【ライヴレポート】the GazettE、<LIVE TOUR MASS>完遂「俺達は必ず進化していくけど、変わらない居場所であり続けたい」

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the GazettEが7月15日、日本武道館にて<the GazettE LIVE TOUR2022-2023 MASS “THE FINAL”>を開催した。2021年5月リリースの10thアルバム『MASS』ツアーの集大成がこの日本武道館公演であり、コロナ禍の規制撤廃後、初の声出し解禁ライヴにもなった。同公演のレポートをお届けしたい。

◆the GazettE 画像

10thアルバム『MASS』のリリースから約1年後、2022年5月13日から同アルバムを掲げてツアー<the GazettE LIVE TOUR -MASS->へと旅立ったthe GazettE。誰もが認めるトップクラスのライヴバンドであり、アイデア豊富な彼らにふさわしく、今回のツアーはホールをまわる<the GazettE LIVE TOUR2022 -MASS- / PHASE 01-COUNT “DECEM”>をはじめ、『MASS』と歴代アルバム1作を掛け合わせて公演毎に様々な世界観を生み出すというコンセプトを掲げた<the GazettE LIVE TOUR2022 -MASS- / PHASE 02-“The Unknown”>、ライヴハウスツアーの<the GazettE LIVE TOUR2023 -MASS- / PHASE 03 “LAST MILE”>という3形態にて『MASS』を冠したツアーが行なわれた。


2020年初頭より続いたパンデミックから沈黙を守り続け、2021年5月のアルバム『MASS』リリース、そして同年後半からライヴ活動を再開。当時はthe GazettEの本格的な帰還に胸を撫で降ろしたリスナーも多かったに違いない。そして、アルバム『MASS』リリースから2年以上の時を経て、2023年7月15日、<the GazettE LIVE TOUR -MASS->の最終公演が日本武道館で開催された。

充実したツアーの千秋楽にして、会場はthe GazettEにとって約8年ぶりの日本武道館。さらにライヴ活動再開後初の声出し解禁公演ということでチケットは瞬く間にソールドアウトとなり、ライヴ当日の日本武道館は開演前から異様な熱気に包まれていた。

暗転した場内にオープニングSEが流れ、the GazettEのメンバーがゆったりとした足取りでステージに姿を現した。客席から大歓声と拍手が湧き起こる中、葵が奏でる繊細なギターの音色に続いて轟音が鳴り響き、ライヴはラウドでドラマチックな「BLINDING HOPE」から始まった。強い存在感を放つメンバーの姿と、圧倒的な重厚さとキレの鋭さを併せ持ったサウンドにオーディエンスも熱いリアクションを見せ、ライヴが始まると同時に場内のボルテージは一気に高まる。


その後はアッパーな「ROLLIN’」、ヘヴィチューンの「NINTH ODD SMELL」を続けてプレイ。ステージ両サイドに伸びたランエリアまで出て歌うRUKIの姿に目を奪われると同時に、華やかなパフォーマンスをみせるRUKIとは対照的に、それぞれのポジションに仁王立ちして演奏する楽器陣のシルエットも最高にカッコいい。オーディエンスの熱狂ぶりは圧巻で、オープニングから怒涛の盛り上がりを見せた場内はライヴが進むに連れてさらに熱気を増したことに感嘆させられた。序盤となる3曲を聴かせたところで、「Hey, TOKYO!」とRUKIが挨拶。

「ツアーファイナル、日本武道館へようこそ。8年ぶりにここへ帰ってきました。ただいま。このツアーで声を出すのは、今日が初めてじゃん。改めて感動した。今日は規制もなにもないからさ。声、かれるまでいけよ、東京!」──RUKI

このMCに続けて、「DAWN」「HOLD」「裏切る舌」といったハイエナジーなナンバーが演奏された。これら楽曲はスピーディーな場面転換が特色で、それをゴチャゴチャした印象を与えることなくクリアに聴かせるあたりは見事。矢継ぎ早にスパッとテイストが展開していく最先端のロックのトレンドを押さえ、その心地好さがライヴでも失われないのはthe GazettEの大きな強みといえる。表情豊かなRUKIのヴォーカルも含めてthe GazettEの演奏力の高さを改めて感じることができた。


