【ライブレポート】GLAY、ハイコミツアー日本武道館3DAYS「死ぬまでGLAYをやらないか?!」

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12月24日、名古屋でファイナルを迎えたGLAYのアリーナツアー<GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2023-The Ghost Hunter->。このレポート記事は12月3日、日本武道館3DAYS最終日を取材したものだが、まるでファイナルのような内容で、興奮の余韻は今も消えない。充実したパフォーマンスと、強く胸を打つMC。同時代を生きてライブという時間を共有できる奇跡と感動に満ちていた。

◆ライブ写真

物悲しいテーマSEに乗せ、天界を描いた宗教画のようなオープニング映像は、覆い被さってくる巨大な骸骨で不気味に締め括られた。ステージに登場するメンバーのシルエットが見えると、大歓声と拍手が起きる。1曲目の「3年後」は重厚かつサイケデリックなプログレ大曲で、かなり大胆なセットリスト。3月から6月まで行なわれていたホール会場での“ハイコミ”ツアー以上に、『HC 2023 episode 2-GHOST TRACK E.P-』を掲げ11月からスタートした本ツアーはコアな選曲で驚かせる、攻めた内容となっている。

背後の巨大スクリーンには、オーロラとそれを映す水面を思わせる幻想的な映像。TERU(Vo)の歌唱は自由自在に高低のトーンを行き来し、TAKURO(G)、HISASHI(G)、JIRO(B)、サポートを務めるTOSHI NAGAI(Dr)、村山☆潤(Key)の織り成すアンサンブルは、一音一音が粒立ちながら互いに心地良く絡み合っている。


「OK、武道館、熱く行こうぜ!」とTERUが煽り「棘」に突入すると、激しい曲調と明滅する照明が連動し、一気に高まっていく熱量。前列にメンバー4人が並んでパフォーマンスする、それだけでも圧倒的な華を感じさせた。TERUがギターを掻き鳴らしながら歌唱し、HISASHIもパンキッシュなシャウトを担う「デストピア」を畳み掛けると、スクリーンにはSF映画さながらの近未来都市が映し出されていく。目くるめく疾走感で駆け抜け、全員でキメの音を鳴らして曲を締め括ると、どよめきと拍手が会場に響いた。

日本武道館公演は6年振りということで、「武道館、ただいま!」とTERUが叫ぶと、「お帰り!」と答える観客。天井から歓声が降って来るように感じる、という会場の特性に言及しながら、TERUは「今日という日は今日しかないので」などと語った。2020年以来のコロナ禍による規制が撤廃され、歓声を取り戻した、まさに“3年後”が今なのだ、とふと思い至るのだった。

「18歳の時、函館から東京に出てきた時のことを思い出す」(TERU)との曲紹介から、実直なバラード「海峡の街にて」を表現豊かに披露。波打つ海の映像は、やがて夕焼けのオレンジ色に染められていった。次曲「Missing You」のストリングスイントロが厳かに鳴り始めると、ステージの左右に並んだトーチが揺らめき、TAKUROのアルペジオにJIROがハイポジションで紡ぐフレーズが絡まっていく。真っ赤なレーザー光線が網を張るように客席を覆い、緊迫感に包まれる中、劇的な展開で昂っていくシリアスな歌唱と演奏は圧巻。アウトロはジャジーなアレンジを施し、まろやかな円熟味を感じさせた。


TAKUROとHISASHIがセンターで向き合ってギターを奏で、スタートした「生きがい」。前曲の凍てつく極寒のイメージから一変し、温かな一体感が広がって、ファンはGLAYチョップを勢いよく繰り出し続けた。後奏に乗せて「君たちは、僕たちの生きがいです!」と叫んだTERU。一瞬、静けさが訪れた後、水音が響き始めて最新EP収録曲「刻は波のように」が始まった。BARKSのインタビューでTERUが母のことを歌ったと明かしていた曲で、太陽光が差し込む海中のイメージ映像をバックに、ファンの手拍子を自ら率いながら朗らかに歌い届けていく。同じ函館の海をモチーフとしながらも、TAKURO曲の「海峡の街にて」とは筆致が異なるのが興味深く、そのグラデーションをバンド内に持つことがGLAYの懐の深さを生んでいるのではないだろうか?

