【ライブレポート】眉村ちあき×でんぱ組.inc×chelmico×ミームトーキョー、見どころ満載の<ニッカニカ(๑>◡<๑)〜お愛でとう 2024〜>

ポスト


Spotify O-EASTで開催された3マンライブイベント<ニッカニカ(๑>◡<๑)〜お愛でとう 2024〜>。眉村ちあき、でんぱ組.inc、chelmico、オープニングアクトを務めたミームトーキョー、4組各々が観客を明るく盛り上げた。眉村ちあきとでんぱ組.incの共演は約2年ぶり。眉村ちあきとchelmicoの共演は初。見どころ満載だったこのイベントの模様をレポートする。

  ◆  ◆  ◆

■ミームトーキョー
ステージの背景に映し出されているカラフルなグラフィックが目を引いた開演前。80年代のテレビゲームを彷彿とさせる絵柄の中に横一列で並んでいるキャラクターは16人。今回のイベントに出演する各組のメンバーの合計と一致するので、「これはあの娘だな」などと推測するのが楽しい。そして迎えた開演。最初にステージに立ったのは、ミームトーキョーだった。MEW、RITO、SAE、SOLI、MITSUKI、NENEが登場し、歌い始めたのは「アニモア」。躍動するビートに包まれながら各々の声を重ね合わせ、フォーメーションを次々と変化させて踊る姿がかっこいい。2曲目の「GAV RICH」も、フロアから送られる観客のコールを追い風とするかのように全力でパフォーマンスを繰り広げていた。そしてラストは、chelmicoが提供した「AGAIN AND AGAIN」。スリリングなラップとキャッチーなメロディが融合しているこの曲は、6人の豊かな表現力も実感させてくれた。

















■chelmico
注意事項を読み上げた眉村ちあき(以下、ちちゃん)の影アナが観客を沸かせた後、chelmicoのライブがスタート。DJ %Cが鳴り響かせたトラックを合図にRachelとMamikoがステージに勢いよく飛び込んできて、フロア内から歓声が上がる。会場は瞬く間に素敵なビートで完全支配された。アニメ『映像研には手を出すな!』のオープニングテーマとしてお馴染みの「Eazy Breezy」は、chelmicoのライブを初めて観る人への名刺代わりとして最適だったと思う。軽快なビートを乗りこなしながらラップする2人の姿に刺激され、手拍子を打ち鳴らす人々の輪がどんどん広がっていた。続いて「PUMP!」「三億円」「H」も披露され、軽やかなトーンでありながらもグルーヴィーなラップがかっこよくて仕方ない。ヒップホップの愛好家はもちろん、幅広い層も魅了し続けている彼女たちの表現スタイルは、やはり唯一無二だった。









時折のMCタイムでの2人のトークが絶妙なテンポとコンビネーションを発揮するのも楽しかった。「ミームトーキョーの3曲目、私たちが作ったの」(Mamiko)「あれ歌えるの、すごいよね」(Rachel)と語り合ったり、観客がカラフルなペンライトを掲げて盛り上がっている新鮮な風景を大喜びしたり、とても楽しそうにステージ上で過ごしていた。明るいコールを誘った「Question」。心地よいビートがフロアを震わせた「ISOGA♡PEACH」。色とりどりのタオルの他、ペンライト、掲げた拳、ハンカチまでもが勢いよく回転する様が、幅広い客層が集うイベントならではの楽しさを再確認させてくれた「Player」。ダンスしながらラップする2人の振り付けを真似しながら盛り上がる人々が続発した「I just wanna dance with you-period」。そしてラストを飾った「Love Is Over」では、ちちゃんが登場。3MCスタイルによって躍動感を一際増したサウンドが素敵だった。ラップが大好きなちちゃんが加わった編成は、RachelとMamikoにとっても楽しいひと時だったに違いない。無邪気に飛び跳ね、ステージ中を勢いよく動き回りながらラップした3人は、最後に決めポーズ。貴重なコラボレーションは、観客の大きな拍手と歓声で讃えられていた。









■でんぱ組.inc
空野青空(あおにゃん)が1月13日の富山公演で卒業し、7人編成となったでんぱ組.inc。今回のイベントは、7人編成初お披露目の場だった。古川未鈴(みりんちゃん)、相沢梨紗(りさちー)、藤咲彩音(ピンキー!)、鹿目凛(ぺろりん)、天沢璃人(りと)、小鳩りあ(りあぴ)、高咲陽菜(ひなちゃん)がステージに登場し、「ちゅるりちゅるりら」がスタートすると、観客の掲げたペンライトが一斉に点灯。2曲目の「でんぱれーどJAPAN」も、随所で加わる熱いコールが彼女たちを祝福していた。「Future Diver」も、フロアの一体感がものすごい。お馴染みの曲が新鮮な形で表現されるのを観客が大喜びしているのを感じた。










「キラキラチューン」が披露された直後、ちちゃんが登場。彼女がでんぱ組.incに提供した「プロタゴニスト」が届けられたのは嬉しいサプライズだった。約2年前に共演した際は「キラキラチューン」で“でんぱ組.inc with 眉村ちあき”が実現していたが、こういう共演があるのも対バンイベントの楽しさだ。8人の歌声が融け合い、多彩なダンスが繰り広げられる様を観ていると、素敵な歌劇を鑑賞しているかのような感覚となった。