ライヴ中盤では、美麗な「DRIPPING INSANITY」、ダークな「濁」、透明感と壮大なスケール感を湛えた「THE PALE」といったスローチューンが続けて届けられた。the GazettEのライヴは、じっくり聴かせるセクションの良質さも魅力で、今回のライヴでもテイストの異なる3曲を最良の形で聴かせる流れに深く惹き込まれた。もうひとつ、かつてのthe GazettEのスローチューンは陰鬱な雰囲気のものが多かったが、最近は洗練感やスタイリッシュな雰囲気をまとっていることもポイントといえる。このことからも常に変化と進化を繰り返してきたバンドの長い歩みが感じ取れて、感慨深いものがあった。

「武道館!やれんのかい? やれんのかい? いけるかい! いけるかい! かかってこい!!」──RUKI

RUKIの熱いアジテーションからライヴは後半に入り、ハイボルテージな「BARBARIAN」や狂騒感を放つ「ATTITUDE」、メタリックな「ABHOR GOD」などが畳みかけるように演奏された。躍動的なステージングを見せながら爽快感に溢れたサウンドを響き渡らせるメンバーと、ヘッドバンギングや折り畳みや拳振りなどを繰り返すオーディエンス。「ABHOR GOD」ではそれらが一体となるような大合唱が湧き起こった。

メンバーとファンの双方が待ち望んでいた瞬間が訪れたことに胸が熱くなる中、the GazettEは本編のラストソングとして「UNFINISHED」をプレイ。ラグジュアリーな雰囲気が香るハードネスに場内は華やかな盛り上がりを見せ、心地好い余韻を残してthe GazettEはステージから去った。


パンデミックを受けて、自分達が望む形でライヴができるようになるまでステージには立たない、という姿勢を貫いたthe GazettE。そんな彼らのスタンスに批判的なリスナーもいたという。さらにライヴ再開の際には、長く沈黙期間が続いたことで美化されたイメージを超えるステージをしなければならないというハードルが課せられることにもなった。つまり、今回の<the GazettE LIVE TOUR -MASS->は、the GazettEというものを証明する場だったと言い換えることもできる。

そんな中でthe GazettEは、さらに魅力を増した姿を各地で披露し、ツアーファイナルの日本武道館公演も成功させた。様々な声が耳に入ってくる状況だったとしても、それに惑わされることなく意思を貫き、不安や疑問を感じていたリスナーをこのツアーで納得させたthe GazettEは、さすがの一言に尽きる。苦難の時期を経て彼らが一層パワーアップしたことは明らかなだけに、今後のthe GazettEの動きにも大いに期待したい。日本武道館公演のアンコールでメンバーひとりひとりが語った言葉には、the GazettEの意志が強く表れていた。


「自分達は世の中がどんな状況であろうと、自分達のやり方や自分達が思う正しさを貫いてきました。どんなときも強い気持ちでいれたこと、自分達のバンドの在り方を貫けた理由は、たった1つだけです。それは、ここにいるお前ら、みんながいたからです。俺らを信じてここまでついてきてくれた、今まで見ててくれた。俺らはいつだってその期待を必ず超えようと思ってきたから貫けました。
 このバンドを信じて、それをカッコいいと思ってついてきてくれる人がこんなにいる。同じことで感動できて、同じことで熱くなれる、そんなみんなを心から愛しているし、世界一カッコいいファンだと誇りに思います。俺達は必ず進化していくけど、絶対に変わらない存在だったり、変わらない居場所であり続けたい。だから、一生the GazettEと一緒に生きていってください。俺らの傍にいると覚悟を決めて、気合いを入れてついてきてください」──RUKI

「不安やとまどいの中で始まった『MASS』という作品とツアーでしたけど、一緒にこの空間を守ってくれたメンバーとファンのみんなに本当に感謝しています。ありがとうございます。また必ず同じ空間で一緒に暴れましょう。ありがとうございました」──戒