JIROの躍動的なベースを皮切りに、TAKUROがコードを重ね「Lock on you」が幕開けると、タンバリンを鳴らしながらセクシーに身を揺らし歌唱するTERU。「もっと、もっと!」とファンの嬌声を求める掛け合いで沸かせ、《“武道館”のキスで生まれ変わるのさ》《熱いキスで“GLAYは”生まれ変わるのさ》などと歌詞を変えて披露。HISASHIは激しくも妖艶なギターソロを掻き鳴した。今回のツアーで導入された掌サイズの超小型高性能ドローンがメンバーの至近距離を飛び回り、臨場感たっぷりの映像がスクリーンに大写しになるたび、ファンは歓声をあげていた。

SEに乗せて流れ始めたのは、コロナ禍の3年間を思い起こさせるコラージュ映像。緊急事態宣言を報じる新聞を手にしたTAKURO、ステイホーム期間中にTERUが立ち上げたオンラインライブシリーズ<LIVE at HOME>の様子、メンバーが映る四分割のZoom画面、マスク着用でのレコーディング風景、ドームツアーを中止し、会場をさいたまスーパーアリーナに移して行ったライブの舞台裏など様々な情景が繋ぎ合わされ、悲喜交々の記憶が脳裏に蘇ってくる。


画面は満天の星空に切り替わり、トーチが揺らめきスモークが漂う幻想的なムードの中、未発表の名バラード「Beautiful like you」を届けた。《私はいつでも あなたのそばにいる》というフレーズは、恋愛に限定しない大きな意味でのラブソングとして聴こえてきた。続く「STREET LIFE」ではTERUとTAKURO、二人の熱い歌声が重なり合って、歌詞が宿すメッセージをしっかりと伝えていく。直前に流れた映像とリンクして、この2曲は、2023年の今ならではの想いを観客と分かち合う場面となっていた。

村山がピアノで生演奏する「トロイメライ」と、映写機がフィルムを巻き上げるカチカチというノスタルジックな音をBGMに、シューマンが妻のクララへ宛てた手紙の文言を投影。スクリーンに映し出された、絵も写真も入っていない幾多の額縁は、心象風景としての『子どもの情景』を飾るため用意された架空の装置なのだろうか。スタートした最新EP収録曲「Pianista」は、HISASHIとサクライケンタとのコラボレーションで生まれた、複雑な変拍子がミニマルミュージック的高揚感を生んでいく異色のポップナンバー。生演奏で再現する高難度のトラックは複雑怪奇だが小気味よく、メンバーのプレイアビリティーの高さを再認識する曲でもあった。

最新曲から一気にタイムラインは‘90年代へと遡り、ダークロックナンバー「Believe in fate」へ。条件反射するように即座に、勢いよくGLAYチョップをするオーディエンス。JIROは前へ出てステージを動き回り、HISASHIのギターソロ中はTAKUROと向き合ってプレイしていたかと思えば、TERUに接近。突如自分に向かってGLAYチョップし始めたJIROにTERUが思わず笑ってしまい、そんな微笑ましい場面に会場は大いに沸き立っていた。


熱狂の後、「見ての通り、GLAYちゃんは絶好調です!」と語り始めたTAKUROは、「来年GLAYは30周年を迎えます。皆がいたお陰で、こうやって元気にステージに立つことができています」とファンへの感謝を述べていく。

「僕らとファンは、ただの“バンドとファン”の関係じゃねぇな、と。ちょっとエッチな関係(笑)。親密な、特別な関係です。函館から来て、こんなにたくさんのファンの皆さんと、そして“バディー(相棒)”と出会えたことをうれしく思います」──TAKURO

そんな曲紹介からの最新EP収録曲「Buddy」は、JIROとTOSHIのファンキーなセッションでリズミカルにスタート。車窓から見えるロードムービー風のアニメーション映像と共に、朗らかな歌唱と生き生きとした演奏を響かせた。ラララのコーラスはファンの歌声を求め、その響きに耳を澄ましていたメンバーたち。「Buddy Buddy Buddy!」とTAKUROが叫び、バズーカ砲でプレゼントを客席に向けて発射。コロナ前ならばお馴染みだった演出も晴れて復活した。HISASHI、JIRO、TERU、TAKUROの並びで前列に立った時、ファンのコーラスをチェックするかのようにJIROが腕組み。目を細めて“監視”するような瞬間が大写しになると、観客は笑い声を上げた。

