【ライブレポート】かけがえのない味方でいてくれる、leccaの歌声

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7⽉2⽇・仙台Rensa公演を皮切りにスタートした<lecca say hello tour 2023 ~夏休みだから会いに行きます~>。leccaの全国ツアーは約6年ぶり。8ヶ所を巡るこのツアーの6公演目、8月11日・渋谷WWWXの模様をレポートする。

◆ライブ写真

チケットはソールドアウトして、満杯となったフロア。開演を待ちわびている観客のムードが明るい。ステージに登場したギターのYOTA、キーボードのMi3(ミッチュリー)、DJ DAISHIZENの演奏がスタートした直後、歌いながら登場したlecca。沸き起こった手拍子を慈しむかのように響き渡る歌声が温かい。そして、レアな曲が序盤から次々と届けられた。「今日のセットリストを作ったのは、私じゃないんです。ファンクラブのファンの方たちにアンケートをとったんです。マニアックな曲の数々があって、セットリストを組んでみたら、冒頭のメドレーっぽいところとかわかんない人もいたんじゃないかなと思うくらい。私もApple Musicで調べたから(笑)」と語っていたlecca。久しぶりに歌う曲を楽しんでいるのが伝わってきた。


東京公演ならではのスペシャルゲストの登場も、観客を大喜びさせた。他の公演では現地のキッズダンサーとの共演が恒例となっていた「ohayo-gozaimasu」では、努(オンナマタヂカラ)のRUDY-EとMAIが登場。彼女たちと一緒に踊りながら歌ったlecca、掲げたタオルを回転させる観客の熱量が1つとなる様が爽やかだった。そして、「ROSE~エールを贈るよ~feat. lecca」が披露されるのを予想していた人は、おそらくいなかったのでは?

歌い終えた直後、ハグを交わしたleccaとJAMOSAが心底嬉しそうだった。現在、アメリカのサンディエゴ在住のJAMOSAが一時帰国していたことにより実現した共演なのだという。「ずっと会ってなくて、10年ぶりくらいに会えて。最初、このライブにお客さんとして来てくれるって言ってたんだけど、“来てくれるんなら一緒に歌おうよ”ってことになったんです。「ROSE」の歌詞が良くて。女の子が聴いたらやばいと思う」というleccaの言葉に対して、「おっさんが聴いても大丈夫だと思うよ(笑)」と返していたJAMOSA。2人のテンポの良いやり取りも、観客の心を和ませていた。

今回のツアーはコンパクトな編成で各地を巡っているが、leccaを長年に亘って支えているベーシストのKUUBOが登場したのも嬉しいサプライズだった。「KUUBOさんが今日来て、リハーサルをやって、“今までライス抜きのカレーライスを食べてたんだ。糖質抜きだったんだ”ってよくわかりました」と言っていたlecca。KUUBOが加わったアンサンブルに彩られた「live again」「for you」は、レゲエサウンドに身を委ねながらゆっくりと身体を横に揺らす喜びを噛み締めさせてくれた。「レゲエの良さを訊いてもいでしょうか?」とleccaに問いかけられて、「気持ちよさ」とシンプルに返したKUUBO。まさしくその言葉通りの至福のサウンドだった。


KUUBOと努の共演で届けられた「My measure」「バタフライエフェクト」「ちから」も大盛り上がりとなった。そして、leccaが歌に込めた想いに胸打たれる瞬間の連続だったのが、やはり何と言っても印象深い。「0→1」「TODAY」「前向き」なども披露されたが、リスナーの心に寄り添うかのような歌声は、ファンにとってのかけがえのない味方であることを実感した。


「一番守ってほしいのは自分の身体と心なんです。世の中の人がわかってくれないとか、褒めてもらえないとか気にしないで。それは当たり前だと思いましょう。わからず屋だらけの世の中だと思いましょう。理解してくれる人が3人いたらすごい。“頑張れ。でも頑張ってるじゃん。もういいよ”って言ってくれる人がいたら、その人を捕まえて離さないでください。そういう人は、ずっと守ってくれるから。私はずっとみんなに言うから。外の世界で厳しいことを言われるかもしれないけど、受け入れられない時は、受け入れないでもいいと思う。自分を褒める癖を思い出してくださいね。私もいろいろありますけど、ここから先は、“幸せのハードルをいかに低くできるか?”をみんなに見せていこうと思う。私は最近、納豆ご飯を食べられる時間が超幸せで。すごい地味でしょ?(笑)」──ユーモアも交えた言葉が添えられて届けられた楽曲の数々が、優しいと同時に雄々しかった。


アンコールを求める手拍子をした時、観客は「素晴らしい人生」を大合唱。6月に配信されたこの新曲も、既にリスナーの宝物となっているのだろう。そして、leccaにとっても会場に集まる人々の存在が心の支えになっているのを感じた。「みんなが元気に生きていてくれて、一緒に歳を重ねられることが何より嬉しいです。みんなお願い。長生きしてください。一緒に過ごしてくれて本当にありがとう!」と彼女が言っていたのが思い出される。音楽を通して互いの人生が交わる喜びが、会場一杯に満ち溢れているのがleccaのライブだ。残りの2ヶ所、8月25日・大阪BIG CAT、8月27日・広島CLUB QUATTRO公演も幸福な空間が生まれるに違いない。



8月9日に配信された新曲「チラカレ」のMVが、渋谷WWWXでのライブの終演後に公開された。リアリティー番組『テラスハウス』への出演で注目を集め、フィットネストレーナー、スポーツタレントとして活躍している田辺莉咲子が都会の雑踏を颯爽と駆け抜ける映像は、曲に込められたメッセージを美しく浮き彫りにしている。日常生活の中で押し寄せる様々なことに振り回されることなく、自分自身にとって大切なものを守り抜いて生きることを呼びかけるこの曲は、数時間前に観たライブの余韻を一際素敵なものにしてくれた。「素晴らしい人生」「ohayo-gozaimasu」「チラカレ」と続いた3ヶ月連続配信、全国ツアーを経て、leccaはさらにどんな音楽を届けてくれるのだろうか? 今後の活動への期待は高まるばかりだ。

取材・文◎田中 大

配信シングル「チラカレ」

2023年8月9日(水)配信開始

<lecca say hello tour 2023 〜夏休みだから会いに行きます〜>

2023年
※すでに終了した公演は割愛
8月25日(金)大阪・BIGCAT ※SOLD OUT
8月27日(日)広島・広島クラブクアトロ ※SOLD OUT

Podcast『勇者の実家 - DJ Mother lecca -』

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