「<MASS TOUR>では節目節目で喋らせてもらって、皆さんに感謝の気持ちを伝えることができたと思いますが、ここ武道館でも変わらず感謝の気持ちを伝えていきたいと思っています。こいつは感謝感謝ばっかり言っているなと思われる方もいると思うんですけど、でもやっぱり今回の<MASS TOUR>でみんなの顔を見て、しっかりと自分の気持ちを伝えることがなにより大事だということに気づきました。そして、これから先も1本1本、本当に大事にライヴをしていきたいと思います。皆さんが応援してくれる限り僕らはがんばれるので、よろしくお願いします」──麗

「疲れたよね(笑)。本当はさ、みんなへの愛の言葉をたくさん考えていたんだけど、もう疲れちゃって全部飛んじゃいました(笑)。今回のツアーは制限ばかりだったにもかかわらず、全力で楽しんでくれたみんなには感謝しかありません。ありがとうございます。俺達の特別で、大切な場所はこれからも守り続けるので、ついてきてください。ありがとうございました!」──REITA

「本日はどうもありがとうございます。私もすごくたくさん考えてきたんですよ、みんなの顔を見ながら気持ちを伝えたいなって。でも、そんなのもうどうでもいい感じになった。大体みんなと伝えたいことは同じだし(笑)。自分なりになにができるのか考えながらツアーをまわってきて、やっぱりみんなが一番大切だし、メンバーといるのが楽しい。これからも、みんなで一歩ずつ歩んでいこうと思っております。みんなthe GazettE好き? 俺も大好き!」──葵


<the GazettE LIVE TOUR2022-2023 MASS “THE FINAL”>を締めくくったのは「LAST SONG」だった。そしてメンバーがステージを降りるとLEDスクリーン上で発表されたのが、11年ぶりとなるクリスマスライヴの開催だ。その告知映像には他にも「新黑奏」「NEW RELEASE」「NEXT YEAR」との文字が浮かび上がるなど、彼らの今後にますます期待が高まるばかり。<LIVE 2023-HERESY LIMITED- A HYMN OF THE CRUCIFIXION ver.2>と題されたクリスマスライヴは12月25日、神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで開催される。

取材・文◎村上孝之
撮影◎田辺 佳子/上溝恭香/日吉純平/林 雅子

■<the GazettE LIVE TOUR2022-2023 MASS “THE FINAL”>2023.7.15 日本武道館 SETLIST

01. BLINDING HOPE
02. ROLLIN’
03. NINTH ODD SMELL
04. DAWN
05. HOLD
06. 裏切る舌
07. NOX
08. 13STAIRS[-]1
09. DRIPPING INSANITY
10. 濁
11. THE PALE
12. MOMENT
13. BARBARIAN
14. FRENZY
15. ATTITUDE
16. ABHOR GOD
17. UNFINISHED
encore
18. GO TO HELL
19. 赤いワンピース
20. 貴女ノ為ノ此ノ命。
21. INSIDE BEAST
22. Hyena
23. UGLY
24. TOMORROW NEVER DIES
W.encore
25. 未成年
26. LAST SONG

■<LIVE 2023 -HERESY LIMITED- A HYMN OF THE CRUCIFIXION ver.2>

2023年12月25日(月) 神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール
open17:30 / start18:30
(問)DISK GARAGE https://info.diskgarage.com/
▼チケット
全席指定 前売¥9,600(税込)
※未就学児入場不可、諸サービス手数料別
※限定公演につき一般発売はありません
【FC.HERESY最速先行受付/the GazettE MOBILE長期会員先行受付】
申し込み受付期間:7月15日(土)22:00〜8月14日(月)23:59
抽選結果確認期間:9月2日(土)13:00〜9月3日(日)18:00
入金期間:9月2日(土)13:00〜9月4日(月)21:00
https://tixplus.jp/feature/thegazettefclive2023_dticket/


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