最新EP収録曲「SEVEN DAYS FANTASY」では、終盤で歌メロがダブルに増えるうちの一つ、悲しみの中にもたらされる福音のようなフレーズをTAKUROが熱唱していたのは、ライブならではの表現だった(※音源ではいずれもTERUが歌唱)。作者TAKUROの想いと、それを愛情というフィルターを通して具現化するTERUの歌声が共存し、HISASHI、JIROそれぞれの個性豊かな演奏が合わさって、バンド全体のメッセージとしてファンに届いていく。そのようなGLAYの音楽の在り方を象徴する光景に思える。アウトロに乗せて「皆さんのこれからの日々が、素晴らしい日々でありますように!」と叫んだTERUの言葉は、祈りそのものだった。


HISASHIがTOSHIと向き合って、音を鳴らすタイミングを互いに計り合うバトルのようにメタル調のギターフレーズを鋭利に鳴らすと、「Young oh! oh!」がスタート。30周年を2024年に迎えるベテランバンドが、この曲をセットリストに選んでいるだけで胸が熱くなる。ビール缶やジャンボ機など、GLAYがラッピングしてきた歴代アイテムや、デビュー当時のアーティスト写真などが次々と映し出されていくのだが、そこには“悪戯”が施されており、遊び心を感じさせた。

「心から、皆の幸せを祈っています!」というTERUのシャウトに続き、「Ruby‘s Blanket」を明るく送り届けると、「HIGHCOMMUNICATIONS」を本編ラストに投下。TERUに倣い手をクロスさせる振り付けで一体となる会場。大きな歩幅のステップを繰り返しながらプレイするJIROの姿からは、ライブに没入している様子が窺えた。ギターに覆い被さるようにして狂おしい音色を掻き鳴らすHISASHI。後方の台に乗り、ただでさえ長身なのに、ステージに聳え立つシンボルのような存在感を放っていたTAKURO。音の洪水と刺激的な視覚情報で恍惚をもたらし、6人はステージを後にした。

アンコールで再登場すると、1996年9月9日の初武道館ライブを振り返って、TERUは謙虚にこう語り始めた。

「まさか27年経って同じ場所に立っているとは、思いませんでした。頑張ってきて良かった」──TERU

2024年にプロ40周年を迎えるTOSHIは、「皆さんがいてくれるお陰でドラムが叩ける。これからもGLAYの応援をよろしくお願いします」とファンに語り掛けた。村山はGLAYと仕事をするようになって10年だと語り、今回のアリーナツアー、先のホールツアー、2022年の<UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY 2022>ツアーのサポートを担当、「GLAYの有名な曲をやっていないことに最近気付きまして(笑)。末永く頑張って有名な曲もたくさん弾きたいです」と決意表明した。TERUは「そういえば(村山がサポートのライブでは)『HOWEVER』やってないね? 来年こそは!」と笑った。


「『HOWEVER』をなんでやらないか知ってる? ここに集まってる大半の連中が、“聴き飽きた”って」と苦笑交じりに理由を明かしたのは、セットリスト考案者のJIRO。見えづらい上方座席のファンを労い、「チケットを取れなかった人たちに、よろしくお伝えください」と続け、来場できなかったファンにも想いを寄せる。「武道館、良かったです。初日良かったし、2日目はもっと良かったし、今日はもっといい」と手応えを感じている様子。そしてJIROが「僕のわがままで」選曲したと明かし、「言ってみたかった。カモン、TOSHI!」と曲紹介、このツアーで初めて「誘惑」を披露した。たとえ何度聴こうとも、名曲中の名曲だと再認識する代表曲である。大サビは客席にマイクを向けて大合唱。時代を彩ったヒット曲というものの強度を改めて体感した。