「プロタゴニスト」を歌った後はMCタイム。どのようなことを考えながら作った曲なのかを問われたちちゃんが「何の遠慮もしないで作った。なんなら息継ぎもなくしてやろうかと思ったくらい(笑)」と語ったりもしつつ、いつしか話題は本番前の楽屋でのエピソードに移った。お弁当を食べる場所を探した末に、でんぱ組.incの楽屋に辿り着き、ぺろりんが広げたレジャーシートで歓待されたのだというちちゃん。彼女と何を話したらいいのかわからなくなり、唐突に家族について語ってしまったのだというみりんちゃん……ファンならばありありと想像できてしまう様子が和やかな笑いを誘った後、でんぱ組.incの7人は全力のパフォーマンスを一気に繰り広げた。「オーギュメンテッドおじいちゃん」と「バリ3共和国」が届けられ、凄まじい熱気で満たされた会場を、さらなる興奮状態にしたのは「でんでんぱっしょん」。7色のリボンを華麗に操りながら歌い踊るメンバーたちの表情が、とても活き活きとしていた。ライブを心から楽しめた手応えは、今後の彼女たちの活動を支える力に繋がっていくのだろう。







■眉村ちあき
トリを飾ったのは、イベントの主催者であるちちゃん。彼女のライブを初めて観る人もいたはずだが、オペラのような歌唱法やラップも交えながらダイナミックな展開を遂げた1曲目「Individual」の時点で完全に心を掴まれたはずだ。chelmicoのRachel、Mamikoと歌声を元気いっぱいに交わし合った「顔ドン」。観客の頭上を筏(ゴムボート)で漂いながら歌い、フロアの後方の柱に仕込まれていた魔法のステッキを手に入れる旅に出た「Queeeeeeeeeen」。でんぱ組.incのぺろりんが2022年の生誕祭のために手作りした段ボール製のギター(ちちゃんはスタッフを通じて譲り受け、自宅の部屋の壁に飾って大切にしている)を使用して大喝采を浴びた「KARAAGE WARS」。自由自在にステージ上を動きながら歌声を響かせた「バケモン」……片時も目を離せない場面の連続であった。









「みんな好きな人を観に来てるんだよね? 好きな人がいたら頑張れるよね? 今から歌う曲は、丁度2年前にでんぱちんとあけおめのライブをした時に初めて披露した曲。それは推しのことを歌っている曲なのね。なので各々の推し、大切な人のことを考えて聴いてほしいんだ」という言葉を添えた「Lovely days」。アコースティックギターの弾き語りから始まり、PCを操作して再生したトラックも加えつつ瑞々しいサウンドを響かせたこの曲は、情感豊かな歌とじっくり向き合わせてくれた。「半年くらい私はラブソングを勉強してたの。ラブソングを大量に書けたらもっと強くなれるんじゃないかなと思って。ラブソングを起用するコンペに応募して落ちた曲をやります(笑)。でも、めっちゃ良いから聴いて!」と説明しつつ歌い始めたタイトル未定の新曲は、音源化されるのがとても楽しみ。恋心が募っていく様を甘酸っぱくストレートに表現する作風は、彼女の新境地を示していた。そしてラストを飾ったのは「大丈夫」。観客の1人1人を包み込むかのような歌声が温かかった。









「アンコオオオー! アンココ!」……ちちゃんのライブで恒例になっている独特なトーンのコールにミームトーキョー、chelmico、でんぱ組.incのファンも巻き込まれているのが、面白くて仕方ない。ステージに戻って来たちちゃんは、イベントタイトルに含まれている“(๑>◡<๑)”そっくりの上機嫌な表情を浮かべていた。「ありがとう! 私の曲の中で一番だいえんだん(※大団円)になる曲をやります!」と言い、歌い始めたのは「旧石器PIZZA」。万歳をするかのように両腕を振り上げながら踊る人々が、とても平和な風景を作り上げていた。終盤に差し掛かるとミームトーキョー、chelmico、でんぱ組.incも登場。全員で歌いながら笑顔を交わす様が眩しい。終演を迎えた後も、穏やかな余韻が会場全体を潤していた。あの日のことを振り返ると、和やかな場面がたくさん思い出される。各出演者の今年の活躍に対する期待も陽気に高めてくれたイベントだった。





文:田中 大

  ◆  ◆  ◆

セットリスト

<ニッカニカ(๑>◡<๑)〜お愛でとう 2024〜>
2024年1月19日(金) Spotify O-EAST
【ミームトーキョー】
1. アニモア
2. GAV RICH
3. AGAIN AND AGAIN

【chelmico】
1. Eazy Breezy
2. PUMP!
3.三億円
4. H
5. Question
6. ISOGA♡PEACH
7. Player
8. I just wanna dance with you - period
9. Love Is Over

【でんぱ組.inc】
1. ちゅるりちゅるりら
2. でんぱれーどJAPAN
3. Future Diver
4. キラキラチューン
5. プロタゴニスト
6. オーギュメンテッドおじいちゃんIntro.Long
7. バリ3共和国
8. でんでんぱっしょん

【眉村ちあき】
1. individual
2. 顔ドン
3. Queeeeeeeeeen
4. KARAAGE WARS
5. バケモン
6. Lovely days
7. タイトル未定
8. 大丈夫

【ALL】
旧石器PIZZA

この記事をポスト

この記事の関連情報