この子こそ歌うべき人だ”って。「冬ラテ」は、悔しいなって思いながらも、これからもっと頑張ろうって思えた1曲でした。

──その向上心が、10周年を迎えたデビアンというグループの軸にあるのかもしれないですね。

竹本:もちろん“まだまだだな”って思います。でもそう思えることが嬉しくもあるんですよね。何年もアイドルをやってたりするとマンネリ化しちゃうことが多いと思うんですけど、それがないのはデビアンの強みだと思っていて。このアルバムもそうです。常に向上心があるこの感じがグループの良さだなと思うし、自分の良さでもあるのかなと最近思ってます。


──アルバムの最後を、ちょっと肩の力が抜けたかわいらしさを感じる「maybe…なんてモード」で締めるというのも新鮮に感じました。

橋本:歌っていても踊っていても楽しいなって思える曲なんですよね。この曲は、ファンの皆さんも一緒に手拍子する場面があったり、ちょっと難しいけど覚えたら楽しい振り付けもあったりするんですよ。歌詞もすごくかわいらしくて、結構皆さんに刺さるような、王道な1曲かなって思います。私はこの曲が大好きです。

竹越:この曲、後ろで鳴ってるドラムとかギターの感じに合わせて、カッコよく歌うものだと思っていたら、「ちょっとアニメっぽい、ボカロみたいな感じで歌ってほしい」って言われたんです。歌い方に関しては、めちゃくちゃ「忠実に」って言われた曲でもありました。私自身はちょっと苦戦したんですけど、ファンの方からは「すごく上手だよ」って褒めてもらえたりして、そこからすごく大好きな1曲になりました。

安藤:そう考えると、「Blue Youth」は今の私たちの素の声っていうか、今の歌い方を最大限に表現する曲になっているなって思います。


──「Blue Youth」のMVも、ありのままの感じが映し出されていましたね。

安藤:あれは千葉の海で撮影したんですけど、本当に楽しくて。5人で撮影するシーンの時は、自分たちでカメラを置いて、「こうしよう」とか「ああしよう」とか話しながら撮ったんです。5人並んで「Choo Choo TRAIN」の振り付けみたいなこととかして(笑)。

竹本:めっちゃ寒かったけどね(笑)。

安藤:そう。でも自分たちで“こう撮りたい”っていうのを考えながら撮って、それがMVにも使われていて、すごく嬉しかったです。

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