熱狂の余韻の中、「今日はTAKUROに言いたいことが三つある」と語り始めたHISASHI。一つ目は「バイクありがとね」という、伝えそびれた誕生祝いへのお礼。TAKUROはバイクではなく「デロリアンをあげようと思った」と明かした。アメリカから輸送されてくるのをHISASHIが「俺、成田まで断りに行った」と続け、途方もないスケール感に驚かされた。二つ目は「Beautiful like you」のギターソロで二人が奏でるカノンのパートが「デモで作ったのと違う」というクレーム。実際にその場で弾いてフレーズの確認をし始め、HISASHIがTAKUROに「違う!」と指摘すると、TAKUROは「そっちが合わせて!」と塩対応。HISASHIは「ツアーも折り返しなのに今言うなよ」と自分にツッコんでいた通り、なぜ今、しかも楽屋かリハーサルでチェックすれば良いのでは……?と疑問に思っていた矢先、「三つ! 死ぬまでGLAYをやらないか?!」と決然とした口調で述べたHISASHI。TAKUROは一瞬虚を突かれた様子だったが「はい!」と勢いよく答えた。HISASHIが本当に言いたかったのは、この三つ目だったのだ。

「今年はミュージシャンの訃報が多い。どんな顔をしてギターを弾けばいいのか分からなかったけど、皆のお陰で自分を保つことができた。GLAYは笑顔で、いろんな気持ちを収めていきたいなって」──HISASHI

会場が感動に包まれる中、HISASHIは「泣かないぞエ」(鈴木蘭々)と「負けないで」(ZARD)と混同した言い間違えをして笑いを巻き起こし、「もう一回SEからやり直したい……」と消沈。TAKUROに「諦めろ」となだめられるところまで含めて、忘れられない名シーンとなった。この後届けたのは、コロナ禍が収束したら歌おう、とHISASHIが2020年に呼び掛けていた「SOUL LOVE」の大合唱。ファンの歌声にメンバーは耳を澄まし、感慨深そうに客席を見つめていた。「KISSIN’ NOISE」は、バンドで音を鳴らす楽しさに今なお夢中になっているような、瑞々しい歌声と演奏を送り届けた。

「HISASHIの言葉に一番感動しました。なかなかああいうことを言う人じゃないので」とTERUもコメント。ラストは、JIROがR&Bに挑んだ新機軸曲「THE GHOST」が、80KIDZによってクラブミュージックへと大胆に再構築された「THE GHOST(80KIDZ Remix)」(最新EP収録)で締め括った。TERUは「いろんなことあるけど、一緒に頑張って行こう!」などと語り掛け、6人はステージの上手、下手へと移動して丁寧にファンに挨拶をした。

エンディングはオープニングの世界観と呼応し、4人の肉体から抜け出した魂のような四つの炎が謎の眼球へと吸い込まれていくミステリアスな映像表現。映画のエンドロールのようにメンバー、スタッフクレジットが流れ、“See You 30th Anniversary”という文字が乗ったモノクロの4人の写真でライヴは幕を閉じた。MCでもしばしばメンバーが語っていた通り、2024年にデビュー30周年を迎えるGLAY。その存在は、多くのファンの人生と分かち難く結びつき、幸せをもたらしてきた。メンバーが健やかに一日でもGLAYの長く活動を続けてほしいと祈りたくなる、多幸感に満ちたライブだった。

取材・文◎大前多恵
写真◎岡田裕介

GLAY デビュー30周年 解禁情報

2024年
1月 元旦読売新聞朝刊にて 30周年アニバーサリー広告掲出予定
2月 『GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2023 -The Ghost Hunter-』を最速オンエア
3月 怒髪天と対バンライブ 
箭内道彦60年記念企画 風とロック さいしょでさいごのスーパーアリーナ“FURUSATO” 出演
4月 『THE FRUSTRATED Anthology』リリース
5月 30周年記念ニューシングルリリース
6月 ベルーナドームライブ開催
7月 GLAYの日 ※詳細後日
8月 GLAY史上初! 夏フェス出演

<GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025>

2024年
6月8日(土)OPEN 15:00 STAFR 17:00
6月9日(日)OPEN 15:00 STAFR 17:00
会場:埼玉・ベルーナドーム
主催:テレビ朝日/キョードー横浜 企画・制作:ラバーソウル 協力:LSG/ポニーキャニオン

チケット料金:S席11,000円(税込)A席9,000円(税込)
※3歳未満入場不可。3歳以上チケット必要。

チケット先行予約
ローチケ・プレイガイド最速先行予約 3月1日(金)よりエントリー開始

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